夜が更け、どちらからともなく部屋の明かりを消した。
ゆっくりと二人の時間が過ぎていった。
夜中に目覚めたケンはキョウコを起こさぬよう慎重にベッドを抜け出し、帰り支度をした。
ケンの部屋は築二十年を越すオンボロアパート。
この部屋よりの間取りは狭く、二人いるだけで底が抜けそうなくらい床が軋む。
気の効いたエアコンなんてものは縁の遠い存在。
そうなると、必然的に彼女のアパートで過ごすことが多くなった。
しかし、一緒に住むまでにはいかなかった。
自分の時間、居場所がなくなるような気がして、ケンは一緒に住もうとは言わなかった。
だから、彼女が寝ると気づかれないように起き、自分のアパートに戻ることにしていた。
今では物音を消して、行動する技術まで覚えた。
しばらく彼女の寝顔を見ていると少し湿った風が吹いた。
網戸越しの風の匂いがもうすぐ夏を迎えるような、すがすがしい感覚に思いを駆られた。
心に少し葛藤が生まれてきそうだったが、梅雨を抜け出した初夏の太陽のように、
二人のこれからは明るく輝きだすものだとケンは信じていた。
ゆっくりと二人の時間が過ぎていった。
夜中に目覚めたケンはキョウコを起こさぬよう慎重にベッドを抜け出し、帰り支度をした。
ケンの部屋は築二十年を越すオンボロアパート。
この部屋よりの間取りは狭く、二人いるだけで底が抜けそうなくらい床が軋む。
気の効いたエアコンなんてものは縁の遠い存在。
そうなると、必然的に彼女のアパートで過ごすことが多くなった。
しかし、一緒に住むまでにはいかなかった。
自分の時間、居場所がなくなるような気がして、ケンは一緒に住もうとは言わなかった。
だから、彼女が寝ると気づかれないように起き、自分のアパートに戻ることにしていた。
今では物音を消して、行動する技術まで覚えた。
しばらく彼女の寝顔を見ていると少し湿った風が吹いた。
網戸越しの風の匂いがもうすぐ夏を迎えるような、すがすがしい感覚に思いを駆られた。
心に少し葛藤が生まれてきそうだったが、梅雨を抜け出した初夏の太陽のように、
二人のこれからは明るく輝きだすものだとケンは信じていた。