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気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

正義を敵として描く

2013年05月19日 | 漫画・アニメ、そして特撮

たいがい物語には、主人公と、その相対する相手という存在がある。

主人公が善玉であったにせよ、あるいはあえて悪者を主人公にした場合でも、その相対する相手は主人公に対して「敵」として存在することになる。

これまで世界では無数の物語が作られてきた。コミック、アニメ、小説、ドラマ、映画、その他。

そして、無数の登場人物が存在してきている。

その無数の登場人物の中には、通常は善玉として描かれるキャラは多い。

だが、そういう善玉であったとしても、相対する側から見たら敵である。

善玉にしろ、悪玉にしろ、双方にはそれぞれの立場があり、立場が変われば悪玉は正義にもなりうる。

こうなると、正義と悪の違いは、立場の違いからくるものであり、世界基準・宇宙基準から見たら善と悪の区別は紙一重だったりもするだろう。

となると、正義と悪という区別ではなく、主人公とその敵・・・という風に捉えたほうが早いかもしれない。

 

物語には、・・例えばそれが史実をベースにした作品である場合、主人公になりやすいキャラというのがいる。

例えば、源義経とか坂本龍馬とかなどは、主人公にされやすい人物であり、また彼らが主役である場合、物語の都合上「善玉」みたいな存在として描かれやすい。

だが、相対するキャラがある以上、相対する側から見たら義経も龍馬も敵である。

例えば義経などは、平清盛側から見たら敵。龍馬は新撰組側から見たら敵。

2012年の大河ドラマは平清盛が主役だったから、後半からでてきた源義経は当然敵だったのだが、どうも見ていて敵という感じがしなかった。

また、以前「新撰組」を描いた大河では、当然龍馬は敵のはずだったのだが、見ていて「敵」という感じがしなかった。

普段、主役として描かれることが多い人物は、普段の主人公としての描かれ方のイメージが強いから、いざ敵になってみても、どうも普段のイメージが残っていて、敵という感じが弱い・・。

だが、物語を盛り上げるためには、やはり敵は敵らしくあってくれないと、主役が引き立たない。

主役を主役側の立場で描くと、主役側は正義的な存在になるから、それに相対する「敵」は、いっそ「悪」らしくないと、主役の立場が弱くなってしまう・・。

そういう意味では、義経や龍馬などは、正真正銘の敵とか悪役としては描くのが難しいキャラではある。

ということは逆に言うと、義経や龍馬を悪役として悪らしく描くと、けっこう新鮮かもしれない。

敵らしくない敵とか、悪らしくない悪だと、主人公と相対する存在として登場してきた場合、どうも中途半端で弱い・・・。

 

そのへん、絶妙なキャラが織田信長。

信長もまた龍馬や義経と同様に、主人公にされやすいキャラ。

だが、信長の凄いところは、他の戦国武将などが主役になって善玉みたいに描かれた場合、信長はちゃんと正真正銘の敵役、にくたらしい悪役にもなれてしまいそうなところ。しかも時にはカッコイイ悪役にもなれそうだし、本当に憎たらしい悪役にもなれて、しかもそれがハマりもしそう。

その意味では、「主役として描かれることが多い人物」同士としては、龍馬や義経よりも信長の方がキャラとして1ランク幅が広いのかもしれない。

義経や龍馬を正真正銘の悪役、にくたらしい悪役として描いた作品は・・・・私の記憶ではパロディでもないかぎり、あまり思いつかない。

 

やはり、義経や龍馬は、憎たらしい敵として十分に描くのは難しいキャラなのだろう。

根っからの敵役、正真正銘の悪役には、なりにくいのだろう。

今回、たまたま義経と龍馬の名前を出したけど、そういうキャラって他にもいるよね。

 

いっそ、これまで架空の世界で生れてきた正義の味方ヒーローを、切り口を変えて根っからの敵役、憎たらしい悪役として描いたら・・・どんな作品になるだろうか。

つまり、善と悪の立場が逆になるわけである。

例えばウルトラマン、月光仮面、スーパーマン、仮面ライダー、009、鬼太郎、その他・・。

それら、これまで散々「正義のヒーロー」として描かれてきたキャラが、相対する側が主人公になって、これまで相対してきた相手の視点や都合から見て「悪者」として描かれたら?

バルタン星人が主役なら、ウルトラマンは悪であり、敵。

ショッカーが主役なら、仮面ライダーは敵であり、悪。

黒い幽霊団(ブラックゴースト)が主役なら、009たちは裏切り者の悪。

人間嫌いな妖怪が主役になったら、鬼太郎は悪であり、敵。

しかも、ウルトラマンも、ライダーも、009も、鬼太郎も、皆・・・主役以上に強いときている。

そんな感じで物語が作られた作品を見てみたい気もする私は、変わりものだろうか?

 

 

もっとも・・・そういう作品ができたら、それらの正義ヒーローの熱烈なファンの多くからクレームがきそうである・・・というのが心配だけど。

「俺たちのヒーローに、悪いイメージを植え付けるな!」と。

 

もしも

悪には悪の正義があるのだとしたら・・・

善と悪は、立場の違いからくる分け方でしかない場合は多いとは思う。


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