中欧の5大古都と云えば、ウィーン、ブダペスト、ブラチスラヴァ、プラハ、クラクフであろう。
共にドナウ川の以北にあって、ローマ帝国の北方進出から端を発し、各々の建国の歴史には民族、
文化、宗教、風土といった切り離して語れない繋がりがある。
今回は今まで触れていなかったクラクフとプラハ方面を訪ねてみたい。
(但し、1回の旅のものではなく、過去数次にわたる旅の記録をまとめたものである)
オーストリアを除く東側共産圏であったハンガリー、スロヴァキア、チェコ、ポーランドがEUに
加盟したのが、共に2004年5月1日であった。 それ以前にハンガリーに住んでいた小生が東側
共産圏に入るのは、かなりの手間が掛かり、各国のビザ取得が必修であった。
特にクルマで越境する時は、国境検問所での通行ビザの取得で数時間の待機を覚悟せねばなら
なかったので、大幅な遠回りでも既にEU加盟国であったウィーンを通る方が簡単に越境できたし、
EU加盟後も暫くはインフラの整備状況も良かったオーストリア~チェコ経路を使うことが圧倒的
に多かった。
しかし、現在ならばブダペストからM2(E77)を通って、真っすぐ北上するルートがお勧めだ。
世界規模で知れ渡った名所などないが、何といっても大自然が満喫できるであろう。
May 03 2019
まず、ハンガリーの国境を越えると広大な菜の花畑に目を奪われたのであった。
● バンスカー・ビストリツァ (Banska Bystrica)市の Srare Hory村にある聖母被昇天教会
1449年の創建以来、国内外から多くの巡礼者が集まるという。
祭壇部 SNS wikiipedia より拝借
● 時間的な余裕があれば、タトリ (Tatry) の山々の絶景を眺めて行くのも一考かと。
2~3000 m級の山の連なりが眼前に迫る
● 山の麓を縫うタトリ電気鉄道は鉄道マニアの垂涎の一つ。
<ロケーション>
<クラクフ (Kraków) 小史>
クラクフには西スラブ民族が先住していたが、その後モラビア王国→ボヘミア王国と続き、
1038~1596年までの約550年間はポーランド王国の首都になった。
1596年以降は、それまでのヤギェウォ王朝が絶滅し、17世紀になると都はワルシャワに移り、
1918年までは、オーストリア(ハプスブルク)支配のクラクフ公国となり、第一次世界大戦で
解放されポーランドは独立したが、第二次世界大戦後はソ連の支配下となった。
Aug. 01 2013
旧市街地へはヴィスワ川を渡って、写真の橋を右(北)方向に向かう。 向こうの山は
コシチェシコ山で、写真はヴァヴェル城からの眺めで、街は第二次世界大戦の戦火から
逃れることが出来、1978年にユネスコの世界遺産に登録された。
1.ヴァヴェル城 (Zamek Królewski na Wawelu)
現在の旧市街地の南端に城は位置し、建国当初はヴィスワ川が中州になっており、その中
の木造の要塞であった。 モンゴルの襲撃以後、14世紀になっての街の繁栄に従い強固な
石造りの城が建てられた。
● 城の南門
● 城の中庭; 正面が大聖堂で右側が旧王宮
● ヴァヴェル大聖堂 (Karedra Waweiska)
カトリック教会であり1364年に建立され、ポーランド史における英雄的人物や歴代の国王
が地下に埋葬されている。
大聖堂の入口と金色のドームを戴く礼拝堂
大聖堂のジグムント塔の最上階にある鐘は1520年に鋳造されたポーランド最大の鐘
国家の重要な慶事の際のみ鳴らされている。
● 旧王宮 (Zamek Królewski) ;16世紀初頭に建立、現在は内部が博物館になっている。
2.中央広場
2-1. 聖マリア教会 (Kosciól Najswietszej Marli panny)
最初に建てられたのは、1222年であったが、モンゴルの襲撃によって破壊され、1290~
1300年にゴシック様式で再建された。 その後、改修・再建を重ね現在の姿は1891年に
再建されたネオゴシック様式である。
レンガを用いたゴシック様式で “ブリック・ゴシック” とも呼ばれ塔の高さは80m。
彫刻家ファイト・シュートス (Veit Stoss) 作の祭壇は必見の逸品。
撮り逃した為、SNS Wikipediaより
2-2. 聖バルバラ教会 (Kosciól sw. Barbary)
聖マリア教会の隣りに建つ、同様のブリック・ゴシック様式で1402年に建てられた。
内部は1692年からバロック様式で改装。 所有者が数回替わったが、今はイエズス会。
2-3. 旧市庁舎の塔
14世紀建立の市庁舎は1820年に取り壊され、高さ70mの塔だけが残された。
ポーランドの斜塔とも呼ばれ、塔は 55 cm ほど傾いている。
傍らに横たわるオブジェは「Eros Bound」、ポーランドの芸術家イゴール・ミトラジの
1999年の作品で2004年の1月にここに設置された。
2-4. 織物会館 (Sukiennice)
14世紀に建てられたものだが、当時は衣服や布地の交易所であったことより、現在も
この名で呼ばれているが、中は土産物、民芸店が軒を並べている。 2階は国立美術館、
地階は博物館(2010年オープン)になっている。
2-5. 聖ヴォイチェフ教会 (Kosciól sw. Wojciecha)
中央広場の南端に佇む緑色のドーム屋根のローマ時代からの教会。
11世紀後半に設立されたクラクフで最も古い教会である。
3.バルバカンとフロリアンスカ門 (Barbakan and Brama Florianska)
1498年に造られた円形の砦は、北門にあたるフロリアンスカ門を守っていた。
砦に繋がっていた市街を守る城壁は、19世紀に取り払われて現在は緑地化されている。
フロリアンスカ門は1300年頃に造られ、バルバカンの後ろ(内側)にある。
4.聖ペテロ聖パウロ教会 (Kosciól sw. Piotra i Pawla)
旧市街とヴァヴェル城を結ぶ道路脇に位置し、正面ファサード前にイエスの12使徒像を
並べた優麗な、1619年に建てられたイエズス会の教会である。
これにて「中・東欧を訪ねる(1)クラクフ」は、お終いです。
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