音を視る 時を聴く
坂本龍一
東京都現代美術館
2024/12/21-2025/03/03
▪️ーーーーー▪️ーーーーー▪️ーーーーー▪️
坂本龍一展。まさかこんなにたくさんの人がきて、並んで入るなんて想像してなかった。1月の末。今は時間指定チケットになっているかな。
会場に入ってすぐに[TIME TIME]という作品がある。この作品が、どのくらい時間の尺があるのかを知らず、暗闇の中で立って見ている。笙の音色とともに現実世界との断絶がはじまる。
この作品は能の影響を受けた音楽劇のような
作品で、夢の世界の映像がスクリーンに流れる。なぜ夢の世界が選ばれたのかというと、
夢の中では時間というものの特性が破壊されているからなのだそうだ。坂本さんが本に書いてあった。
『武満徹さんは無限の時間のような音楽を作ろうとしたけど、ぼくが「TIME 」に込めたのは、「時間は幻想である」というメッセージでした。と。
時間とは何か。
坂本龍一とともに映像を手がける高谷史郎さんは主観的な時間は伸び縮みするということを作品で表したと。自身が新型コロナで中国で3週間隔離になったとき、長い長い、いつ終わるんだと思った3週間が、ホテルのロビーに出た瞬間、来た時とつながり、その3週間という時間がトルツメのようになくなったような気がしたと。結局、何も起こらかったら、時間なんてないんだと思ったと。
時間というものは主観的にどんどん伸び縮みしていて、今、世界にあまねく正確に刻まれた時間があると思っているのは幻想なんだと。普遍的にある時間というのは、本当に合理性を求めてみんなで何かをやっていくために捏造されたものだと。
実際、量子力学的にも時間というのは一定に進んでいるわけではないようだ。ただそれを説明する文学も哲学もまだないという。
悟空は精神と時の部屋みたいなのによく入ってた気がするなぁ。
いずれにしても邯鄲(かんたん)の夢や胡蝶の夢をベースとして、また新たな神話のような作品を作り出している。
人間と自然と、時間と。
それを映像と音で、目をあけたまま夢の世界に入ってしまったような、強烈な30分がある。展覧会入口にしては、ちょっと長いなってストレスを感じるのも、また振り返れば身体全体に記憶されるひとつのしかけのような感じさえしてくる。
テーマが、とても深くて難しいけど、姫路市立美術館にもあった中谷芙美子さんの霧の彫刻で若い人は、すごいところにきたぞって
エンタメ感も味わえるのだと思う。
▪️ーーーーー▪️ーーーーー▪️ーーーーー▪️