投資家の目線

投資家の目線701(豊洲市場と築地再開発)

 中央卸売市場が、豊洲市場へ移転してから約2か月になる。東京都中央卸売市場の日報をもとに計算したところ、豊洲へ移転した2018年10月11日から12月8日まで(44営業日)の一日平均の豊洲の水産の卸売予定数量(セリ・入札、相対の合計)1213トンと昨年同時期の一日平均1333トンに比べて9%減少している。昨年はサンマが極端な不漁だったが、今年は「漁業情報サービスセンター(東京・中央)によると11月末までの全国の漁獲量は11万1500トン。17年(7万7千トン)、16年(10万9500トン)の実績を既に上回った」(「サンマ水揚げ5割増、今年11万トン、資源量回復は遠く。」 2018/12/8 日本経済新聞 朝刊)とかなり回復したが(ただし、イカの不漁は続いている 「イカ不漁深刻、卸値1割高く。」 2018/12/9 日経MJ)、豊洲の水産物の取扱量は昨年の築地市場より減少している。豊洲市場には青果市場もあるが、取扱高は大田市場の方がはるかに多い。先日、豊洲市場を見学したとき、取引が終わった午後でも扉で隔てられている見学コース内に臭いが少し残っていた。豊洲市場は早くも施設のひび割れや設備の故障、使い勝手の悪さが指摘されている。日本政府は豊洲市場に海外バイヤーを受入れ、日本の農水産物の輸出を促進する成長戦略を取ろうとしている(「農林水産業の輸出力強化戦略」工程表 農林水産業・地域の活力創造本部 平成28年5月19日)。しかし、このような状態の豊洲市場で取り扱われた水産物が、本当に海外で売れるのだろうか?

 都は現在の築地市場の土地の売却も考えているようだ(「築地跡地、売却も選択肢、都方針変更、年明けにも結論、知事「試算改めて確認」。」 2018/11/29 日本経済新聞 地方経済面 東京)。山手線新駅周辺には「東京都も国家戦略特区を活用し、外国人向け住宅の整備を後押しする」(「日本の玄関口へ動き出す再開発――山手線新駅「高輪ゲートウェイ」に、外国人住宅も整備(TOKYO大変身)」 2018/12/6 日本経済新聞 地方経済面 東京)という。山手線新駅の「高輪ゲートウェイ」、東京メトロ新駅の「虎ノ門ヒルズ」という駅名も外国人を意識したもののようだ。都は都営地下鉄の築地市場駅を「築地ベイサイド」とでも改称して築地を外国人向けに再開発する気だろうか?豊洲市場のひどい有様を見ると、都が外国人に通用する街を作れるとはとても思えないが…。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「都市再開発」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事