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放電

2006年03月01日 19時35分02秒 | アラスカ
とても冷えた朝だった。
出勤しようと車のエンジンをかけようとしたが様子がおかしい。
キーを回してもセルが回らない。バッテリーが上がってしまっていた。
室内灯の消し忘れが原因だった。
我が家にはセカンドカーがないので、身内ジャンパーは不可能であった。
どうしようもないので、少々厚かましいが家の前を通りかかる車にバッテリージャンパーのお願いをする事にした。
すぐに中年のご夫婦の乗ったジープが通りかかり、バッテリーが上がったのでジャンプして欲しい旨お願いしたところ快諾してくれた。すぐにエンジンがかかり無事出勤できた。
ご夫婦は「よい一日を♪」と言い残して手を振りつつそのまま走り去っていった。

アラスカは厳しい気候であるが故かもしれないが、全般的に親切な人が多い。
パンクしてタイヤ交換をしているときも、「大丈夫か?なんか手伝おうか?」とわざわざ車を停めて声をかけてくれる人が何人もいる。
町はずれで故障している車を見かけたら必ず一声かける、というのが当地のマナーと聞いた。助けがないと最悪の場合、命を落とすこともあるためだそうだ。
下の州では、わざと車をパンクさせて修理を手伝う振りをして物を盗んだり、強盗したりという事件が多発しているとのことで、ちょっと声をかけられると身構えてしまう癖が知らないうちに身に着いてしまっている。
その結果、自己嫌悪に陥ることも、しばしば・・・。
無防備になりすぎないように注意しながら、必要最低限の警戒を行いつつ、最大限の笑顔で対応。これが、理想的なんだが。

少なくとも時間帯によるとは思うが、善意をそのまま善意として受け取れる環境が、ここアラスカにはあると思う。

後日談として、2点。
車内灯の消し忘れの代償は200ドル。車を使う時間は1日1時間程度なのでバッテリーの充電がなかなか完了しない。今後が不安なので、バッテリーを交換した。結構痛い。

近所のスーパーのレジでおばさんに声をかけられた。
「私のこと、憶えてますか?」「??」
「朝、うちの主人があんたの車のバッテリー、ジャンパーしたんだよ」「!!」
世の中は狭いと聞くが、特にアンカレジの世間は狭い。
「何か困ったことがあれば、また助けてあげるからねー♪ご近所さんだし」
氷点下10℃以下の低温の日々が続くが、人間の心はとても暖かだったりもする。

アラスカが、好きだ。
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