投資家の目線

投資家の目線355(グーグル仮処分申請とTPP)

 3月19日付けで、東京地裁が米グーグル本社に「サジェスト機能」の表示の差し止め命令を決定した。しかし、同社は「日本の法律で規制されない」と拒否しているという(2012/3/25毎日新聞)。

 TPPの先行事例とされる韓米FTAでは、米国企業が韓国内に事業所を設立しなくとも韓国で営業が行えるようになり(サービス非設立権の認定)、事業所を持たない米国企業が韓国内で問題行為を起こしても同国の処罰が及ばない可能性が指摘されていた(ちなみに、韓国のLG経済研究所は韓米FTA発効による貿易拡大は短期間では難しいという報告書を出しているようだ 2012/3/21 サーチナ)。このグーグルの一件はTPP加盟の前でも国内法では米国企業に対して処罰が及ばない問題が発生したことになる。

 韓国の改正流通法の大規模店舗の営業規制が、韓米FTAへの抵触が言われているが、このような大規模店舗の規制問題は日本の自治体の「コンパクト・シティ」構想に影響しないだろうか?

 ジェーン・ケルシー編著(環太平洋経済問題研究会 農林中金総合研究所 共訳)の「異常な契約」では、日本政府が使用を促進しようとしているジェネリック薬の市場参入を制限するような、PhRMA(米国研究製薬工業協会)によるTPP条項に向けた補足的提言があると指摘している。

 TPPに加盟するとどのような問題が発生しうるか、政府が国民に明らかにするのが先だろう。

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・先週金曜日に、大阪地検特捜部の証拠改ざん・隠蔽事件の判決が出た。裁判長は判決で事件の原因を検察組織や特捜部の体質が生み出したとしている。陸山会事件でも田代政弘検事が虚偽の捜査報告書を作成したことが明らかになっている。検察の「自浄機能」などに任せておいていいのだろうか?事件の当事者である前田元検事も「取り調べの可視化」を求めていた。取調べの全面可視化が必要ではないか?
 司法関連の話題といえば、最高裁判所発注のコンピューターシステムの落札率が高止まりしていることが東京新聞(2012/3/26 特報(TOKYO Web))でも報道された。最高裁の支出も元は税金だ。最高裁事務総局への監視も必要だろう。

・消費税増税が閣議決定された日、国際協力銀行の総裁が奥田元トヨタ社長に決まった。同行は財務省の有力な天下り先の一つ。消費税増税とこの人事はバーター取引なのか?まあ、副総裁が元財務官なので、天下り阻止の実質的な効果は薄いように見えるが…。

・中国の人民日報が「日本は中国人観光客を震災復興の道具にすべきではない」という論説を掲載した(2012/3/31 Record China)。原発事故も収束していないのに多くの外国人観光客を誘致しようとする日本政府は無責任という、その論評は妥当であろう。観光立国を目指すのなら、安心してきていただけるような体制作りが先でしょうに。

Newsweek日本版 2012/4/4号では、沖縄に必ずしも海兵隊がいらないこと、パワーバランスが変わっている中で自民党も含めてあるべき防衛論議されていないことを指摘している。本土メディアが主に旧来の報道をしている中(米国追従を説く日本経済新聞の特別編集委員も、さすがに在沖海兵隊不要論があることも紹介していたが)、比較的メジャーな雑誌で在沖海兵隊不要論が語られるのは大きな変化ではないのか?

・3月25日の渋谷の脱原発パレードは約1,000人、4月1日の東海第2原発廃炉集会は約3,100人集まった。
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