投資家の目線

投資家の目線456(外国人労働者の導入)

 日本に外国人労働者を導入するか否かの議論が続いている。90年代に入ったころから日系ブラジル人労働者を受け入れるようになったが、摩擦もあり、ブラジル人が買い物に来ているという差別的な店内放送がスーパーで流されたという報道を覚えている。日本に長くいる日系ブラジル人の中には、日本で生まれ育った子供がいる人も多いだろうが、3月15日の日本経済新聞朝刊「地方景気の実相(5)外国人頼み再び(迫真)終」を読むと、読み書きなどの教育が不十分の子もいるようだ。同記事には「国も企業も単なる労働力としてしか扱わず、教育や社会保障を与えてこなかった」と憤る人材派遣会社社長の言葉もある。

 積極的に外国人労働者を受け入れるとして、日本に住みやすくなるように彼らの声を吸い上げる仕組みを作らなくていいのだろうか?外国人労働者に来てくださいと言いながら、彼らが住みやすくなる仕組みを作らなければ、わざわざ日本に来たいとは思わないだろう。家族の帯同を認めなければ、子供の教育などの問題はクリアできるが、単身赴任の場合は日本でパートナーができるなどして家庭不和の要因ができる可能性は否定できない。同志社大学の内藤正典教授が3月16日のツィートで「だが、高度人材なら良いとか、単純労働者はやめろとか、家族の帯同は認めないとか、この問題を議論すると必ずでてくる経済界や大手の労働組合の主張には、移民が生身の人間であるという視点が余りに欠けている」とつぶやいていらしたが、その通りだと思う。

 トルコ人労働者の問題を巡って、ドイツでネオ・レイシズムが拡大したことは、岩上安身著「あらかじめ裏切られた革命」でも指摘されていた(ドイツ政府は極右に甘く、ドイツのトルコ人協会会長はドイツの政治家、官僚、財界には、外国人労働者が増えすぎて帰ってもらいたいという暗黙の合意があると言う)。在特会デモや浦和レッズのサメ[ターによる「Japanese only」の貼紙など、レイシズムに関連する問題がある現状で、それらに対する何の手当もなく外国人労働者を受け入れることは、企業はリターンを得られるかもしれないが、社会的コストや海外でのレピュテーション(評判)リスクが大きすぎないだろうか?ただでさえ、研修生を名目とした不公正な労働は問題視されているのに。
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