書店で見つけ、パラパラめくり、思わず買ってしまった1冊、「封印された日本の秘境」という本。
著者は、鹿取茂雄さん。
この本では、日本の様々な「秘境」が取り上げられている。
中にはよく知ってる場所もあったし、実際に私も行ったことがある場所もあったが、初めて知る場所もあった。
この本で取り上げられている秘境は、以下の通り。
・ 芦生の森
・ 別子銅山
・ 五家荘
・ 青木が原樹海
・ 旧東青山駅
・ 軍艦島
・ 深沢峡
・ 恐山
・ 日本キャニオン
・ 耶馬渓
・ 河原毛地獄
このうち、青木が原樹海、軍艦島、恐山、日本キャニオンは私自身も行ったことがある。
別子銅山と耶馬渓と河原毛地獄は、名前だけは聞いたことがある。
だが、芦生の森、五家荘、旧東青山駅、深沢峡は知らなかった。お恥ずかしい・・。
上記の、私が知らなかった場所の記述では、旧東青山駅と、深沢峡の記事は特に印象に残った。
芦生の森は、京都の北部にして、京都・福井・滋賀の県境のあたりに位置する。なんでも、三国峠の入り口にあたるとか。
もともとは京大の演習林として保存されてきたエリアらしい。
奇跡的な原生林が残されている・・・という説明をネットでは見つけることができた。
別子銅山は、ウィキペディアによると「愛媛県新居浜市の山麓部にあった銅山。
1690年(元禄3年)に発見され、翌年から1973年(昭和48年)までに約280年間に70万トンを産出」とある。住友グループの管理下にあった。
五家荘は「ごかのしょう」と読むらしい。
熊本にあり、平家の落人伝説と、農民の神様・佐倉宗吾の郷里伝説があり、そういう意味じゃ伝説の地とでもいえそうだ。
青木が原樹海に関しては、今更書くまでもないだろう。富士の裾野にあり、自殺の名所とも言われる樹海で、心霊スポット扱いもされる場所。
私が行った時、入口に、自殺を思いとどまらせる看板があったのが強烈に印象に残っている。
そんな看板があると、余計に不気味な感じがしてきたものだった。
旧東青山駅は、三重県の青山高原に走ってた単線の電車の駅の跡。近鉄大阪線の廃線跡らしい。
写真を見る限りでは、山奥の草木が生い茂る中に、草に隠させるようにひっそりと駅のホームの跡がある感じだ。
なんでも、この鉄道にはかつて、トンネル内で特急同士の衝突事故があったらしい。昭和46年10月25日のことだそうだ。
死者25名、負傷者225名・・・というから、大惨事だ。
それゆえ心霊スポット扱いされてる面もあるようだ。
軍艦島に関しては、私にとってもお馴染みの場所。長崎の海にある。
私のHP「時代屋小歌」で、軍艦島クルーズの体験を旅行記として掲載している。
私が軍艦島に行った時はまだ、上陸は許されてなかったのだが、今では許されている。
ともかく、その外観は、圧倒的の一言である。
深沢峡は、ウィキペディアから引用すると 「岐阜県加茂郡八百津町と瑞浪市の木曽川周辺にある峡谷」。
丸山ダムの上流、約10キロほどの場所にあるらしい。
この本の筆者は、この峡谷に相当なこだわりのあるメンバーと訪れたようで、そのメンバーのこの峡谷に対する思い入れは半端じゃない。
廃道を進んで行くと見つけられるらしい、「いさまつ」という名でかつて営業されていた店の廃墟は、実はけっこう有名らしい。
この建物に関する事情を少しでも知ると、興味をひかれる方は多いかもしれない。かくいう私もその一人。
恐山もまた、私にとって強烈な思い出がある場所。実際に行ってみて、その荒涼とした雰囲気や、妖しい美しさの浄土ヶ浜、積み石、風車、あたりに漂う硫黄の臭い・・などなど、とうてい忘れられるものではない。
美しさと不気味さが同居する、独特の場所。観光地としても1級品だとは思うが、かといって軽々しく行くことを勧める気にはなれない、おごそかな場所。青森の下北半島にある。
日本キャニオンもまた、私自身が行ったことがある場所。なによりも、その「キャニオン」という名前がなさけなくて、改名したらいいのに・・という趣旨の文を、「時代屋小歌」で書いていたりする。
アメリカのグランドキャニオンからとったネーミングなのだろうが、本物のグランドキャニオンとは似ても似つかない規模。なまじ「キャニオンなどという名前がついてるばかりに、損してるように思える場所。
そのへんは、この本の作者も感じてくれてるようで、何やら親近感を持った(笑)。やはり皆、ここを訪れた人は、似たような気持ちを持つのだろう。
それなりの景観であることは確かなので、今ここで私は再び、「日本キャニオン」という名前の変更を提案したい。
場所は、白神山地の近くにあるので、白神山地に旅する機会がある人は、足を延ばしてもいいと思う。
耶馬渓は、ウィキペディアによると「大分県中津市にある山国川の上・中流域、およびその支流域を中心とした渓谷」。
読み方は「やばけい」である。
あの有名な「青の洞門」が含まれる場所としても知られる。
普通のツアー観光客は、青の洞門を見るぐらいかもしれないが、この本の筆者の執念は凄い。かなり危険な場所にまで踏み込んでいる。
危険が苦手な人は、真似しないほうがいいかもしれないが、こうして読者として記事を読む文には、実に興味深い。
その執念に拍手すらおくりたい。
河原毛地獄は秋田県にあり、日本3大霊地のひとつらしい。
写真を見てみると、いやあ、その荒涼ぶりは凄い。恐山といい勝負なのじゃないか・・・と思ったら、日本3大霊地とは「恐山、立山、そしてこの河原毛地獄」だそうな。つまり、恐山と並ぶ存在だということになる。なるほどね~、納得。
立山にも私は行ったことがあるが、私の見た立山はひたすら美しかったけどなあ。
河原毛地獄では、火山の有毒ガスが立ち昇っている個所もあり、それで命を落とした方もいるらしいので、決して安易な気持ちでは散策できない場所のようだ。
だが、この本では、そういう場所を紹介しているから面白い。特に私のような人間にとっては。
この本にとりあげられた場所は、どこもそれなりの観光地ではあるものの、決してそうやすやすとは入っていけないような場所ばかり。
行ってみたくもなるが、行くからには、それなりの無理は強いられるだろう。
諸外国の秘境だと、そうおいそれと行けるものではないが、日本のこれらの秘境は、その気になれば行けそうである。
ただ、もし行った場合、現地ではある程度の覚悟と根性が無いと散策はできないだろう。
いや、覚悟と根性・・というよりも、この場合「こだわり」か。
そう、これらの場所は、行く人に「こだわり」がないと楽しめないと思う。
筆者の文からは、その「こだわり」がひしひしと伝わってくる。ちょっと痛快感すら覚える「こだわり」ぶりだ。
まさに、「こだわり」の一冊。
日本には様々な景色があるが、この本では、日本の景色の「もう一つの側面」を見せられる思いだ。
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