投資家の目線

投資家の目線356(読売時代の終わり?)

 巨人戦ナイターの視聴率が上がらない。朝日・読売がプロ野球契約金問題でせっかく盛り上げたのに(悪名は無名に勝る)、開幕戦の関東地区の視聴率は11.8%(SANSPO COM 2012/4/2)と2010年より11.3%(2011年は震災の影響により開幕戦は後唐オになった)を0.5%上回っただけである。読売は野球が本業と言われていた。かつて巨人戦は日本テレビの視聴率向上に貢献していた。スポーツ報知は巨人の勝敗で販売部数が違うと言われていた。読売新聞の販促に巨人軍が使われていた。地方には巨人ファンだから読売新聞を取っていた家庭もあるのではないか?巨人軍の人気がなくなるならば、読売グループのビジネスモデルも崩壊する。巨人人気の終わりは読売新聞が東京・大阪地区中心の中央紙(中央ブロック紙)になるになることを意味するのではないだろうか(中部地区は中日新聞が強そうだし、地方では地元紙が強い)?そうなれば発行部数の問題だけでなく、全国に読売の主張を届けることができなくなる。地元紙に資本を入れてその力で地元紙の編集に介入し、読売の論調を地方に広めていくしかないのではないか?

 さらに、政府が電通に1.4億円を支払い、読売、朝日、日経、毎日、産経の5紙にTPP推進の政府広報に掲載していたという(2012/4/3 しんぶん赤旗)。貧すれば鈍す。これでは大手紙のTPP賛成の社説は新聞社の主張なのか政府広告なのか、どちらかよくわからない。
(なお、2012/4/4の日本農業新聞e農ネットは、『TPP「米国いら立ち」報道 政府の世論誘導懸念』 という2日のNHKニュース番組に関する記事を載せている。)


 また、地方の放送局は地元発の放送を増やそうとしている。愛媛の南海放送では中波ラジオとテレビの同時放送が始まり、栃木や群馬ではNHKの県域放送が開始された。生活に密着した地元情報を見る機会が増えれば、全国放送を視聴する機会は減っていくだろう。情報の分断が起きれば国民として共有する体験は減っていくのだろう。

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・鳩山元総理がイランを訪問している。成果が上がるかどうかは分からない。5月4日にイランの国会議員の第2次投票があるので、その前に訪問しようというのだろうか?
 リアリストとして著名な学者ミアシャイマー、ウォルトの著書「イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策Ⅱ」(講談社 副島隆彦訳 2007年)によれば、「イランに軍事力で脅しをかけることは逆効果であり、イランの核施設を攻撃することは現実問題として破滅的結果をもたらすことになるだろうことは広く認識されている。それは中東をさらに不安定にさせ、イランが米国とその同盟国に襲いかかる原因となるだろう」、また「イランの核保有より戦争が好ましいと考えるヨーロッパの政策決定者など、見たことがない」という、チャールズ・カプチャン(元米国国家安全保障会議欧州部長)の言葉も記している。イランに対する経済制裁の強化は、3月の選挙でアフマディネジャード大統領よりさらに対欧米強硬派といわれるハメネイ師支持派の圧勝という結果をもたらした。投票率が約64%(追記:2012/3/4 msn.産経ニュース 前回は約55%、改革派のボイコットの呼びかけにもかかわらず投票率は約9%上昇)にも達しているから、これはもうイラン国民の「民意」と言える。経済制裁強化という「脅し」も、逆効果であったといえるだろう。逆効果になるのが分かっていてもイランに「脅し」を加えたのは、やはりイスラエル・ロビーを意識したオバマ大統領の選挙対策のように見える。
 以前、『サルコジ氏はオバマ氏に対し「ネタニヤフ首相には我慢できない。彼はうそつきだ」と発言。これに対しオバマ氏は「あなたは彼にうんざりしているかもしれないが、私はより頻繁に彼を相手にしなければならない」と返答したとされている』(パリ 2011/11/8 ロイター)が、こう言いつつもサルコジ、オバマ両大統領ともイスラエルのネタニヤフ首相を利する行為をしなければならないとはご苦労なことである。
 今後必要なことは、軍事衝突にならないように「落としどころ」、出口戦略を探ることのように思う。湾岸戦争の軍事支出は約600億ドルであった(「戦争の経済学」ポール・ポースト著 山形浩生役 バジリコ㈱ P92)。クウェートという面積の大きくない国から2,000万人程度しかない人口を持つ国の軍隊を追い出すのに、これだけの経費がかかったのである。それより多い7,000万もの人口を持つ大国イランとまともに軍事衝突が起これば、その経費はこんなものではすまないだろう。現在、財政がそのコスト負担に耐えられる国などありはしない。

(追記:2012/4/8の日本経済新聞朝刊「イラン中枢に深い溝―欧米の制裁強化招く(地球回覧)」に
「そうした様子は欧米から眺めると、イランの中枢で大分裂が生じているように映る。
 核兵器製造への疑惑があるイランへの制裁を強化すれば態度軟化へ圧力になるのではないか――。大統領選を控え外交的な成果が必要になる米国とフランスを軸に昨年夏から秋にかけ水面下で策が練られ、同11月の国際原子力機関(IAEA)報告書発表を経て米英などが包括制裁を実施。さらに年明けに欧州連合(EU)はイラン産原油の輸入停止を決めた」
とある。3月のイラン国会議員選挙でハメネイ師支持派が圧勝したことをみると、米仏の作戦は失敗に終わった。同国の世論を分裂させたいのなら、大きな戦略転換が必要だ。)



 また、軍事衝突という不測の事態になっても影響を最小限にすべく、比較的洗練されたミサイル技術を持つ国家がイランに協力しないようにアメを与えるというのは合理的な判断と言えるのだろう。

・甘利明自民党衆議院議員の2012年4月1日のブログ(国会リポート第236号)を見て驚いた。クリントン国務長官の発言をひき、尖閣諸島問題で米国が、さも頼もしい味方であるように印象付ける文章になっているからだ。2010年10月1日の記者会見で、前原外務大臣(当時)は次のように発言していた。

外務省HP 2010年10月1日前原外務大臣記者会見(日米関係)より引用

引用開始

【大臣】私(大臣)とクリントン国務長官との話をする前に、米国の政府高官から尖閣に関わる日米安保第5条の適用範囲について、明確にコミットメントする発言をしているということですので、是非それについて確認をさせていただきたいと思いまして、私(大臣)の方から会談で取り上げさせていただきました。まず私(大臣)から取り上げたのは、「米政府高官がこの尖閣問題に関して日米安保条約第5条の適用範囲であるということを仰っていることに敬意を表する」ということを私(大臣)が申し上げたところ、クリントン国務長官から、「領有権について我々はコメントはしない。しかし、尖閣は日本の施政下であり、日本の施政下に対して安保条約第5条が適用される」と。すなわち、尖閣列島は安保第5条の適用範囲であるということをクリントン長官が述べられたということでございます

(太字は当方でつけた)
引用終了

 クリントン長官は、現時点では尖閣諸島が日本に施政下にあるので、施政下にある限りにおいて安全保障条約の適用範囲であることを確認しているに過ぎない。米軍は頼もしい味方などではない。

・3月末で役員や官僚のOBの東電の顧問11人が退任した。顧客に電気代の値上げをお願いしているのにこれだけ顧問が残っていたのか?東電のリストラは十分なのか?東電の電気料金値上げを受託した企業は5%しかないというが(2012/4/5 日経産業新聞)、こんなことではそれも当然だろう。

・4月3日には大阪府警の警部らが虚偽の捜査書類を作成していたと報道された。同府警では、飲酒検問の数値捏造や証拠品のすり替えも起こっている。検察だけでなく警察に対する市民の監視も必要だ。

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