投資家の目線

投資家の目線643(大和銀行、VWの不正から考察する神戸製鋼所の今後)

 不正が発覚した神戸製鋼所が米国司法当局から書類提出が要求されている。任意ではなく、従わなければ罰則がつく提出要求とのことである。

「米国司法当局からの書類提出要求について」 2017年10月17日 株式会社神戸製鋼所
http://www.kobelco.co.jp/releases/1197847_15541.html

 不正に対して米当局が関与した例としては、いわゆる大和銀行ニューヨーク支店の巨額損失事件が思い出される。日本の大蔵省が巨額損失を知ってから報告が遅れたとされたことが、米国から批判される原因になった(井口俊英著「告白」によれば、ニューヨーク連銀は日本の大蔵省より先に、大和銀行ニューヨーク支店からこの偽装工作を知らされていたようだが)。

 神戸製鋼所は、10月8日の公表以前の9月21日にトヨタやJR東海に報告している(「日本の製造業が揺らぐ… 神戸製鋼所 データ改ざんの波紋」テレビ東京 WBS 2017/10/9)。そのため、かなり前から不正はわかっていたのだろう。大和銀行の事件の例からすると、この遅れは米国から批判される要因となりうる。ちなみに、下関にある神戸製鋼の拠点はアルミ・銅製品のデータを改ざんしてた所で、「神戸製鋼は安倍洋子が工場にあらわれて檄を飛ばすような関係だ」(「安倍陣営は万単位で票減らすか 首相お膝元の選挙区情勢分析」長周新聞 2017/10/14)といい、安倍首相は6月23日に神戸で、かつて所属していた神戸製鋼所を訪問している。

 その後、大和銀行は米国から追放させられることになったが、神戸製鋼は米国での現地生産拡大を迫られるのではないだろうか?貿易赤字を問題視している米トランプ政権にとって、対日貿易赤字を削減することができる。同じく米国に関係したVWの排ガス不正は司法の案件となり、徹底的な処分がなされた。そしてその後、米当局からEVの現地生産を持ちかけられていることが報じられた(「米当局、VWに米国でのEV生産を要請 独紙報道」2016/2/22日本経済新聞Web版)。

 11日には東芝が特設注意市場銘柄から指定解除された。東芝を米原発建設会社に関する有価証券報告書の虚偽記載の疑いで証券取引等監視委員会が調査を検討していると報じられたが・・・(「証券監視委が東芝の原発損失、調査へ 数千億円虚偽記載疑い」2017/10/2 産経新聞)。これも日本に対する不信の対象になるのではないだろうか?


 先頃、サンケン電気では募集人数120人を上回る131人、コンビニエンスストアチェーンのスリーエフでは募集人数180人を少し下回る173人、早期退職に応募した。これでアベノミクスは成功していると言えるのか?

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