幼少の頃によく行った町医者。
そこは小さな診療所だったが、医者は優秀な医者だったようで、いつも待合室は混んでいた。
その診療所の待合室には、本がいっぱいあり、大人向けの雑誌だけてなく、漫画週刊誌も多く置いてあった。
そして、壁には色んなポスターが貼られていた。
壁にあったものの中には、ポスター以外のものもあった。それは標本であった。
私がその診療所に行くと、いつもその標本が目に留まった。
何度見ても同じもののはずなのに、その待合室に行くと、いつもその標本が気になった。
なぜならその標本は、医療関係の場所以外ではまずお目にかかれない標本だったからだ。
というか、今となっては、あちこちの診療所でもお目にかかれない代物。
では、どんな標本だったかというと・・・
それは
なんと・・
ズバリ!
ウ〇コの標本であった。
もう記憶は定かではないが、その標本の中にあったウン〇は、主に赤ん坊の〇ンコだった気がする。
もちろん、本物ではなかっただろう。
本物だったら、・・・ちょっと想像したくないし、思い出したくもない。
だいいち、本物だったら、いつまでも標本ケースの中に一定の形を保ったままで長く保存できることはできない・・・と思うのは、私に知識がないせいだろうか。
ともあれ、あくまでもレプリカだったのだろう。そう思うから、思いだせるし、こうしてネタにもしてるわけで。
よく、昔ながらの食堂などにいくと、入口のウィンドウなどに、メニューのサンプルとして展示されてる、食べ物のレプリカがあったりしたが、そのウ〇コ標本も、そういう類のレプリカだったのだろう。
そのレプリカウ〇コは、その排泄主の健康状態を、ウ〇コの状態で示したものだった。
こういうウ〇コが出る時は、その人の体調はどういう状態で・・・・みたいなことが書かれていたような気がする。
いくつもの種類の、それぞれのウ〇コのレプリカの隣に、そういう説明が書かれていた・・・ように思う。
ともかく、たとえレプリカであったとしても、ウ〇コのレプリカである。
医療関係以外の場所でお目にかかれるはずもないし、どの診療所でも必ずお目にかかれる標本というわけでもなかった。
だから、珍しさもあったし、なによりインパクトが絶大であった。
だからこそ、今もこうして覚えているのだ。
先ほども書いたが、今ではその「ウ〇コ標本」は、あちこちの診療所に行っても見かけない。
それとも、たまたま今の私が行く診療所に無いだけなのだろうか。
いや・・・
やはり、そういう標本そのものを、今では見かけない気はする。
別に、あの標本を復活させてほしい・・・と診療所にリクエストしたいわけではない。
また、改めて「見たい」というわけでもない。
見かけなくなったのは・・・
やはりレプリカとはいえ、ウ〇コだからだろうか。
それを当時見た大人からクレームでもその診療所にいったのだろうか。
そのへんの事情は分からない。
ただ、昔の診療所では、そういう標本があった・・・というのは確かだ。
あった・・ということは、そういう標本を作っていたメーカー(?)もあったというわけだ。
そのメーカーは・・・そういう標本を作る時、本物のウ〇コをまじまじと見ながらレプリカを作ったのであろう。
それを想像すると・・・・凄い・・・。
あの標本の意味合いとしては、「こういう排泄物が出る時は、こういう病気の可能性があります」という、医療面での注意喚起だったはず。
そういう意味では、参考になる標本でもあったはず。
昔の診療所で見かけた「ウ〇コ標本」、貴方はみたことがあるだろうか。
あるいは、今でもどこかの診療所では、置いてあるのであろうか。
少なくても、最近の私は、そういう標本は見かけなくなっている。
ともかく、あのインパクト性は、ただものではなかった。
幼少の私であっても、あまり長く凝視したくはない標本ではあったけれど。
ちなみに・・・その標本を私が見た診療所は、今では・・・とうに無い。
今では、昔その診療所があった場所の前を、当時と変わらぬ曲線の道が通っているだけだ。