投資家の目線

投資家の目線31(コンテンツビジネスの価値)

 プリヴェチューリッヒ企業再生グループが阪急ホールディングの筆頭株主となった。グループ企業の東宝と統合し、宝塚歌劇団等のコンテンツビジネスの再編等を求めていくと報道されている。確かに宝塚歌劇団のブランド価値は高いが、それほど利益になるものなのだろうか。舞台公演はあまり儲からないものとされる。むしろ舞台公演は赤字で、グッズ等の販売で収支の帳尻が合うぐらいに考えておいたほうがよいであろう。テレビはキー局で宝塚の舞台公演は放映されていないから、映像の2次利用といってもDVDやペイテレビの収入ではおのずと限界があろう。
 韓流・華流の台頭を受け、日本のコンテンツビジネスはアジアの中でも激しい国際競争にさらされていると思われる。日本のアニメーションに期待する向きもあるが、アニメーションはやはり子供向けが主で、ジェトロの番組を見るとそれも韓国、中国等の追い上げを受けている。ベンチャー企業のマーベラス・エンターテインメント、GDH、プロダクションIGの作品は大衆受けの難しいマニア向けで、ニッチ産業と考えたほうが賢明だろう。
 今年最初の、フジテレビの月9ドラマに「西遊記」を選択したのは対アジアを意識してのことだろう。しかも台湾、韓国、シンガポール、香港で同時放映されるという。アジアの流行に敏感な人々にアピールするには、日本との間に時間にズレがあってはならないのは当然だ。日本では、アジアでのコンテンツ関連の話題というと権利保護という守りの問題が大きく取り上げられがちである。しかし他のアジア諸国の作品の台頭で、日本の作品がアジア市場から駆逐されたくなければ、日本と他国の間に放映のタイムラグを作らない等、攻めの姿勢も必要だろう。

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