すっかりお馴染みとなった、このブログ名物企画「某・居酒屋マスターの お宝ソノシートシリーズ」。
その第13弾!
今回は、いよいよ「スーパージェッター」の登場だ!
個人的に待ちに待った作品。やっと、取り上げる機会が来た!
このソノシート紹介シリーズで紹介する作品の中でも、私にとってはトップクラスのお気に入り作品!
この作品から、私はどれだけ影響を受けたか分からないくらいだ。
もう、全てがカッコ良かった。キャラデザイン、キャラの設定、アイテムの設定、主題歌、その他。
モダンで、未来感覚にあふれ、奇抜な発想のアイテム、そして流星号!
スマートでオシャレで、本格的なSF作品・・・という趣があった。
当時漫画家志望だった私が描いてたSF少年ヒーローもの漫画の主人公は、私が好きだった様々なヒーローの「オイシイとこ取り」だったのだが、その主人公の名前に多大な(?)影響を与えたのはジェッターだった。それくらい、ジェッターは好きだった。
「スーパージェッターはTBSのオリジナル企画で、1965年1月7日から1966年1月20日まで全52話が放送された。
久松文雄先生の漫画が原作かと思ったら、漫画バージョンを久松先生が担当していた・・ということらしい。
それまでにもアトム、鉄人、エイトマンなど、SFアニメと呼べるものはあったにしろ、このジェッターの設定は、SFの「らしさ」がより強調されていたと思う。
アニメ版「スーパージェッター」に参加した脚本家の名前を見れば、「なるほど!どうりで本格的だったわけだ」と合点がいく。
なにしろ、脚本のメンバーがスゴイのだ。凄過ぎる(もっとも、ジェッターの前に製作された「エイトマン」も脚本家が凄かったんだけどね)。
加納一朗、筒井康隆、山村正夫、眉村卓、辻真先、半村良、豊田有恒・・。
どうだい!・・と、関係者でもなんでもないのに、つい自慢したくなるようなメンバー。奇跡のような脚本家陣に思える。
こんなメンバーが、ジェッターを考えていたのだ。
どこが本格的SFに思えたかということを書くには、その魅惑的なアイテムを紹介すると分かりやすいだろう。
こんなアイテムや設定が出て来ていたのだ。
● 反重力ベルト
● タイムストッパー
● タイムマシン
● パラライザー
● 赤外線透視ゴーグル
● タイムパトロールという職業
● 防弾スーツ
● マッハ15で飛び、人工知能を搭載した万能タイムマシン・カー「流星号」
どれもが新鮮だった。
私が「マッハ」という言葉を知ったのは、この作品で、だった。
人間が自力で空を飛ぶことは、夢ではあるものの、実際には体の構造上、無理。
でも、「反重力」という概念があれば、本当に科学的に、理論的に、飛べそうな気がした。
タイムストッパーに関しては、当時の私にとって、極めて斬新で魅力的だった。こんな発想があるのか!・・って感じだった。わくわくした。
しかもこれ、時間を止められるのは、たった30秒間だけ。
更にしかも!一度これを使うと、その後30分間は使えない・という制約があった。
そういう制約があったからこそ、スリリングでね~。
そういう制約を設定しないと、タイムストッパーを使いっぱなしにすれば、どんな事件も解決でき、どんなピンチもピンチじゃなくなってしまうものね。
パラライザーは、相手を殺す銃ではない。相手をマヒさせる武器。
そんな点に、多少の生ぬるさも感じた反面、正義の優しさも感じさせられた。
慈愛の銃にも思えた。
タイムパトロールは、今では「架空の職業」ながら、日本においてはかなり広まっている概念だろう。
ジェッターは、その草分け的な作品だったと思う。
流星号に至っては、私にとっては、永遠の憧れである乗り物である。
オーナーの声に反応し、水中、陸上、空、すべてに対応するというシロモノ。
ボディは弾力性があるようで、まるでそれは生き物のようにも思えた。
万能車のようでありながらも、その正体は実はタイムマシンである・・という設定もニクい。
タイムストッパーを兼ねる腕時計が流星号への無線機にもなっており、腕時計に向かって「流星号、応答せよ!」と呼びかけると、どこからともなくマッハのスピードで、ジェッターの元に飛んでくる。
小学校の頃、校庭に立って、「流星号、応答せよ」と言ってこの流星号を呼び出して、それに乗ってマッハのスピードで空高く上っていったら、スターになれそうな気がしたものだ。
学校中から羨望の眼差しで見られるだろうな・・・ホント、そういう空想を何度したことか。
学校で何かイヤなことがあって落ち込んでる時、帰り際に皆の前で流星号を呼び出して、天高く飛んでゆけば、すべてを見返せるような気がした(笑)。
ジェッターと流星号のプラモを買って作り上げた時、これが本物だったら・・と何度ため息をついたことだろう。
オープニング主題歌がまた秀逸だった。
♪ ジャンジャガジャンジャガ ジャンジャガジャンジャガ
と、かき鳴らすような素早く細かいコードストロークが入ってきて、それにジェッターの声が乗っかる。ノリノリの声だ。これを聞くと、なにやら、こっちまでノッてきたものだ。
いやがうえにも、ハイテンションで作品に引き込まれた。
♪「僕はジェッター! 一千年の未来から 時の流れを超えてやって来た」
と、間髪を入れず流星号への無線だ!
♪「流星号、応答せよ! 流星号!」
この無線フレーズは流行った。よくマネしたさ。
さあ、流星号来てくれ!・・と視聴者が思う間もなく、
♪ グィ~~~ン
という音が聞こえてくる!そうだ、流星号が、マッハのスピードで駆けつけてくれた音だっ!
ギターの低音弦に指先を乗せ、その指をヘッド側からブリッジ側に、弦の上を滑らせるように移動させて弾くと、そういう系統の音を再現できる(笑)。
♪「来たな! よし、行こう!」
と、ジェッターの「勢いに乗った」声!
かくしてジェッターは愛車「流星号」に飛び乗り、マッハのスピードで、何処へともなく、かっ飛んでゆくのだ!
その行く先は、宇宙か?大空か?はたまた地上か? 深い海の底かもしれないぞ!
分厚い壁があったとしても、突き破ってしまうことができるぞ!
こんなオープニングナレーションで颯爽と始まれば、心は数秒でわしづかみされてしまうさ。
で、歌が始まる。
♪未来の国からやってきた~~
で、間奏がまた良い。
間奏では、リバーブをギンギンに効かせた口笛が流れる。主旋律とは別の「独立したメロディ」だ。粋なアレンジ!
これが、宇宙の旅路を感じさせられる雰囲気で。
気分は、まるでスペース・オペラ!
最高の主題歌だった。
昨今流行りの「どの番組の主題歌なのか分からない曲」でもなきゃ、「なにも、その番組で使わなくてもよさそうな曲」でもない。
まさに、ジェッターの主題歌以外の何者でもない歌だった。
このアニメは当初モノクロで製作されたが、後にカラーでリメークされてもいる。
なので、モノクロ版で見た人もいれば、カラー版で見た人もいるはず。
どちらの記憶も、正解。
なお、漫画版は、案外短い。
もうちょっと量があるかな・・と思っていたんだけどね。
ともあれ、スーパージェッターは、日本のSFアニメの初期の大傑作だったと思う。
ジェッターは30世紀の未来世界から20世紀の時代にやってきた未来人。
つまり、1000年先の未来人。
21世紀に生きる我々も、10世紀・11世紀の人にとっては「1000年先の未来人」ってことになる。
もしも今タイムマシンが現実にあって、我々が10世紀・11世紀の過去世界に行ったら、どういう目で見られるだろう。
その時代で、我々は何が出来るだろう。何を考えるだろう。どうするだろう。
ジェッターのように、ピュアで正しい心を持っていられるだろうか。
21世紀の科学を、悪用したりしないだろうか。
自分さえ得をすればいい・・とか、自分のわがままを人に押し付けたり・・とか、しないだろうか。
へたしたら、21世紀の我々が我慢できないことや自制できないことを、過去人に対して「上から目線」で強要してしまうことになりはしまいか。
ジェッターは・・・私がこよなく愛したスーパージェッターは、決してそんなことはしなかった。
タイムマシンが故障して、30世紀に戻れなくなってしまい、自分が暮らすはめになってしまった20世紀を、愛してくれた。
その証拠に、何の見返りもないまま、20世紀の人々や世界のために尽くしてくれたではないか。
彼のそんな心意気こそが、ヒーローたるゆえんだったんだね。
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