投資家の目線

投資家の目線969(株価指数は上がっているが)

 東京証券取引所プライム市場を代表する225銘柄の株価の単純平均で計算する日経平均株価は1989年暮れの過去最高値を更新したが、時価総額加重方式で計算するTOPIXは2月22日に2660.71ポイントと1989年12月18日の2884.80ポイントより約8%低い。一部の値嵩株に買いが集中し、それほど広がりがないのではないだろうか?1989年末にも、来年も株価は上がると考える人は多かったが、その後は低迷期に入った。地方では企業倒産や店舗の閉店が続いている。河野太郎大臣がブログで、1972年から1987年にかけて、イスラエルで株価が6500倍に、消費者物価指数が一万倍になったことを書いていた(「(日経平均63,000,000円 河野太郎公式ブログ ごまめの歯ぎしり 2010年12月7日)」(投資家の目線853(TwitterCEOの退任))が、株価が上がってもそれ以上に物価が上がれば、元も子もない。

 

 米国では、単純平均のNYダウも時価総額加重のS&P500も過去最高値を更新している。しかし、「1月の中小企業楽観度指数は89.9と、2023年12月の91.9から低下した。依然として高水準のインフレ率を背景に、事業主の収入見通しが悪化したことが響いた」(「米中小企業の楽観度、1月は予想外に低下=業界団体」 2024/2/13 ダウ・ジョーンズ配信)と、スモールビジネスの経営環境は悪化している。日米ともに、資金が一部の大手企業に集中しているように見え、全体的な好況感につながっていない。なお、スモールビジネスを担う自営業者は「茶会」運動の熱心な活動家だった(投資家の目線677(小規模ビジネスとトランプ政権))。

 

 米国の商業用不動産では差し押さえ件数が急増している(「米商業用不動産の差し押さえ件数が急増、前年同月比2倍-問題深刻化」 2024/2/23 Bloomberg)。また不動産ビジネスについては、トランプ前大統領の事業が資産を水増ししたとする訴訟の判決も響いている。政権に政敵とみなされると、訴訟で巨額の罰金を取られると懸念する実業家も増えているようだ。

 

 汚職と人権侵害があるにもかかわらずアメリカの古い盟友であるコンゴのモブツ大統領について、1979年から1982年までアメリカ大使だったロバート・オークリーは、「われわれが彼の国に提供している援助について、彼がなにかいったり、興味をしめしたりしたことは、一度も思いだせない。彼は感謝の念も関心もいだかなかった。彼はひたすらもっと援助はほしがった。」と語っている(「米露諜報秘録 1945-2020 冷戦からプーチンの謀略まで」 ティム・ワイナー著 村上和久訳 白水社p102)。ただひたすら援助をおねだりするウクライナのゼレンスキー大統領は、現代のモブツではないのか?

 

 1990年2月にモスクワを訪問したベイカー国務長官は、「われわれは、もしアメリカがNATOの枠組みのなかでドイツに駐留しつづけるなら、NATOの現在の軍事的管轄区域は一インチたりとも東方へ広がることはないと保証されることが、ソ連だけでなく、ほかのヨーロッパ諸国にとっても重要であると理解しています」といい、レーガンおよびブッシュ政権でモスクワ駐在アメリカ大使を務めたジャック・マトロックは、そのことを「絶対的な保証」を与えたと語っている(同p180~181)。それを破り、NATOの東方拡大を進めたのがクリントン大統領だが(同p199)、それ以前に、ドイツ再統一の頃、ブッシュ(父)の国家安全保障チームは「自分たちの決定をゴルバチョフとソ連に指図できるという結論にいたった」(同p179)と、おごり高ぶった考えを持つようになっている。現在のウクライナ支援は、おごり高ぶった西側諸国の指導者の失策のツケを西側諸国の人民が支払わされているだけではないだろうか?

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