小学館の学年別学習月刊誌「小学3年生」「小学4年生」が休刊になる・・・・というニュースが飛び込んできた。
「小学5年生」や「小学6年生」はすでに休刊になっているので、残るは「小学1年生」「小学2年生」だけとなった。
こうなると、残った2誌も、いつ休刊になってしまってもおかしくないような気がしてきた。
なんだか、寂しい。
学研の「科学」と「学習」も、少なくても小中学校向けのバージョンはすでに休刊。
そういや、中学や高校時代には「時代」と「コース」という学年別学習月刊誌もあったが、最近本屋でその姿を見かけないと思って調べてみたら、とうに休刊になっていたことが判明。
かろうじて「蛍雪時代」だけが残っているだけらしい・・。
こうなると、学年別学習月刊誌は、ほとんど絶滅の危機ではないか。
そう考えると、なんだか寂しい・・を通りこして、すごく寂しい。
小学校から中学校、そして高校時代、こうした学年別学習月刊誌は、私の手元で「当たり前のように」存在し続けていた。
あって当然の本だった。
特に小学校の頃は、毎月楽しみで仕方なかった。
学校のそばの、いつも立ち読みをする本屋から、この本を買っていた。
だが、ある時。隣の町に、学習月刊誌の発売日が他の本屋より1~2日早い、小さな本屋があることを級友から知った。
それ以来、わざわざ隣町まで出向き、他の人たちよりも一足早く買えることで、なにやら優越感を持っていたものだった。
この月刊誌の、自分の中での存在の大きさを、しみじみ感じたことがあった。
それは、ある時、この月刊誌を買うためのお金を、落として無くしてしまった時だった。
当たり前のように入手できるはずだった月刊誌を、その月だけ買えなくなってしまった。
お金を落とした自分が悪いのだから、親に更なる代金をねだれるはずがないことは、幼心にも分かった。
当たり前のように入手できるはずだった本が、いざ手に入らないということは、非常事態にも思え(笑)、次の号が出るまでの一ヶ月間、どうも落ち着かなかったのを覚えている。
手に入らなければ入らないほど、中身が気になってしかたなく、なにやら取り残されたような気分になったものだった。
毎月入手できるはずだった新刊号を、都合2カ月待つことになってしまった。
この時、いかにこの本が自分にとって楽しみであることか、身にしみて分かった。
結局、入手できなかったのは、この時だけ。
そう、たった1回だけ。なのに、その時の喪失感をこうして今でも覚えているぐらいなのだから、いかに自分にとって大きな存在だったか、分かる。
それ以来、この本を買うためのお金は絶対になくさないようにした。
中身は総合学習月刊誌だったので、男の子向けだけでなく、女の子向けの記事や付録もあった。
特に組み立て付録は毎号の目玉で、いつも箱詰めになっていた。それが本誌にはさんである状態で売られていたのだが、その組み立て付録の箱が、ずいぶん豪華に思えたものだった。
なかには、組み立てに失敗して完成できなかったものもあったし、完成したものでも、箱に描かれている完成図とはかけ離れている気もした。
皆さんにも、付録の思い出はいくつかあるのではないだろうか。
特に私が忘れられないのは、確か・・・小学2年か3年のころについた、「家」の組立付録だった。
2階があり、壁には家具が絵として描かれていた。
ちゃんと家の中が透き通って見え、「こんな家に住めたら、どんなにいいだろう・・」と思ったもんだった。
この家がリアルである風景を空想もしてみた。
空想の中では、その家は森の中にあり、遠くには山が見え、家の前には大きな庭があった。
そのイメージは、それ以来長年自分の中で「理想の環境」として、あり続けた。
これはどちらかというと、女の子向けの組み立て付録のようにも思えたが、どっこい男の子が組み立ても面白かった。
女の子向けの付録としては、紙製の着せ替え人形なんかも、よくついたっけ。
それ以外でも、付録の思い出は多い。
学習月刊誌は、中学になると「中1時代」や「中1コース」の2誌に分かれ、購買者はどちらか1誌を選んで定期購入していた。
私は・・・どちらだったかなあ。
「コース」のほうだったような気もする。
「中学コース」「中学時代」になると、連載漫画は減り、組み立て付録もなかったように思う。
そのへん、当初ガッカリしたものだった。
「高校コース」「高校時代」もそれは変わらず。
まあ、その分自分が大人になったのだ・・・・と思って、自分を納得させていた。
だが・・やはり、心のどこかで、組み立て付録がないのは寂しい・・という気持ちはあった。
なので、やはり、学年別学習月刊誌というと、中学や高校の「コース」や「時代」よりも、小学館の学年別学習月刊誌のほうに思い入れは残っている。
それが・・・今後は「小学一年生」と「小学二年生」だけの2誌になってしまうとは・・。
休刊の理由は、「 少子化、情報・趣味・嗜好の多様化」ということであるなら、もう復活は難しいのかもしれない。
時代の流れで仕方ないのかもしれないが、ああいう本に馴染んでいた「かつての少年」だった私としては、あの「ごった煮」的な部分も、魅力だった。
本来なら自分が読みそうもない少女マンガや少女向け付録までもが掲載されていたり、ついていたりして、「女の子はこういうものを読むのか」とか「女の子は、こういう付録で遊ぶのか」なんてことも、分かったような気になれてたからね。
世の中の需要が変わり、廃れていくということは仕方のないことかもしれないが、何十年も変わらず存在し続けた伝統ある本がなくなってしまうのは・・・・いくら今の私には縁がない本であったとしても、寂しくてならない。
ある意味、自分の母校がなくなってしまうような気持ちに近いかもしれない。
かつて、そういう本を毎月楽しみにしていた者としては。