投資家の目線

投資家の目線855(米国で頻発する労使紛争)

 米国で労使紛争が頻発している。今年9月から直近まで、ダウ・ジョーンズ(以下DJ)配信の記事にあるのは次の通り。

 DJ-【市場の声】米モンデリーズ、ストライキなどで供給不足の恐れ 2021/9/10
 DJ-ハリウッド労組、僅差で制作会社との労働協定で合意 2021/11/16
 DJ-米農機大手ディアの従業員、新協約に承認でスト終了 2021/11/18
 DJ-NYタイムズ、製品レビューサイトの従業員がスト 年末商戦控え 2021/11/26
 DJ-生牛先物が上昇、カーギルの労使紛争による供給混乱を懸念 2021/12/2
 DJ-【MW】ケロッグが下落、シリアル工場でスト継続へ 2021/12/8(ただし、12月17日に労組と労働契約を暫定合意 「DJ-米ケロッグと労組、5年契約めぐり新たに暫定合意」 2021/12/17)

 インフレーションのせいで労働者の生活水準が低下しているのだろう。原材料費の高騰などのコスト増加を理由に経営者側は製品価格を引き上げているので、労働者側が生活コストの増加を理由に彼らの提供する商品である「労働」に対する価格、つまり賃金の引き上げを要求しても何らおかしくはない。ただし、賃金引き上げによるコスト増が製品価格に上乗せされれば、際限なく物価上昇が続いてしまうので、どこかで妥協が必要ではある。また、ストライキは供給不足を加速させ、さらなる物価上昇につながる懸念もある。

 また、新規に労働組合結成の動きもある。

 DJ-米アクティビジョン、従業員が労組結成の動き 2021/12/11
 DJ-スタバの労組結成投票、集計へ 当局が会社側の申し立て退ける 2021/12/8
 DJ-スタバのボストン店舗従業員、労組結成を求める 2021/12/15

 スモールビジネスならともかく、経営者個人は大組織に守られているのに対し、従業員個人はそうではなく、「力関係」には非対称性があるだろう。そのための、労働組合結成により、労働者は使用者とより対等に近い立場で交渉ができ、使用者側も襟を正して交渉に臨まなければならなくなるだろう。

 労使問題はワクチン接種にも関係する。公務員の中にはワクチン接種義務に従わず、無給の休職扱いになっている職員も多い(「NY市職員9000人が休職 ワクチン接種義務従わず」 2021/11/2 日本経済新聞WEB版)。宗教上の理由だけでなく、ワクチンには副反応のリスクもあるため、接種をためらう人が出るのはおかしなことではない。最近、米国では略奪が増え、警報を発する都市も出てきているが、ワクチン接種拒否による警察官不足もあるかもしれない。略奪行為もモノ不足によるインフレ要因にならないだろうか?
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