投資家の目線

投資家の目線33(物作り、倫理観論への疑問)

 ライブドア疑惑のようなことがあると、日本は物作りの国という議論が出てくる。しかし、それは本当であろうか?例えば、国策もあるが私鉄のようなインフラストラクチャーを担う企業は合併により大きくなった。五島慶太の東急はもとより、東武鉄道を再建した根津嘉一郎は元相場師といったほうがよいようだ。(日経金融新聞の月曜最終面には日本の相場師列伝が連載されている。以前はこんな連載はなかったのに時代は変わった。)
 また、今回のライブドア疑惑でも倫理観という話題が出てきたが、すべての人々に共通する倫理観を求めることができるのだろうか?最近の日本では銀行の想定外に巨額な税効果会計の問題がそうであろうし、またアジア通貨危機の時、マレーシアのマハティール首相(当時)はヘッジファンドのマネジャーであるジョージ・ソロス氏を非難したが、だからといって彼が逮捕されたわけではない。またグリーンメーラーと言われ、小糸製作所の大株主となったこともあるブーン・ピケンズ氏も商品ファンドのマネジャーとして健在なようである。
 今後、外国企業も株式交換で日本企業を買収できるようになるようだ。その外国企業の属する国が今回のライブドアのような買収手法を違法としなければ、今回のように日本の捜査当局が介入することはできないと思われる。そうなれば日本企業が日本企業を株式交換で買収しようとする場合、外国企業に比べて足枷がはめられて不利となり、これは今回反ライブドアの姿勢をとっている人々にも「想定外」の出来事になるのではないだろうか。今回の疑惑では互いが徹底的に争い、海外の制度と整合性のとれた決着が図られることが望まれる。
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