ピパチ (pipacs) はハンガリー語であり、英語ではポピー(poppy) 、フランス語では
コクリコ (Coquelicot) 、中国語では虞美人草、日本語ではヒナゲシ、いずれの呼び方も
世界中でポピラーになっており、人々から愛されている花である。
人工的な栽培もあるが、一般的には野に咲く雑草である。 花の咲き終わった種子が
風に吹かれて、人やクルマなどに運ばれて翌年に思わぬ所で繁殖する。
種子が停滞する所、例えば土手とか樹の脇とか、そして停滞する場所が大きい所では、
例えば盆地などでは群生し、素晴らしい光景を提供してくれる。
そんな開花のプロセスから、私の経験より、毎年、群生する場所が同じ場所でないようだ。
(野生でなすがままなのが好きである)
5月の初旬からが開花時期で、その場所を探すのが恒例の楽しみになっている。
地形的に盆地の多いバラトン湖の北岸沿いに、ピパチの群生を見つける可能性が高い。
次に示すマップは過去に遭遇したピパチの群生の位置と時期である。
残念ながら、二度と同じ場所にピパチの群生を見たことがないのである。
探索のスタートは前回のブログが終わった地点のメンチヘイ (Mencshely) からと
した。 .... ここはバラトン湖周辺で最も風光明媚な盆地 Dörgicse & Kali-medence の
北の入口にあたる。
ドゥルギチェ (Dörgicse) の村を通り、バラトン湖畔を目指す。
スケッチをしてみたい気分の場所。
May 14 2020
① バラトン・ウドヴァリ (Balaton udvari) ... 番号は上記地図内番号と一致
今年2020年は昨年に引き続き、ピパチの群生は見られなかった。 May 20 2020
<過去2018年の状況> May 20 2018
② ウルヴェニェシ (Örvenyes)
2020年はピパチの群生はなく、数輪が忘れ去られたように咲いていた。
May 20 2020
但し、ここより北に数km 先のアソーフォー (Aszófő) に移った感じであるが
群生というには少な過ぎる。 May 20 2020
<去年2019年の状況> May 24 2019
③ バラトン・レンデシュ (Balaton rendes)
今年2020年は、ここにもピパチの群生は見られなかった。 May 20 2020
<過去2018年の状況> May 20 2018
4.針山 (Hegyes-tű) の麓 .... カーリ盆地の中にある
今年2020年もまた、ピパチの群生はなく、カーリ盆地を縦断する道路沿いには
もう何年も見掛けていない。 最も素晴らしい場所であったのに....
May 14 2020
向こうの尖った山が通称、針山である。
<過去2008年の状況> May 24 2008
<補足説明> カーリ盆地 (Káli-medence) とは、......
大昔にバラトンの火山活動で出来た山々に囲まれた盆地で、バダチョニ山 (Badacsony-
hegy) の麓から北へ針山 (Hegyes-tű) 付近までの12 km の距離で、面積で9000 ㎡ の
平らな窪地である。 探検家のカール何とかさんが最初に紹介したことで名付けられた
と記憶している。
バダチョニ山からのバラトン湖を眺める風景は、随一だろう。 すかさずスケッチ、
対岸はフォニョード (Fonyód)
盆地の南端 .... 正面に見える山がバダチョニ (Badacsony) で標高437mである。
May 14 2020
北の端の針山 (Hegyes-tű) まで
⑤ トォトヴァージョニ (Tótváysony)
今年2020年は、一面の麦畑に生まれ替わり、ピパチは一輪もなかった。
May 14 2020
<過去2018年の状況> May 21 2018
⑥ バラトン・フーカヤール (Balaton főkajár)
今年2020年は、M7高速道路の新ジャンクション開通もあり、土地の掘り返しが
あった為か、昨年よりピパチの群生は見られなくなった。
May 20 2020
但し、710号線の準高速道路沿いの土手に移動したようだが、群生とは言い難い。
May 14 2020
<過去2018年の状況> May 18 2018
<ピパチの群生スケッチ>
カーリ盆地 (Káli-medence)
トォトヴァージョニ (Tótvázsony)
結局、今年2020年はピパチの群生を一つも見掛けることがなかった。
これも新型コロナウイルス騒ぎがこんなところまで影響しているのだろうか?
(ピパチの種子の運び屋であったクルマやハイカーが自粛しているせいなのか)
これにて「バラトン湖をスケッチ(9)ピパチを探し求めて」は、お終いです。
本ブログへのご訪問、有難うございました。