4月16日にアデランスがTOBを含む戦略的資本業務提携を発表した。アデランスの会社側の提案する議案が成立した場合、1株当たり1000円でTOBをするようだ。なんと、そのときには同社の自己株式7.1%も応募するという。会社側の提案が成立した場合、それに賛同する経営陣が株主の支持を受けているとみなし、そりの合わない株主の影響力をそぐという意味合いなのだろう。TOB価格はここ3ヵ月の平均株価からすると3割程度高いようだが、それをダイヤモンド・ザイ・オンラインの保田隆明氏のコラムでは、「株主総会まで、株価は1000円を維持できる巧妙な仕鰍ッ」としている。買付予定株式数の上限を設定していないため、「一度TOB価格が発表されると、株価はTOB価格近辺で推移するので、株主総会が終わるまでの期間は、株価は高止まりしてしまう」(同)と考えられるからである。
同社の連結ベースの2009年2月期1株当たり純資産(BPS)は1582円、残余利益モデルによれば、株価が期首1株当たり純資産を下回るのはROEが株主の要求収益率未満のときである(*)。そのため、BPS以下のTOB価格しか提案することができないということは、この案に賛同する同社の現経営陣は株主の要求水準に応えることができない人々と結論付けることができる。
(*)
残余利益モデルでは、1株当たりの株式の理論価値は期首1株当たり純資産に、各期の純利益から株主の要求収益を差し引いたものの割引現在価値合計を加えることで求められる。純利益はROE×純資産、株主の要求収益は要求収益率×純資産で求められるので、結局、
1株当たりの株式の理論価値=期首1株当たり純資産+[各期の(ROE-要求収益率)×1株当たり純資産の割引現在価値の合計]
で求められる。
『「ユニゾン&アデランス」を機に、TOBの発表タイミングに規制をかけるべきでは?』ダイヤモンド・ザイ・オンライン 2009年4月21日http://zai.diamond.jp/servlets/Query?SRC=zai/serial/column&cate=hoda&art=25
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・2009年4月21日の日本経済新聞朝刊で、大韓民国のロケット発射コースが「日本の九州南西部から沖縄本島にかけての領海上空を通過する経路で調整していることが二十日、分かった」、しかし「日本本土への被害は予想されないことから、地対空誘導弾パトリオット(PAC3)などミサイル防衛(MD)システムの配備はしない」(同)と報道していた。4月9日の朝鮮日報(日本語電子版)によれば「沖縄本島那覇の180−200キロ上空を通過する」と報道されているうえ、北に比べて同国のロケット技術は弱いようだ。コースが少し変わったのか、それとも沖縄本島は日本本土に当たらないという意味なのか。航空自衛隊のHPによれば、確かに那覇基地にはペトリオット(PAC3かどうかは分からない)を保有する第五高射群があるが。
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