子供には子供世界の中でのフレーズがあったりする。
今の子供も使っているかどうかはしらないが、私が子供の頃に子供同士でよく口にしていたフレーズで
「えんがちょ 切った」
というフレーズがあった。
当時の私は「えんがちょ」って一体何のことなのかよく知らないままで使っていた。
「えんがちょ」って何なのさ?
「えんがちょ」って「切る」ものなの?切れる代物なの?
そんな疑問は多少は持たないでもなかったが、とりあえずそのフレーズが言えそうなシチュエーションは何となく察していたので、意味もよくわからないまま言っていた。
では、どんなシチュエーションに「えんがちょ、切った」フレーズを言っていたかというと、級友が道で犬のフンなどを踏んだ光景を目撃した時、もしくは級友が犬のフンを踏んだという情報を耳にした時などに、犬のフンを踏んだ級友に対して使っていた。
後者の場合、私だけでなく他の子も犬のフンを踏んだ級友に対して言っていたので、一瞬ちょっとした仲間はずれにするような感覚があった。
私も実は、道で犬のフンをうっかり踏んでしまったことはあったが、その時その光景を級友に見られたかどうかは重要だった。
もし見られでもしたら、今度は私が皆から「えんがちょ、切った」と言われるわけだから。
なので、自分が犬のフンを踏んでしまった時は、あたりを見回したものだった。
誰にも気づかれてさえいなければ、知らんぷりをしていた。
「えんがちょ、切った」は、ミニサイズの「村八分」みたいな行動だったから。
「えんがちょ、切った」フレーズを言う時、一定のお決まりのポーズもつきものだった。
どういうポーズだったかというと、右手の親指と人指し指と親指をくっつけて輪を作り、同時に左手の親指と人指し指でも輪を作り、左右の手で作った輪をつなぎあわせ、さらにその「つなぎあわせた輪」を切り離すポーズだった。
もしくは、どちらかの手の人指し指と中指を交差させるように重ね合わせる・・というパターンもあった。この場合、中指と薬指でもいいのだが、人指し指と中指のほうがやりやすかった。ともかく、隣りあう2本の指を使って行う仕草ではあった。
で、指でこういうポーズをとったうえで、「えんがちょ、切~~~った」というわけである。
これって、言われた立場としては、寂しかったりもしたし、けっこうショックも受けたりもした。
自分は一気に友人を失った気がした。
もっとも、この「えんがちょ、切った」で感じる疎外感は、案外長続きはしなかったとは思う。
あくまで一瞬感じるくらいだった気がする。
というのは、そのままそれ以後ずっと疎外されていたわけではなかった気もするから。
気づけば、また元通りに級友たちと話したりもしていたし。
さて、この「えんがちょ」というのは何なのか。その語源は?
と思い、調べてみたところ、ウィキによると・・
「エンガチョは不浄のものを防ぐために囃したてる子供による口遊びのひとつである。『大辞泉』で語源は不詳とされているが、網野善彦によると、エンは穢や縁を表し、チョは擬音語のチョンが省略されたもので、意味としては「縁(穢)を(チョン)切る」を表すとしている。他に「因果の性(いんがのしょう)」の転訛とする説、「縁が千代切った」の略とする説などがある。口で「エンガチョ」と囃し、指先や身体で防御の印を結ぶことで不浄なものの感染を防ぐ事が可能となっている」
とある。
つまり「縁を切る」「相手の汚れが自分に移るのを防ぐ」という意味・・ということだ。
となると「えんがちょ、切った」と言われて感じる疎外感は、妥当なものだ。
つながりを断ち切られることであり、隔離されるようなものだから。
「因果」「縁が千代」などの説もあるが、やはり「えんがちょ」の「えん」は「縁」のことと考えると分かりやすい。
縁を切ったというニュアンスであることを考えると、「つながりを断つ」という意味で、前述の左右の指で作った輪をつないだものを切り離す仕草には合点がいく。。
繋がれているものを切り離す動作だから。
ただ、隣り合う2本の指を交差させるように重ねるのは、どういうことだろう。
ハサミ?
いや、ハサミの意味なら、むしろ・・・左右の手でジャンケンの「チョキ」を作り、チョキで使ってる2本の指を閉じたり開いたりする仕草のほうが、「ハサミで縁を切る」仕草に見える気もするが・・・少なくても私は「えんがちょ、切った」でそういう仕草をしたことはない。
ちなみに、ウィキをさらに読むと、「えんがちょ」には他にも言い方があるようで、「ビビンチョ」などという言い方もあるようだ。
また、特撮ドラマの影響で「バリヤー」という言い方もあるらしい。
「ビビンチョ」は私は耳にしたことはない。
「バリヤー」は、かなり分かりやすい言い方だと思う。その場合、「縁を切る」というより、相手の不浄から身を守るというニュアンスが強い。
まあ、何にせよ、言われた方は悲しい。
犬のフンなど、誰が好き好んで踏んだりするものか・・・。
ただでさえ、踏んづけて落ち込んでいるのに、さらに級友から「縁切り」されたら、泣きっ面に蜂状態ではないか・・・。
と、さっきから私は「えんがちょ、切った」の使用例として犬のフンばかりを取りあげているが(笑)、もちろん他にも、それを言われたり、やられたりするケースはあっただろう。
ともかく、汚れてしまった相手に対して使うフレーズであろうから。
肥え溜めに落ちてもそうだろうし。
汚れという意味では、泥まみれになっても「えんがちょ、切った」されてもおかしくない気はするが、泥の汚れでは言われなかったと思う。
だが、トイレ系の汚れでは言われたはず。
となると、「えんがちょ 切った」は子供世界ではトイレや糞尿系の汚れに対して使われてたのかもしれない。
まあ、子供は糞尿系には、特に反応するものね。学校のトイレで「大」の用足しがしずらかったのは、そのせいもあったことだろう。
なにせ、男子が学校のトイレで「ウ○コ」でもして、しかもそれを級友に気付かれたら、何を言われるかわかったもんじゃなかったから(笑)。
へたしたら、それ以後「ウ○コ野郎」みたいなあだ名をつけられた危険性(?)もあったぐらい。
同窓会などで何年かぶり、あるいは何十年ぶりかで会っても、子供の時のように「ウ○コ野郎」系のあだ名で呼ばれたら、一生つきまとうあだ名になりかねない(笑)。
そ、それは・・・いやだものね・・。
まあ、「えんがちょ」を、トイレ系ではなく、汚れ全般に使われるものとするなら、大人になると、もっと違った陰湿な汚れに染まることもあるので、それこそ大人の方が「えんがちょ、切った」されるケースは多いようにも思える。
いや・・・子供同士の「えんがちょ、切った」はあくまでも一時的なものだったように思うが、大人の場合の「汚れ」は、一時的な「えんがちょ、切った」じゃ済まされないケースがある。
しかも、汚れの種類は多数に及ぶ。
汚れの内容によっては、永遠の「縁切り」をしたほうがいい場合もあるだろう。
それこそ、「えんがちょ、切った」が本来持っていたであろう、リアルな「えんがちょ、切った」で。その場合、「えんがちょ、永遠に切った」。
汚れに染まり切っている大人こそ、要注意なのだ。
周りの人との繋がりのためにも、汚れ過ぎには気をつけましょうね(笑)。
汚れ過ぎになりそうな時は、それこそ「バリヤー」も必要なのでしょう。
相手の汚れが自分に移らないためのバリヤーが。
じゃないと・・・子供に「えんがちょ、切った」されてしまうかもしれません・・。
えんがちょ代わりに使われていたなんて、しりませんでした。
そう、ふつうは時計を表すオノマトペですよね。
まったくもってなんだったんだろ?
そう言えば漫才の晴野チック・タックさんがブレイクしてた頃だったかもしれませんが、
彼らが流行らせたフレーズとはまったく関係なかったし・・・
子供時代に「えんがちょ切った」って言いませんでしたか?
私の子供時代は、よく使い合ってました。
捨丸さんの友人は東京育ちだったから使ってたのかな、、、。
だとすると、東京ローカルなフレーズだったのかな、、、。
そう、左右の手の指で作った輪を繋げて言うのは定番でした。
ちなみに、ちっく・たっくというパターンは、私は初耳です。
初めて耳にします。
ちっく・たっくという言葉はありましたが、もっぱら時計の針の動きを指す言葉としてしか使ってませんでした。
地域によって、やはり色んなパターンがあるようですね。
東京育ちの友人とキャンプに行った時の事。
魚を釣るために私は餌のミミズを採り、針に付ける際にそのミミズをブチっと千切ったのですが、
その時友人が発したのが「えんがちょ」でした。
ま、都会育ちの彼にとっては、私の行為がそう見えたのでしょうね。
確かに左右の手の指で作った輪を繋げてたようにおもいます。
私が育った地でもちょっと汚ない行為をすると、同じく指の輪を繋げて言ってた言葉がありました。
それは「ちっく」と「たっく」。
「ちっく」が「えんがちょ」、「たっく」が「切った」と同じような意味だったと思います。
ただ、この言い回しってかなり限定された地域でしか使用されてなかったような。
小学校の高学年になると、もっぱら「バリアー」って言ってましたね。
仲間はずれにされてしまう言葉ですね。
子供同士の間でも、陰湿な行動ではありますが、案外子供同士にの間にはそういうことが潜んでたりします。
もっとも、それは子供同士だけとは限りませんし、異国間にもあったりします。
ということは、世界各国でありえる行動なのでしょう。
人間のやることは、どこも一緒なのかもしれません。
ただ、時と場合によっては、縁を切った方がよかったり、むしろ縁を切らなきゃいけない場合もあるから、なかなか一筋縄ではいかないもんです。
この不思議な言葉は、ジブリ映画『千と千尋の神隠し』で出てきます。
しかも担当声優・菅原文太さんで(笑)
私、最初聞いたときから今まで意味が判らなかったのですよ。
『千と千尋の神隠し』内容も「奇妙な話だから、この映画特有の言葉かもしれない…」と思っていました(笑)
意味が判ると、淋しいものを感じますね。
子供たちの世界にまで、「絶縁」「破門」のような厳しい内容を含んだ言葉が流行するなんて…。
尤も子供たちのことだから、「一時的だけど縁を切る」のも、遊びの一種なのでしょうね。
「子供たちの文化・社会を観察していると、大人の文化・社会の縮図ではないのか…」
私には、そう考えられるのです。