夫はショートステイに入所しています。
6年前、脳の病気で倒れて、寝たきりになりました。意識がなく、体も動かず、肺炎を何度も起こして、死に至るだろうといわれていました。
それが、ある時、言葉をかけると、うなづいたのです。その時は、驚きと喜びでいっぱいになりました。
それから、少しずつ意識が戻り、体も少しずつ動くようになりました。
家に帰りたいといい始め、病院の方たちには、無理だといわれたのですが、私は、無理でも夫の思いを聞いてあげたいと思いました。
家に帰ってからは、本当に大変な日々を、ヘルパーさんや看護師さんなどの助けを借りて、戦ったと思います。
そして5か月がたち、私がその戦いに疲れてしまい、チャーグ・ストラウス症候群という病気になってしまいました。
私が倒れたため、夫はショートステイに入所することになりました。
今も寝たきりで、世話をするのは、病気の私にはとても大変なので、ショートステイに入っています。
家が大好きな夫のため、月に2回、3日間ずつ帰宅します。家にいるときの夫は本当にリラックスしています。
私たちは、大学時代、同じ研究室の先輩後輩の関係でした。若いころ、世の中で生きていくことがとても難しかった私たちは、二人で生きていくことで、何とか世の中を渡ってきたと思います。
でも、以前は、わがままなど全然言わなかった夫が、このごろは自分勝手なことばかり言います。
今はまだ、倒れる前のように意識が戻っていないので、違う人のようになった夫ですが、若いころから辛いことも楽しいことも一緒に経験した私には、とても大切な人なのです。
できるだけ、どんなわがままも、聞いてあげようと思っています。