この頃、推理小説を読んでいます。この前読んだ「自由研究には向かない殺人」がとても面白かったので、紹介しようと思います。
推理小説の中には、とても魅力的な探偵が出てくることがあります。シャーロック・ホームズやエルキュール・ポワロはとても有名ですね。コーモラン・ストライクやハードボイルドのフィリップ・マーロウも私の好きな探偵です。
「自由研究には向かない殺人」の探偵は、高校生の女子です。学校の自由研究に、5年前の住んでいる町での殺人事件を取り上げたところから、この物語は始まります。
彼女は、その殺人事件に疑問を持っています。華やかな女子生徒が行方不明になり、つきあっていた男子生徒が自分が殺したといい、自殺するのです。でも、犯人といわれている高校生だった男子生徒を無実だと思っています。
彼女は、その男子生徒が自分をいじめている子供たちから守ってくれたことから、その男子生徒が殺人しないと信じています。彼は、人種などに対する偏見を持っていないということが分かっているからです。
その男子生徒の弟と一緒に真の犯人を捜します。ほんのすこしの食い違いから、真の犯人を捜していきます。
それは思っていた以上に複雑な事実が絡んでいて、事件はいろいろな方向へ飛び火していきます。そして、いろいろな人達の姿が明らかになっていきます。
真犯人が明らかになり、殺人者と思われていた男子生徒の無実が証明されて、その家族が町の人から受けていた残酷な態度が、改めて取り上げられます。
その主人公の探偵のピップの物事への真摯な態度に、心洗われるような気がしました。ピップは、世の中や人に対して、公平な姿勢で対します。公平というのは、とても難しいことですが、でも、すべての判断の基本になくてはならないものだと思います。
たいていの探偵は少々心に重いものを抱えているのですが、ピップはその重いものを前面に押し出して闘う姿が、魅力的でした。
読み終わった後に、さわやかな風が吹いたような気がしました。
作家は、イギリスのホリー・ジャクソンです。