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一つのテーマに内容を絞ったワンテーママガジンが、最近あれこれ出版されている。
どれもそれなりに人気を博しているのだろう。
この「寅さんDVDマガジン」もまた、新たなワンテーママガジンだ。
寅さん・・もちろん、「男はつらいよ」の主人公、車寅次郎。
今では長寿だった映画シリーズとして有名だが、元はテレビドラマだった。
私はテレビドラマ版の「男はつらいよ」は、リアルタイムで見た記憶はない。
いや、あるような気もするが、思い出せない。
だが、以前ひょんなことから中古ビデオでテレビドラマ版「男はつらいよ」のビデオは入手し、今でも我が家にある。
そのテレビドラマ版「男はつらいよ」だが、実はその作品の前に、テレビドラマでは「男はつらいよ」のルーツになった作品があった。
それは「泣いてたまるか」というドラマだった。
これは、・・・相当幼いころではあるが、私は見ていたようだ。
というのは、そのテーマソングを今でも覚えていて、歌えるからだ。
♪ 空がないたら雨が降る 山が泣く時ゃ水が出る
で始まる主題歌だった。
だが内容は覚えていない。
とりあえず、「男はつらいよ」が映画化された時、「泣いてたまるか」という作品が出世したような印象を持ったのは覚えている。
で、その後・・・映画「男はつらいよ」は国民的映画として人気を博し、長く続くことに。
学生当時、私の周りの映画ファンの友人の中では、「男はつらいよ」に辛口な意見を持つ友は何人かいた。
彼らの言い分は・・「男はつらいよ」はテレビドラマでやればいい内容を映画でやってる・・・ということだった。
なので、金払ってまで映画館に見に行く気はしない、テレビの映画番組で放送されるのを見てれば十分・・・・・というのも、彼らの意見だった。
で、私はというと・・・
私は「男はつらいよ」は大好きだった!
全部ではないけど、それなりに見ている。
物語はだいたいいつも似たようなパターンなのだが、そんな点が逆に「見てて安心感を覚える」気がした。
印象に残ってるマドンナは、浅岡ルリ子さん演じる「リリ」かなあ。
私は「男がつらいよ」の物語のパターンでは、大好きなシーンがある。
毎回、そのシーンはある。
それは・・・寅さんがマドンナにふられて、柴又を出て行った後、いきなり良く晴れた空のシーンになる場面。
ふられて元気をなくした寅さんだが、その後また日本のどこかで、青空の下で元気に商売をやってるシーン。
そういう場面での寅さんは、限りなく元気。ふられたショックなど微塵も感じさせないで明るい表情で、旅空の下で、その土地の人たちに囲まれている。
ふられて傷ついて柴又を出ていく寅さんは、見てて切ない。
だが、その後、どこかの旅空の下では立ち直っている。
お決まりのパターンだ。
だが、ウェットなシーンの後に、カ~~ッと晴れた青空が画面に映し出されると、妙にすがすがしくて、嬉しくなる。
何かに傷ついても、いつまでもクヨクヨしてるなよ、違うどこかの場所で立ち直れ・・・と励まされる気がするのだ。
あの青空は、たまらなくいい。
寅さんは、傷ついたことを忘れたわけではなく、色んな切ないことがあった東京での出来事を、誰かの悪口や恨みごとをいうわけでもなく、「反省の毎日」という言い方で自分自身が非をかぶり、手紙などにしたためている。
実際にはマドンナのほうに非があったとしても・・だ。
心情はそういうものでありながら、あくまでも寅さんは、良く晴れたどこかの旅空の下で元気いっぱいで、辛いこと何もなかったように明るい。
で、それを照らし出す太陽や、寅さんを見守る空、寅さんを取り囲む人たち。
そういうラストが必ずあるから、私は「男はつらいよ」が好きだったのだと思う。
で、話をこのマガジンに戻せば、私が買ったのは、このマガジンの創刊号で、映画「男はつらいよ」の記念すべき第1作である。
若い寅さんは、ともかくガラが悪く、元気いっぱいなぶんだけ、けっこう迷惑な奴(笑)。
でも、その後のシリーズに通じる、彼のキャラクターの本質は変わらない。
シリーズ後半になると寅さんは、それなりに分別のある部分もででてくるが、この1作目では、その出発点になった寅さんが残されている。
DVDには、映画本編だけでなく、山田監督のインタビューが面白い。
それだけでなく、、寅さんの旅の舞台になった場所めぐりが今後も収録されていくようだ。
個人的には、「寅さんの旅の舞台になった場所めぐり」だけで1本のDVDにまとめてもらいたいくらいだ。
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