投資家の目線

投資家の目線663(地方金融機関の取り組み)

 昨年のクリスマス、岐阜県大垣市で大垣中央銀行が開発したチョコレートが販売された(「それぞれの3年目(上)地銀、預金が「お荷物」、脱・金融、チョコ開発の奇策(検証マイナス金利)」 2018/2/27 日本経済新聞 朝刊)。同記事によれば、大垣共立銀行はワインや米も販売したという。

 また、山梨県の都留信用組合は行政や建設会社、小売業者などと連携して農業法人を設立し、夏イチゴを生産する方向だという。地域活性化の狙いはあるのだろう(↓)。

貸出金・年金シェア1位『郷土と共に発展する』甲斐の国の信組その躍進の根源と未来像を探る 2017年5月3日 ビッグライフ21
http://www.biglife21.com/society/13155/

富士北麓の自然生かし特産品 都留信組が地域活性化へ試験販売 /山梨 毎日新聞2017年7月21日 地方版


 しかし、これら地方金融機関の取り組みの結果、特定の事業会社や個人の資金調達を目的に預金を集める機関銀行化する懸念がある。金融機関のメンツのために、損失が膨らんでも撤退を渋るかもしれない。それを防ぐためには、あらかじめ撤退のルールを決めておく必要があるだろう。

 「こうして銀行はつぶれた 米国S&Lの崩壊 The Greatest-ever Bank Robbery」(マーティン・メイヤー著 篠原成子訳 日本経済新聞社 1991年)には、米国のS&Lが規制緩和で不動産に直接投資していたことが書かれている。この直接投資に反対したのがケント・コルソン全米住宅建設業者協会常務理事で、「コルソンは、市場から資金を調達しなくてはならない建設業者に、保険付き預金を建設会社の運転資金に転換するだけでいいS&L所有者と競争させるなんておかしい、と主張したという」(「こうして銀行はつぶれた」p211)。地元企業から地域金融機関の商品開発に異論が出ないのは、それだけ地域産業が疲弊しているということだろうか?
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