ここまで、心理学的手法を中心にいじめに対処していく方法を書いてきました。
とくに前回は自己肯定感をベースにした対処法でした。
しかし、こうした手法だけでは、
いじめを「減らす」ことはできても
「なくす」ことはなかなか難しいと思います。
では、どうすればいいのか?
ということについて「余裕」をキーワードとして書いていきたいと思います。
1.どんな「余裕」が必要なのか?
(1)時間的余裕
(2)空間的余裕
(3)経済的余裕
(4)人間関係における余裕
(1)時間的余裕
忙しいと肉体的にも精神的にも余裕がなくなります。
ストレスがたまり、イライラしたり、やる気をなくしたり、体調を崩したりと、
いろいろな悪影響を及ぼします。
場合によっては、子どもやパートナー、家族に八つ当たりしたりすることにもなりかねません。
(2)空間的余裕
部屋が散らかっていると、精神的に余裕がなくなります。
家が狭くて家族が多い場合など、
パーソナルスペースが狭いと
ストレスがたまり、イライラしたり、ケンカをしたりなど、
いろいろな悪影響を及ぼします。
(3)経済的余裕
お金があれば、お腹いっぱいご飯が食べられ、
好みの服を買い、趣味も楽しめ、精神的にも余裕が出ますが、
逆にお金がなければ、食費を切り詰め、家も広い家には住めず、
趣味も楽しめないですから、ストレスがたまり、
精神的にも余裕がなくなり、
あらゆる面で悪影響を及ぼします。
こうしたことから「貧困問題」は、
なくすべき最重要課題であると言えます。
「貧困問題」については、後日改めて書きたいと思っています。
(4)人間関係における余裕
友達とうまくいっていない、クラスメート間で対立がある、
親とうまくいっていない、上司とそりが合わない、
同僚と気が合わないなど、人間関係がうまくいっていないと、
ストレスがたまり、そのことがいろいろな面で悪影響を及ぼします。
この余裕のなさから、別の問題に発展することも多々あります。
(1)~(4)どれをとっても、
「心の余裕」がなくなることがおわかりいただけますでしょうか。
2.私自身の経験から
まず、忙しいとき。
思い通りに物事が進んでいるときは、充実感もあります。
しかし、思い通りに物事が運ばなかったり、忙しすぎたりすると、
ストレスがたまり、ささいなことでイライラしたり、
怒りを覚えたりする場面が増えます。
これが仕事も家庭にも悪影響を及ぼしますから、
仕事でのミスや夫婦げんかにつながったりしたことがありました。
それから空間的余裕ですが、
私の実家は裕福ではなく、家も狭かったので、
兄弟2人が同じ部屋で過ごしていました。
さすがに中学生の頃はきつかったですよね。
夫婦げんか、兄弟げんか、親子げんかが絶えませんでした。
そういう場合は近くにあった祖母の家に避難することができ、
そこが小学生の頃は安心できる居場所だったと思います。
中学生の頃は部活動に励んで帰宅時間が遅くなったことで、
家にいる時間が物理的に減ることでバランスを保っていました。
もし部活がなかったら夜遊びしていたかもしれません。
高校は自宅から遠い学校だったことと、
時に友達の家に泊まりに行ったりなどしていたので、
同様に家にいる時間が物理的に少なかったことでバランスを保っていました。
そして、どうしても家を出たかったので、
県外の大学を受験し、大学時代は一人暮らしをしました。
最初は一人でいられる自由とそのスぺースの広さで
本当に「天国」でしたが、
その後「孤独」がどれほどつらいかも
身をもって経験することができました。
経済的余裕については、
子どもの頃は「うちは貧乏だから」と母親から刷り込まれていたので、
「将来はお金持ちになってやる」と思っていました。
しかし、欲しいおもちゃなどを
クラスメートが手にしていることはとてもうらやましく、
またつらいことであったため
「お金は穢れたもの」「お金より大事なものがある」
と思い込むことで、
そのお金に対するうらやましさを抑え込むようになりました。
大学時代一人暮らしをしていた時にお金がないときは、
食を切り詰めてしのぎましたが、
この経験は今思えば大変貴重でした。
「お金がなくて満足に食べられない」
というのがどんなにつらいことか。
食べたくても食べられないことがどんなに心をむしばむか。
逆にお金が入って、
食べたいものを好きなだけ食べられる
ということがどんなに幸せなことか。
ギリギリの生活をした経験のない人にはイメージできないことでしょう。
人間関係については、
小学生の頃、友達に無視されたりすると、
夜も眠れず時に夜中に変な夢を見て泣いていたりしました。
大人になってからでも人間関係のストレスは、
その時の活力・気力を奪い、
その時の大事な時間を悩みで浪費し、
ストレスもたまり、睡眠不足で体調も悪くなり、
メンタル面もネガティブで不調と、
本当にろくなことがありませんでした。
こうしてみると、
「余裕のなさ」から、
ストレス・イライラ・体調不良・メンタル不調を引き起こし、
それがあらゆる面で悪影響を及ぼしている
ことがわかります。
そしてそれは心の傷となったり、
間違った行動や考え方を生むきっかけとなったり、
精神的な成長を止めたりし、
いじめだけでなくいろいろな問題へと発展し、
「負のスパイラル」を形成していきます。
3.社会政策から「余裕」をつくる
時間的余裕は、もちろん労働時間の短縮ですね。
ワークライフバランスの実現ですね。
モラハラ・パワハラをはじめとした
産業分野での問題が激減します。
友達との交流も増え、
毎日が豊かにに過ごせるようになります。
時間的余裕ができ、趣味の時間が増えることで、
文化も発展するでしょう。
しかし生活していくための収入を減らすわけにはいきません。
それは「ユニバーサルベーシックインカム」で。
(竹中平蔵氏が提唱するような、替わりに社会保障制度を縮小するような導入には反対です)
今回の定額給付金のように、
国民1人当たり月10万円を給付すれば、
現在非正規雇用の方でも生活に金銭的余裕が少し出ます。
少子化問題や年金問題も緩和される可能性があります。
こうして生まれた余裕で、
家庭や地域の様々な問題が解消されるかもしれません。
親は子育てに専念できる余裕も生まれます。
保育園の待機児童問題も緩和されます。
PTA役員の問題も解決に向けて前進するでしょう。
社会貢献やボランティア活動をする人も増えます。
地域の自治会役員や町内会の役員を嫌がる人も減り、
地域力が復活するでしょう。
高齢者の方はマクドナルドで働かなくてもよくなります。
何より笑顔が増えますから、幸せになる人が増えます。
幸せになった人が、
他者の問題に立ち向かいますから、
不幸な人はさらに減ります。
財源の問題ですか?「現代貨幣理論」で。
今のままでは、問題は解決できません。
とにかく変革して前に進むことが必要だと私は思います。
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