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西岸良平先生といえば、なんといっても「三丁目の夕日」の原作者として知られる。
その独特の、ノスタルジックでメルヘンチックでもある作風といい、その画風といい、一目見てすぐに分かる作品を描き続けている。
この「地球最後の日」は、西岸先生の短編集。
「三丁目の夕日」とは一味違う作品が並んでいる。
「三丁目の夕日」しか知らない人にとっては、先生のこういう短編集は、その内容に意外性を持つ方もいるかもしれない。
決してほのぼのとは言えない作品は、特に。
どうも絵柄があの「三丁目の夕日」と同様のほんわかした感じのであるし、しかも描き方も力の抜けた感じなので、割とすらすら読み進めてしまうが、読後に思い出すと、テーマがかなり深刻だったりする。
もしも、これらの作品を、実写ドラマ化でもしたら、そのテーマの深刻さゆえに、とんでもなく重くなってしまうかもしれない。
へたしたら救いのない絶望的な物語として、読者に大きな影を落とすかもしれない。
「これって、こんなに深刻な物語だったのか」と改めて思うかもしれない。
だが、このメルヘンチックな絵柄と、あえてライトな描き方が、物語が持つ深刻さや重たさを、読みやすい作品にしている。
的外れな意見であるかもしれない・・・と、あえて前置きした上で書かせてもらえば、この短編集を読んでて、昔私が読んでた「ある作家」の短編小説集を、ふと思い出した。
その「ある作家」とは、星新一さんである。
星新一さんの短編集を読んでたのは私が十代の頃だし、もうその内容は私は忘れてしまっている。
決して暗い作品ではなかったような気がするし、エンタテインメント性にあふれていた印象が残っているが、なぜかこの西岸先生の短編漫画集を読んでて、思い出してしまったのはなぜだろう。
ともあれ、「三丁目の夕日」の原作者の、もう一面が、この短編集にはよく出ている。
「三丁目の夕日」が好きな人も、アンチな人も、一度読んでおいて損はないと思う。
この漫画では、地球の最後は、あっけにとられるくらい、極めてあっさりと処理されているが、それは故意であろう。
こういう本を読んで、今の日本の状況を思うと、地球の危機も、日本の危機も、人間は英知と忍耐と、強い気持ちを持って立ち向かわなければいけない・・と思う。
現実世界では、そういう危機は、決してあっさりと受け入れられるものではないから。
そんなことがないように。
あまたの時代が、人たちが、築き上げてきたものなのだから。
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