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気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

「野性の呼び声」を観てみた。

2020年10月10日 | レビュー(テレビ、ゲーム、本、映画、その他)

 

先日レンタルビデオショップで、ふと見つけた映画「野性の呼び声」。

思わず借りてしまった。

というのも、この映画の原作小説を私は十代の頃・・・というか、高校生の頃に読んだことがあったからだ。

作者はジャック・ロンドン。

原作小説のタイトルは「野性の呼び声」。いや、もしかしたら小説の日本題は「荒野の呼び声」だったかもしれない。

まあ、どちらにせよそれは日本人がつけた日本題だし、ニュアンスは同じようなものなので問題はない。

 

十代の頃この小説を読んだ時、ともかく面白かった。

本は文庫本サイズで、厚みもそれほどなかったような気がする。

気がする・・・というのは、原作本自体、多分引っ越しか何かの時に紛失してしまったからだ。

今では我が家にはその原作本はない。

高校の頃に読んで以来、読み返したことはないので、ストーリー自体はほとんど忘れてしまっていた。

とりあえず覚えていたのは、「ともかく面白かった」ということと、バックという名前の犬が主人公の冒険談だったということ。

 

機会があれば読み返してみたかったが、いかんせん本が手元にもうないので、今回この小説の映画版DVDを見るのはストーリーを思いだす良い機会だと思った。

 

で、ためらわずにレンタルして見てみたのだが、少なくても私は面白かった。

 

一応人間もからむし、メイン級の人間はハリソン・フォードが演じているが、実質的な主人公はバックという犬だ。

背景のカナダの自然風景が素晴らしいのはもちろんだが、なんといってもバックを中心とする動物たちの芝居が凄い。

よくこんなにしこめたものだな・・と思って見始めたのだが、動物の芝居があまりに見事すぎるので、これは本物の動物ではなくCGではないかと気付いた。

というか、あまりに細々とした演技っぷり、調教では難しいだろう。

動物シーンが全てCG・・・というのは、私個人的には通常ならちょっとがっかりするところだ。

だが、このCGが実によく出来ており、本物の動物の動きとして見れるレベル。

とても全編CGとは思えないぐらいだった。

強いてあげれば、前述の通り、あまりに動物の芝居が細かいので、本物の調教ではないなと気がつくぐらい。

 

 

バックという大型犬が、人間の都合により次々と飼い主が変わる過程で、だんだん野性に目覚めていく・・・・おおまかなストーリーの流れはそんな感じだ。

犬ぞりようの犬として調教されてる時は、時には買い主の妻を命がけで救ったり、犬ぞりの犬たちの中で頭角を現してやがてはリーダー犬に取って代わったりもする。

その素質はピカイチであった。

また、心ない飼い主に飼われた時はひどい仕打ちを受けたりもする。

そして最後に出会った主人ソーントン(これがハリソン・フォード)とは友情で結ばれたりもする。

で、最後の主人ソーントンと旅をして、大自然の奥に入っていくと、そこでバックは思わぬ出会いがあり、それがきっかけで段々野性に目覚めていく。

とはいえソーントンとの友情は最後まで変わらなかった。

ソーントンはバックに「お前(バック)は自分の居場所を見つけたのだ」と言い、そんなバックを尊重する。

やがてバックは・・・。そしてソーントンは・・・。

まあ、これ以上は書かないでおこう。いや、すでにだいぶ書いてしまったかな(笑)。

 

 

バックは最後にソーントンという主人に出会えたことで、映画の後味は実に良いものがある。少なくてもバックの「その後」のことを考えると。

 

映画を見ながら、「あ、高校の頃に読んだ原作も、こんなストーリーだったんだろうな」と思った私。

原作を読んだ時の面白さの記憶があるから、私はこの映画をより楽しめたのかもしれない。

 

このバックという犬、実に大柄な犬なので、当初は私はあまりかわいいと思えなかった。

犬はかわいい動物だと私は思うが、あまりに大柄な犬だとかわいいという感情よりも、一種の威圧感を私は感じてしまうから。

だが、見進めるうちに、どんどんこのバックがかわいく思えていった。

CGならではの、バックの表情も良い効果をあげていた。

人間と会話はできなくても、その表情で人間と会話をしていたと思う。

 

ハリソン・フォードといえば、言わすと知れた大スターだ。

でも、その大スターを食ってしまうほどの存在感がバックにはあった。

そう、だから、事実上の主役は犬のバックなのだ。

でも、ハリソン・フォードとバックの友情が、作品を観終わった後に余韻として残る。

 

映画としては決して超大作という感じではない。

CGが多いことによる否定派の意見もネットでは見つけられた。

もちろん、肯定派の意見も多かった。

私はとりあえず十代の頃に感動した原作小説の内容を少しでも思いだせたことがよかった。

こういう小説だったんだなということで。

 

人間である監督が動物にきめ細やかな芝居を要求するには、やはりCGじゃないと無理なのだろうなあ。

私はあまりにCGを多用する作品にはこれまであまり肯定的ではなかったので、たまたまこの作品は中々良かったけど、映画が今後もあまりにCGに頼りすぎていくのは、ちょっと複雑な思いもある。

 

この原作は元々かなり人気の高い作品らしく、過去にも映画化されたことがあったらしい。

多感な時代に出会ったものは、その人にとって「核」となりえる可能性がある。

映画も、音楽も、小説も、漫画も、その他もろもろ。

そういう意味では、この原作に十代の頃に出会えたことは私にとっては大きかったのだと思う。

多感な時代にこの原作を読んでなかったら、この映画も手に取ったかどうかわからないし。

で、見終えてみたら、普段あまりにCGを多用する映画には肯定的な反応を示さない私でも、この作品は楽しむことができたから。

 

 

蛇足だが、十代の頃にこの原作を読んだ時、主人公バックには私の中でイメージがだぶるキャラがあった。

それは、白土三平先生の代表作にして金字塔的名作「カムイ伝 第1部」に出てきた白い狼であった。

そんなことも、この映画を見て思いだした。

 

 

ちなみに映画の主要スタッフやキャストは以下の通り。

 

原作  ジャック・ロンドン

監督  クリス・サンダース

脚本  マイケル・グリーン

出演  ハリソン・フォード

    オマール・シー

    ダン・スティーブンス

    カレン・ギラン

    ブラッドリー・ウィットフォード

    他

音楽  ジョン・パウエル

製作  アーウィン・ストフ

    ジェームズ・マンゴールド

 

 


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