財布を落とした経験・・・・あるだろうか?
おそらく誰でも1度や2度くらいはあるのではないだろうか。
先日、会社の後輩が財布を落とした。
どこで落としたかは大体見当がついてるようだった。
極めて限られた範囲の道で、落としたようだった。
数万の現金、カード、免許証、などなど、貴重品ばかり入っているのが財布だ。
私も落としたことがある。
・・・なんていうか・・・こんな時は、泣きたくなる。絶望的な気持ちにもなる。
世の中の全てが真っ暗やみに見えてくる。
あせりもする。
色んな気持ちが入り乱れ、その気持ちの中には、楽しい思いなど皆無。
ただただ暗くなり、あせる。
結局、後輩の財布は見つからなかった。少なくても今のところは。
自分も落とした経験があるだけに、余計に心中察してあまりある。
私が最後に財布を落としたのは1年くらい前だった。
ある駅の改札のそばで、友と待ち合わせをしてる時に、私は道路ぞいに設置してあるガードレールの上に座っていた。
座り方の角度が悪かったらしく、そこで落としてしまった。
友と合流し、カラオケボックスに行った。その時点では、まだ自分が財布を落としたことに気付いてなかった。
やがて店につき、部屋に案内された。
ソファに座った。何気に尻の感触がおかしい。
手をあててみると・・・な、無いっ!!!
財布が無い!!
目の前が真っ暗になった。
カラオケどころの騒ぎじゃない。
まずは、室内を探した。 ・・・にゃい・・。
友を店内に残し、私は大急ぎで駅から歩いてきた道を戻った。辿った。
この分じゃ、カラオケの代金も払えないし、だいいち、家に帰る金もない。
気持ちがハイになっている。なぜか体が熱い。汗が額に湧き出てくる。
心なしか心臓もバクバク・・ドキドキしてる気さえする。
世の中の景色が目に入らない。入ったとしても、不思議と現実感もない。
できれば夢の中であってくれ。
だが、地面を踏みしめて急ぐ足にはちゃんと感触もある。
やはり・・夢ではない。これままぎれもなく現実なのだ。悲しいことに。
道をジ~~~ッと睨み、何か落ちてないか探しながら急ぎ足で歩いた。
無い!無い!無いぞ!!
やばい。どうしよう。
お~~い、財布や~い。居たら返事をしてくれ。
色んな感情が交差する。
財布が健在だった30分くらい前が妙に懐かしい。30分くらい前のあの頃はよかった。
今のような悩みは悲劇は無かった。30分くらい昔の自分に戻りたい。
急ぎ足の私は、何人もの通行人とすれ違ったり、追い抜いたりする。
そこかしこの通行人の皆さんよ、貴方たちは幸せだ。
自分が財布を落としていない・・ということがどれくらい幸せなことか、わかるかい?・・とでも言いたくもなる。
道を歩く、歩く。人が過ぎる、風も過ぎる。景色も少しずつ変わっていく。
汗が噴出す。
風よ吹け吹け、嵐よ吼えろ。雪も降れ、この際だ、台風も来て良い。
天よ、神よ。
そのかわり、我に財布を返したまえ。
無い。無いったら、無い。
頼む、出て来てくれ。 歩く。探す。落ちこむ。あせる。
どうしたらいいのだ。
私のもとに帰ってきておくれ。愛してるよ。
なんとしても君を取り戻したい。またヨリを戻したい。30分前のように。
あの頃は幸せだったなあ。僕たち、あんなにいつも一緒にいたじゃないか。
仲良しだったはず・・だろ?
やがては、駅前の、さっき座ってたガードレールに戻った。
すると・・・・!
・・・・・・・あ、・・・・あった~~~~~~!!
・・あった、あった!
なんと、車道に落ちているではないか。
いや、落ちたままの体勢(?)のままで居てくれてるではないか。
♪今いくぞ~助けるぞ~ 七つの能力、カッコイイぞ!
・・なんて、光速エスパーの主題歌を歌ってる場合ではない。
エライ。よく耐えた。よくそのままの状態でいてくれた。お前の辛抱に乾杯だ!
道行く車にもつぶされず、誰かにも拾われず。
雨ニモマケズ、風ニモマケズ、そんな財布に私はなりたい。
その根性たるや、お見事であった。
お前の立場は、私の中でおおいにあがったぞ。
ふう。
あの安堵はよかった。
おそらく・・・ガードレールが死角になって、道行く人からは見えなかったのだろう。
絶妙の位置に落ちてたからね。
ましてや、そのガードレールの真ん前には交番もあったし。
たいしたもんだ。忍者のような財布だ。
地の利を活かした、「忍法ガードレール隠れの術」・・を使ったんだな。
おヌシ、できる!
気付いて拾えるとしたら、車のドライバーだろう。
だが、ドライバーにしたって、拾うからには一旦車を停めて、車から外に出て歩かねばならない。
見え方によっては、財布には見えなかったかもしれない。
それが幸いしたようだ。
ともかく、色んな好条件に守られて、私の財布は落ちたままの状態でいてくれた。
よかった。30分前の平和だった自分が帰ってきた。
やあ、また会ったね、平和な自分よ。
かくして、落とした財布は何事もなかったかのように、私に帰ってきた。
不思議と、世の中の景色をまた普通の心境で見れるようになった。
・・・・ん?
さっき私、何か妙なこと言った?
雨よ降れ?雪も降れ? あ、そんなこと、言ったっけ。
・・・私も男だ、それは良しとしよう。
だがやっぱ・・台風はやめてもらえますか(爆)。
な~んて、軽口な思いもわき上がってきて。気持ちにゆとりも出て。
その後、カラオケボックスに戻り、楽しく時間を過ごせたのはいうまでもない。
その後の酒も、美味かった。
・・・これが、今のところ、最後に私が財布を落とした時の様子だ。
でも・・・あの時。
もし、落とした財布がそのまま見つからなかったら・・と思うと、ゾッとするのだ・・。
カード、免許、現金、ギターのピック(笑)、などなど色んな貴重品が入っていたからね。
だから、財布を落として、見つからなかった後輩。これはもうお気の毒としか・・。
財布落としたこと、ありますか?
落としたことがあるのなら、その時のあなたの状態は・・・???
心境は・・???
お互い、財布は落とさないように注意しましょうね。日常が壊れます。世の中が一気に変わったように見えてきます。
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