投資家の目線

投資家の目線522(ウラジオストクの自由港化)

 プーチン大統領が『外国船舶の自由な出入りを認め、関税を減免する「自由港」にウラジオストクなど日本海に面した主要港湾を指定する考えを表明』した(ウラジオストク自由港に、プーチン大統領、東方シフト鮮明。 2015/6/20 日本経済新聞朝刊)。新潟大学の左近幸村准教授の資料「第一次世界大戦直前のオデッサ:ウラジオストクの比較」によれば、ロシア帝国末期の1908年からウラジオストクの自由港制導入の検討が商工省で始まったという。満州に勢力を伸ばしている日本や、満州大豆輸出(ロンドン向け)などで競合する大連への対抗措置である。

東京大学中東地域研究センター UTCMES定例研究会のお知らせ
第10回「第一次世界大戦直前のオデッサ:ウラジオストクとの比較」



 それ以前に、ウラジオストクには1862年から一時を除いて無関税港制が適用されていたが、主に日本の影響力排除を狙って1909年に廃止されてしまった。同資料の1879年から1913年のデータでは、日露戦争後の1906年以降、ウラジオストクに来航した外国船籍の船の数としては日本がおおむね首位となっている(1908、09年はドイツ船籍が首位)。この例を見るとウラジオストクの自由港化は、日本に大きな影響を及ぼすと推測される。


 なお同じ頃、ウクライナのオデッサでも自由港制導入の議論があったという。オデッサとウラジオストクの間は、ロシア義勇艦隊によって結ばれていた。ウラジオストクの自由港化はウクライナ情勢も睨んでいるのではないかとも感じる。

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・先週の円安を要因とする悪影響・値上げ発表等記事
「円安や原材料価格の高騰で購入頻度の高い食品の価格上昇が目立っており、消費意欲が弱含んだ」(支出「減らそう」6割、6月消費、価格上昇で低迷続く、所得の先行きに不安感、消費者庁調べ。2015/6/22 日経MJ)
第48回日本の小売業調査―増税・円安コスト増悩む、価格戦略、PB、競争力の柱に。 2015/6/24 日経MJ
家庭用花火値上がり、中国製10~20%高、円安・原料高響く。 2015/6/24 日本経済新聞夕刊
加工用食用油、値上がり、円安で2四半期連続、4~6月4%高、マーガリンなど価格転嫁。 2015/6/25 日本経済新聞朝刊
「円安による原材料高を価格転嫁するとともに、デザインの刷新などで付加価値を高める」(「ミキハウス」の三起商行、子供服全品値上げ。 2015/6/27 日本経済新聞朝刊)
「生産者が円安による飼料高を転嫁している」(タマゴ夏も高値続く、「物価の優等生」に異変、飼料高・生産者減で。 2015/6/27 日本経済新聞夕刊)
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