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今、自分にとっての「龍馬伝」を振り返る

2011年01月17日 | レビュー(テレビ、ゲーム、本、映画、その他)

「龍馬伝」が終わって、時間がたった。

落ち着いてきたところで、このドラマのことでも書こう。

終わって、しばらくたってから書こうと思ってたので、そろそろ。

 

結論から先に書くと、大河「龍馬伝」は、私にとっては「当たり」だった。

私は大河ドラマは「信長」から見始めた。

とはいっても、「信長」の後は数年間「空いた」。

「信長」の後に見たのは「秀吉」。

「秀吉」の後は「元禄繚乱」と「北条時宗」以外は全作品・全話話見ている。

「龍馬伝」は、私がこれまで見てきた大河ドラマの中でも出来はよかったと思う。少なくても、私にとっては。

 

元々、坂本龍馬が好きだっただけに、「龍馬伝」にかける期待は大きかった。

全話見終わった後の感想としては「結果的には、まあ、期待は裏切られなかった」・・と言える。

もちろん、これはドラマであり、フィクションの要素も強いので、見ていて「おいおい、これはありえないだろう」とか「え?これまで龍馬の手柄にしてしまうの?」とか突っ込み所や不満点もあったし、「これを全て史実と勘違いしてしまう人もいるだろうし、それはまずいのでは」と思った個所もあった。

また、スタート時には、「龍馬伝」の少し前に終わったTBSドラマ「JIN」の呪縛もあった。

「jin」でも龍馬は出てきてたし、「JIN」で龍馬を演じた内野さんの演じ方は実によかったし、また「JIN」そのものが良質のドラマだったので、「龍馬伝」を見始めた時は、どうしても「JIN」の龍馬と「龍馬伝」の龍馬を比べてしまった。

「JIN」もかなり評判が良かった作品だし、私と同じようについつい「JIN」の龍馬と、「龍馬伝」の龍馬を見比べてしまった人は多かったのではないだろうか。

そういう意味じゃ、福山さんは当初やりづらかったのではないだろうか。

 

正直、当初の「龍馬伝」の龍馬は、なんていうか・・どうも線が細い気もしたし、そのあとが少し心配になった。

だが、「龍馬伝」での福山さんは、回を重ねるにつれて良くなっていった。

スタート時こそ弱かったものの、終盤ではかなり良かったと思う。

福山さんなりの龍馬をだんだん確立していき、つかんだのだと思う。

もちろん、共演者たちの功績も大きい。

共演者の好演が福山龍馬を盛りたてていた。

 

シナリオ的には、「龍馬伝」では、「龍馬は最初から世間で知られている坂本龍馬だったのではなく、いかにして龍馬は世間一般のイメージの坂本龍馬になっていったか」 というのを描きたい・・という意向をどこかで見たか読んだかした覚えがある。

なので、当初の龍馬の描き方は、ああいう描き方にしたのは意図だったのだろう。

その代わり、終盤・・特に4部の龍馬は、けっこう世間一般の坂本龍馬のイメージに近くなっていたと思う。

 

「JIN」での龍馬は最初から完成した龍馬だったが、「龍馬伝」での龍馬は「だんだん完成していき、やがて坂本龍馬になっていった」という感じなので、完成形と成長形を見比べたら、どうしてもスタート時で「成長形」のほうは線が細くみえてしまうのは仕方ないことだったのだろう。

 

「龍馬伝」は、私はそのカメラワークや、画面の質感も好きだった。

広角で、奥行きがある構図が多く、また、フィルム作品のような画面の質感もよかった。

なので、大河ドラマというよりも、映画を見てるような気分になれた時もある。

そのへんが、最近見てた大河ドラマとは一味違う良さだったと思う。

 

福山さんに関していえば、当初その配役が決まった時に、「え・・福山さんなの・・?」と少し不安になった。

福山さんなら、そりゃ確かにカッコイイ龍馬にはなるだろうと思ったが、カッコイイだけの龍馬では単なるミーハーヒーローで終わってしまうんじゃないか・・・そんな思いを私は持っていたからだ。

カッコつけの龍馬なんて、嫌だなあ・・そんな気持ちも正直言ってあった。

実際、福山さんの龍馬は、かなりカッコイイ龍馬だった。

でも、・・・・見終わってみれば、そのカッコよさは、鼻につくようなカッコよさにはなってなかったと思う。

そう、嫌味なカッコよさにはなってなかったところが、よかった。

素晴らしい共演者たちのオーラがそうさせた部分もあるだろうし、福山さんの努力もあったと思う。

香川さん演じる弥太郎の存在感や演技力は凄かったし、序盤では主役を完全に食ってた感があるけど、終わってみると、いつも怒って叫んでいた印象も強いかも(笑)。

でも、香川さんが出演する他の作品・・・例えば「坂の上の雲」・・・と比べると、香川さんは「演じ分け」がうまいと思う。

演技の引き出しが多いのだろう。

 

で、福山さんに話を戻せば・・・

 

元々私は福山さんには興味があったわけではない。

だが、この大河を見て、昔ゴルバチョフさんが初めてアメリカを訪れた時の、ゴルバチョフさんに対するアメリカ人の反応を思い出した。

初めてゴルバチョフさんがアメリカを訪れた時のアメリカのマスコミの反応は、こういう言葉で表現された。

「(ソ連は信用ならないが、ゴルバチョフという男は)好感を持たざるを得ない人物だ」(当時はまだソ連があった時代)。

 

 

私がこんなこと言うのは、はっきり言って偉そうな言い方だが、「龍馬伝」を見終わった私の福山さんに対するイメージは

「くやしいが、好感を持ってしまった」ということである(笑)。

はっきり言って、今は決して嫌いじゃないです。

 

シリーズ構成的には、どうも第4部が忙しすぎたような気もする。

第1部や2部の展開にやや時間をかけすぎたんじゃないかなあ。

シリーズクライマックスの第4部では、展開が怒涛すぎて、もう少し丁寧に描いてほしい個所もあった。

それは・・例えば薩長同盟が成立する時の薩摩と長州の葛藤。

確か当初は、どちらからも同盟の話を切り出さず、最初の交渉は成立しなかったはず。

木戸 孝允が西郷に、それまでの薩摩と長州のいきさつに対して、散々グチをこぼすシーンもあったはず。

それに対して西郷はひたすらあやまる姿勢を見せ、度量の大きさを見せつける。

また、龍馬は、その後ひそかに西郷を説得し、薩摩のほうから長州に同盟の話を切り出すようにしむけたはず。

そのへんのやりとりは、「簡単に薩長同盟が成立したわけじゃない」エピソードで、このへんはドラマでもきちんと描いてほしかったかなあ。

薩長同盟が成立するという、極めて大事な場面だからね。

 

その一方で、予想以上によかったのが、「清風亭会談」。龍馬と後藤の会見のシーン。

ここは予想以上に良くできてた。緊迫感があった。

この回あたりから、私の中で大河「龍馬伝」は名作・・・・という結論になることを私は確信した。

 

テーマソングやBGMなどの音楽もよかった。

 

もしかしたら、私がこれまで見てきた大河の中で、「龍馬伝」は一番良かったかもしれない。

少なくても、私にとっては。

それは、単に私が龍馬が好きだから・・という理由だけではない。

 

 

 

さて。

春からは、あの「jin」のパート2が始まる。 楽しみ。

NHK「龍馬伝」の後だけに、今度は内野さんがやりづらかったりするのだろうか???

 


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