日本航空の増資に関して利益相反の問題が話題となった。同社のメインバンクのひとつはみずほコーポレート銀行で、増資の主幹事がみずほ証券だったためにみずほコーポレート銀行等債権者が負担すべき信用リスクを、株価下落により既存株主の不利益に転嫁したように考えられたのである。みずほ証券はみずほコーポレート銀行の子会社である。
最近、上場子会社を完全子会社化する動きが見られる。しかし、その買収価格や株式交換の場合の交換比率について詳細に説明することはあまりない。市場株価平均法、ディスカウンティッド・キャッシュフロー法等の評価法は紹介されているが、そこから算出された数値はほとんど紹介されなかった。親会社はその方が都合が良いのだろうが、少数株主側はそうではない。阪神電鉄統合では、市場の圧力から阪急HDが買収価格を算出するための数値を明らかにした。また北越製紙へのTOBの場合、はじめにシナジー効果等の数値を投資家に提供したのは王子製紙側である。今後、企業買収が行われる場合にはこのような数値が投資家側に明示されることが望まれる。
それはREITでも例外ではない。今春、日本ビルファンドマネジメントという不動産投資顧問会社がファンドの物件であるJFEビルディングを、三井不動産が所有する虎ノ門琴平タワー等と交換することとなった。しかし、日本ビルファンドマネジメントは三井不動産が43%(筆頭株主)出資し、社長も三井不動産出身と近しい間柄なのである。
先の月刊現代9月号において、フジテレビが鹿内宏明氏からのニッポン放送を取得する経緯が問題とされている。そこに出てくる証券会社も利益相反の問題を含んでいるように思われる。しっかりとチェックしたいものだ。
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