ハンガリーの最高峰マートラ (Mátra) 山(898m)とブック (Bükk) 国立公園に囲まれた
峠の城下町エゲル (Eger) は、国内でも10指に入る観光地と言えるであろう。
何といっても山のすそ野に広がる葡萄畑は、ワイン作りに最適な環境で銘柄のBekervér
ワインは知名度No.1である。
それと歴史(教会)と温泉好きな人には、充分満足できる地域となることだろう。
< エゲルの中央広場 (Döbó istván ter) >
エゲル川を渡るとエゲル城はすぐ鼻の先、右の教会は聖アンソニー教会で1771年の
創建であるので中世の教会とは言い難い。
エゲル城は1552年にオスマントルコ軍の襲撃に対して、38日間の死闘の末、1596年
まで守り抜いたが、その後の91年間はオスマン帝国の支配となってしまった。
この史実は学校の教科書でも記載され、子供達への育成において国民の誇りと励みを
培って来たと紹介されている。 学校の遠足でも最も多い町だと云われている。
先程のワインのBékervér は “雄牛の血” と訳され、ハンガリー兵士が士気を高める為に
ワインを飲んで戦っていたので、トルコ兵は恐れをなし、38日間も持ち堪えたと
いう逸話もある。
● 城側から見た中央広場とエゲル川
この風景を見る度に岐阜県にある高山市の街並みと似ている気がするのは自分
だけだろうか?
向こうに見える尖塔はオスマン帝国が残していったミナレット (Minaret) と呼ば
れるモスクの塔である。
<ロケーション>
今回の中世の教会スケッチは、マップの中で赤丸で印した位置でエゲルの街中では
なく20kmほど離れた郊外にある。
尚、教会の詳細は、本ブログの2013/03/24,25 に投稿しております。
◆ フェルデブロー (Feldebró) カトリック教会
11世紀の創建で、オリジナルは祭壇が5つもあった大きな教会である。
13世紀と15世紀に2回改築されたが、オスマン帝国の占領時代は廃墟になって
いた。 1745年に外壁は保存するように残し、内部はバロック様式で再建した。
● 残された外壁
● バロック様式で再建された内陣と地下にある霊廟の壁にあるフレスコ画
11~12世紀のアルパード時代の君主ファミリーの霊廟である。
● ローマ帝国時代の墓地 ... 近所にほとんど完全な形で残っている(必見)
向こうに見える教会がフェルデブロー教会で目視出来る近さ。
◆ タルナ・聖マーリア (Tarna Szent Mária) カトリック教会
教会は10~11世紀に王子の墓地として造られたものだと推定されている。
(10世紀頃となると歴史があやふやなってくるのだろう)
● 祭壇側から見た教会と地下霊廟の入口(危険防止の為、公開は中止中)
● 内陣 ... 1880年代にネオ・ロマネスク様式で改築され、塔も追加された。
◆ ベーラパートファルヴァ (Bélapátfalva) 修道院教会
修道院は1232年にベネディクト派の修道士の為に建立され、13世紀初めに
アルパード王朝の君主ラスロー4世によって破壊されたが、14~15世紀に
かけてゴシック様式で再建された。
● ファサードのバラの窓(ゴシック)と入口門(ロマネスク)... 素晴らしい調和感
● 内陣(祭壇側と入口側)
● ブック (Bükk )国立公園の入口駅
長閑なサルヴァスコー (Szarvaskő) 駅
修道院はブック国立公園の森の中
◆ ボガーチ聖マールトン (Bogács Szent Márton) 教会
オリジナルの教会としては 1248年に聖Győrgyを祀った教会がこの場所にあり、
14世紀に再建された。 1958年に再建された時にローマ時代を復古させる為に
外観を石造りで復活させた。
これにて「ハンガリー東部エゲルの教会スケッチ」は、お終いです。
本ブログへのご訪問、有難うございました。