てんてこまい子育ての記憶(旧 わたしと家族の日々)

一人で三人分にぎやかと言われてきた息子も、もう高3。

ADHD傾向の子あるある③ 専門家に相談するかしないか問題

2023-06-12 | 教育・学校
続きです。



親御さんが悩んでいたり、
お子さんに困りごとが見られたときは、
できるだけ早く専門機関に相談してほしいと思います。
ご家庭内だけで解決をしようとして、
お子さんへの支援が遅れてしまうと、
失敗体験ばかりが積み重なって
自己肯定感の低下にもつながりかねません。


ここ、ちょっと気になったので
私の意見を書いておきます。

この文章だと、
「困りごとが見られる→専門機関への相談」
が必須であるかのよう。
また、
「支援が遅れる→失敗が増える→自己肯定感の低下」
が必然の流れであるかのように
読めてしまいます。

でも、違うと思うんですよね。
当然ですが、
ケースバイケースだと思います。


まず、特性の種類と程度による部分が大きい。
本人や周囲の「困り感」が
どの程度であるかがポイント。

「あれ?うちの子、もしかして…」
と早めに気付く親は、
子どものことをよく見ている
ってことですから、
「家庭内での解決」で済む場合もある

もちろん、
専門家からのアドバイスが欲しいとき、
診断名が付くことで得られる
サポートが欲しいとき、
どうしようか迷うとき、
どうしたらいいのか分からないときは
遠慮なく相談に行けばいいと思いますが。


私は発達障害を持つ子の療育に
少しばかり携わったことがあり、
多少の知識と経験があったので、
早めに我が子が「要観察」であると認識し、
また、
専門家とつながるメリットも
分かっていましたが、
結局相談や検査に行くことはありませんでした。

拒否していたわけではなく、
私なりに子を注意深く見守り続けた結果です。

卒園前、
「今後、成長に伴って
特徴が強く出てくるか和らいでくるか、
周囲との差が広がるか縮まるか
その辺、気をつけて見ようと思っています」
と先生に話したのを覚えています。
実際、その意識は持ち続けていました。

結局、
特徴が強まって差が広がり
困りごとの深刻さが増す
ということはありませんでしたが、
高校生となった今も
息子の基本的な性質は変わってません

でも、サポートは必要ない。

程度の問題もさることながら、
幸いなことに、
他の特徴(コミュ力、表現力など)がうまく働いて、
成長するに従って
欠点に対する周囲の評価が変わり、
彼が生きやすい環境が得られたのです。


注意散漫かつ多動な傾向への評価は、
落ち着きがない」から
マルチタスク」「いろいろ能力高い
へと変化しました。

小中学校の一部の先生からは
うるさい」「授業の邪魔」と
抑えられがちでしたが、
今では「リーダーシップがある」
「アピールがうまい」
「場を盛り上げてくれる」
と好意的に見られ、重宝されている様子。

普段の授業でもそうなのですが、
卒業生(社会人)や外国人研究者を呼んでの特別授業では
積極的な良いお客さん(笑)になるし、
舞台で行うイベント事などでは、
企画から司会進行、出演まで
息子は常に中心となっているらしい。

高校の担任の先生からは
「本当に助かっています」と感謝されるし、
関わりの無い先生も、息子に
「あの舞台、素晴らしかった。
これからも期待してるよ」
とわざわざ声をかけに来てくれる。

小中学校ではなんだかんだありましたが、
へこたれず
下手に周りに合わせようとせず
自分を貫いた結果、
現在、彼は、彼のまま
自信を持って人生を歩んでいる観があります。

息子のことを
「そのままでいい」
と思ってくれる大人や友達が
周りにいたおかげで、
自己肯定感を下げずに
ここまでこれたのだと思います。

ラッキーでした。


ちなみに
予定を確認しない、忘れ物が多い、
片付けられないという
長所に変換しようのない欠点に関しては、
友達同士の助け合いで
なんとかなっているようです。


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うちの子、ADHDかも
と心配しているお母さん、お父さん、
世の中に沢山いらっしゃると思います。
かつての私がそうだったように。

私は、その時、
同じような子供の話を
知りたかった。
一人ひとり全然違うのは承知のうえで
様々な例を知りたかったんです。


私と同じように
いろんな子の例が知りたい
と思っている方に、
ADHD傾向の子の一例として
息子の話をお届けできたらいいな、と思っています。

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ADHD傾向の子あるある② じっと座っていられない問題 

2023-06-08 | 教育・学校
昨日の続きです。



★じっとしていられない問題

 学習時に「じっとしていること」が難しく
なかなか課題に取り組めない子であれば、
宿題の前に思い切り体を動かしたり、
椅子をバランスボールに変えて
動きの刺激を入れてあげることで
うまくいったご家庭もありました。 

座らないといけない時間や
座らないと出来ない活動をしている時、
じっとしていられない。
動きたくなる。

この問題に対して
息子は、自分なりに
いろいろ工夫してきたようです。


〈工夫1〉バランスボール!


考えて選択した訳ではないだろうけど、
必要な栄養素を
自然と身体が求めるのと同じで、
必要な動きを
自然と身体が求めた結果だろうな。

いつの間にか…中学生の頃かな?
乗らなくなりました。

なんでだろ?
身長が伸びてボールの高さが
合わなくなって
なんとなく遠のいたのか、
落ち着いたから
バランスボールを使わなくても
大丈夫になったのか…。




〈工夫2〉椅子ガタガタ

息子は、小中学校では
常に椅子の前脚を上げて
ユラユラさせていました。



浮かせた椅子の前脚を
自分の足の上に
乗せたりするもんだから、
上靴や靴下の甲、親指付け根あたりが
擦り切れて、しょっちゅう破れていました。


ちなみに
ガタガタできない
重たいピアノ椅子に座る時は、
どうやら広い座面の上で
身体をちょこちょこ動かしているらしい。



指でひっかいたり引っ張ったりする(←やっていた)のを
防ぐためにかけたカバーが、
息子が座ると
しょっちゅうずれるし、
挙句、破れたりします。

ただピアノ弾くだけなのに
なぜこうなる??
と思い続けています。



〈工夫3〉消しゴム取りに行く

息子は、小学生の頃
「授業中に動きたくなったら
わざと消しゴムを
ちょっと遠くに転がるように落として
取りに行くんだよ」
と言っていました。



目立たないように
サッと拾うのではありません。
目的地(消しゴム)まで
ピクニック気分でウキウキと歩き、
道中、キョロキョロ周りを見て
友達の様子を把握し、
なんならちょっと声をかけ…
楽しそうでした。(参観日に目撃)

明らかに息抜きの時間(笑)

まあ、それに対する苦情は
受けたことがないので、
周りからお目こぼしされる程度に
おさまっていたのでしょう。


〈工夫4〉授業に積極的に参加する


息子は小学校入学以来、
一貫して授業には
最大限積極的に参加する子でした。

授業に限らず
いろいろなことに参加したがり、
できればその中心に居たいタイプなので、
授業での発表は、目立つ + 多動欲解消
まさに一石二鳥。


高校生となった今もなお
積極参加型らしいです。

「シーンと白けて
ただ座ってるだけの授業なんて
耐えられないし、
先生も可哀想だから、
僕が先生と会話しながら
授業を進めることもあるんだよ。
(斜め座り、ゼスチャー多め)
どこの国の授業風景かな?みたいな)
そしたら乗ってくる子は乗ってくるし、
けっこう良い雰囲気だよ」
と言っていました。

勝手にアクティブラーニング(笑)


こんな感じで、
我慢し過ぎることなく
かつ
他人の迷惑になりすぎることもない、
良い具合に折り合いをつけるための工夫
試行錯誤してきたようです。

彼なりの社会生活サバイバル術ですね。


あと1回、つづく
コメント

ADHD傾向の子あるある ① 気が散る問題

2023-06-07 | 教育・学校
流れてきたLINE記事を何気なく読み、おや、と思いました。


これ、私も気を付けてたなぁとか
息子もやってたなぁ!とか。
(ADHD(傾向)だから
という理由ではなかったけど)

懐かしく思い出すこともあったので
ちょっと書いておきます。


★環境を整える

たとえば「不注意タイプ」のお子さんの場合、
雑然と物が置いてあったり、
周囲から色んな音が聞こえてくる環境では
勉強や宿題に集中できません。
ここで宿題ができないことを叱っても
改善は難しいので、
視覚的にも聴覚的にも
刺激のない環境を用意してあげるといいでしょう。


〈第一段階〉幼少時

息子が年少さんの頃、
「登園時間」というタイムリミットがある
朝の支度が本当に大変でした。

いちいちいちいち気が散って、
いちいちいちいち寄り道して、
幼稚園にたどり着くまでに
私は疲労困憊。

幼稚園の先生に愚痴をこぼすと、
「見せる収納のオモチャに布をかけて
朝は目に入らないようにしてみたら?」
というアドバイスをもらいました。

なるほど!と
目から鱗だったのを
今も鮮明に覚えています。


うちも幼稚園も、こんなに豪華ではありませんが(笑)
あくまでイメージ画像です。


殊更に言うほどでもない
ごくシンプルな解決方法。

今書いていて、
何故それくらい自分で気付かなかった?!
って思うけど(笑)
渦中にいる時って、そんなものかも。

で、実践してどうだったかと言うと…
実はあまり覚えていません。

気が散る対象はオモチャだけではないので
劇的に改善した訳ではないと思う。
でも小マシにはなったんだっけかなー?


〈第二段階〉小中学生

ここで大前提となる
息子の特性について説明しますと、
彼の頭の中は
ウィンドウをたくさん開いた
PCの画面を想像して頂けると分かりやすいかと。

そして結構な速さで
前面に出るウィンドウが
次々と変わるのです。
しかもウィンドウは
次々と追加されていく。

目が回りそうな忙しい頭の中です。

はたから見ると
「全然集中していない」「注意散漫」
「人の話を聞いていない」
となりがちのですが、
実のところ、
彼は(短時間で移り変わるけど)
その時々で
そのこと集中しているし、
(動いたり、頭を働かせたりしながらだけど)
人の話も聞いているのです。

実際、
こちらが想像する以上に
多くの物事を
把握し、理解しているんですよね。

集中しているように見えて
実はボーっとしている私より
ずっと多くの情報を得ていることも。

それに気づいてからは、
こちらのモノサシで「集中しなさい」
と言うのは
なるべく控えるようになりました。
彼には彼のやり方があるのだろう、と。



ということで、
これ(↓)は実践できませんでした。

視覚的にも聴覚的にも
刺激のない環境を用意してあげるといいでしょう。

分かります。
その通りです。

でも、本人が拒否したら
どうしようもないんです。

そもそも、本人は
勉強に集中しようと思わないんだから
仕方ないですよね。

息子が小学生の頃は、
頭の中身そのままに
部屋の中も
いろいろなジャンルのものを
「いつでも使える状態」で
広げておくことを好みましたのでね。

勉強と遊びの境目もあいまいだし、
それぞれの活動が
同時並行で進行したりもするので、
「勉強する時は片付ける」
というのも難しかった。


部屋は当然雑然とします。

私が片付けると
「使ってる最中だったのに!」
「片付けたら分からなくなるからやめて!」
とか何とか、
ギャーギャー言ってましたねぇ…


ここで
「親子で話し合って
片付けルールを決めましょう」
なんてアドバイスが聞こえてきそうです。

ええ、もちろん何度も何度も挑戦しましたよ!

片付け反対運動を繰り広げる息子相手に、
我ながらよく頑張ったと思います。

でもね、片付くのはいつも一瞬。
無理なものは無理なんです(泣)



〈第三段階〉現在

最近、ちゃんと勉強しようと思い始めた息子は、
ようやく
「気が散るものが周りにあると
勉強に集中できない」
と気付いたようです。

ようやく、ようやくです!!!

物質的に散らかっているものも問題ですが、
それよりも質が悪いのは
一見スマートだけど
実は情報の海である
ケータイ、タブレットなどのデバイス

これはね、もう、かなりの難敵です。

あらゆることに気が散る
息子の性質を助長し、
際限なく加速させるツールですからね。

(これらを小中学生のうちに
与えずに済んで
本当に、本当に良かった!!)

今は、学習や学校関係で必要なことも多いので
与えざるを得ないのですが、
その「ついで」にチェックする余計なことが
あまりにも多い。
「ついで」の方が長時間。
(大人だって、あるあるですけどねー)

息子は興味の範囲も交友関係も広いので、
本当にもう、デバイスは時間泥棒

いくら勉強しようと思っていても
気が付けば1時間単位で時間が消えていく。

さすがに本人も
これではダメだと気づいたらしい。

今では
さあ勉強するぞ!って時には
使用する本とノートだけを持って
周りに自分の物が何も無い
2階の机に移動するようになりました。

ケータイもタブレットも1階に置いて
物理的に距離をとる。

こういう対策が
自ら取れるようになったのは
かなりの成長だなーと思います。

もちろん、私はかなり前から
そうしろと言っていたんですけどね!

でも、親が言ったら、
抜け道を探して
親の目を盗むことに
知力労力を使うだけなんですよね!(バカだよねぇ…)

結局、自分で気付いて、
自分で決断したことしか
しないんですよね!

種を撒き続け、
ここにきてようやく。

長い長い、徒労感あふれる道のりでしたが、
自分の弱みを知り、
自分でコントロールするという、
将来に渡って使えるスキルに
たどり着けて良かったな、と思います。


つづく
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