ハンガリーの街の名前には、長くて、何処で切って発音したら良いのか困って
しまうものに出くわすことが、ままある。
今回のチェンペスコパーチ (Csempeszkopacs) もその一つで、前回のセーケシュ
フェヘールヴァール (Székesfehérvár)に比べれば、まだ大分マシと云えるが。
どうせ、まともに発音できないのだから、いっそ、うーんと長い方に愛着を感じて
しまう。
● シャールヴァール (Sárvár) へ向かって流れるラーバ川 Jan. 28 2020
この地域はハンガリー第三の河川、ラーバ (Rába) 川に近いという事と、昔から
の西側からの幹線街道(国道8号線)沿いであったせいか、昔は栄えていたのだ
ろう、地図に依ると教会や領主の館(宮殿)が集中している。
ラーバ川を境に西へは、オスマン帝国の進出はなかった為、古い建造物や遺跡が
残っているらしい。
ラーバ川はドナウ川の支流の一つであり、27Kmほど川を沿った所には、ハンガ
リーで有数な温泉地と城下町のシャールヴァール (Sárvár) がある。
● シャールヴァールの城址公園(アーチ門の橋がランドマーク)
May 01 2000 アナログカメラより
城はそれほど古いものでなく、この地の領主 Nádasdy 家の砦をバイエルンの王
が譲り受け、城の機能を持たせ、この地を守った。 20世紀以降、ここは
ポーランド人、南セルビア人の多くが住む(人口の半分)、彼等の第二の故国と
なっている。
<ロケーション>
1.チェンペスコパーチ (Csempeszkopács) 教会
正式の名称は、聖ミハーイ (Szt. Mihály) 教会で、現在はローマカトリック教会
であるが、17~18世紀に改革派(カルヴィン派)が使っていた時期がある。
1250年代にロマネスク様式で建てられた中世を代表する教会の一つである。
Jan. 28 2020
あいにくの改修中(シーズンオフに多い)の為、過去の写真も使う。
● 最も美しい時期では、 Jun. 09 2007 撮
● ロマネスク様式の東門は、当時の様式を知る上で興味深いもので、石柱(コラム)
とギザギザ波の紋様の組み合わせが特徴。
Jun. 09 2007
門の上の彫刻はハンガリーで最も美しいと云われているヤーク (ják) 教会と
同じ羊のモチーフを用いていることは、この教会は小さいながらも、当時は
宗教上重要な意味を持っていた教会と思われる。
● その他には、窓の周囲の飾り紋様や屋根の下の紋様と庇部に色付けされている
等、他には見掛けない贅沢が施されている。
Jun. 09 2007
● 教会の内部は壁に描かれたフレスコ画でいっぱいであるが、初期のローマ
カトリック時代の画ではなく、改革派によって上塗りされたものが残されて
いる。 それも1回でなく、数回という調査結果である。 Jun. 09 2007
祭壇天井の絵 Dec. 31 2009
● 内陣の壁にアダムとイヴの絵(色が一色で初期の塗り替えの絵であろう)
Jun. 09 2007
2.メッジェシコヴァチ (Meggyeskovács) の教会
ローマカトリック教会で、13世紀にロマネスク様式で創建されたらしいが、
18世紀にバロック様式で再建され、今のは近年の改築物。
Jan. 28 2020
3.ラーバトゥットゥシ (Rábatöttös) の教会
正式名称は聖ツェツィーリア (Szt. Cecilia) 教会で、ローマカトリック。
13世紀の初めにロマネスク様式で創建されたらしいが、17~18世紀に
塔と共にバロック様式で再建された。
<今日のスケッチ>
チェンペスコパーチの聖ミハーイ教会
これにて「国8沿線(5)ヴァシュ郡の中世の教会」はお終いです。
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