「ツナグ」
辻村深月著、新潮文庫、2012年8月
一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれる「使者(ツナグ)」を通じて死者と会う5人を描いた連作小説。
生者は一生に一度(一晩)だけ死者に会え、
死者も一度しか生者に会えないという決まりのもと、話が進行していきます。
■アイドルの心得
周りになじめす、家族とも距離を置く20代後半の女性会社員が、
突然の病で亡くなった30代後半の女性バラエティータレントに会う話。
タレントの水城サヲリのキャラクターが飯島愛を彷彿させました。
■長男の心得
色々な感情を持ち合わせているのに、
人に対して疑り深く口の悪い頑固おやじが、
癌に冒されていることを知らせることができすに亡くなった母親に会う話。
■親友の心得
自分の嫉妬心によるいたずら原因で親友が事故死してしまったと考える女子高生が親友と会う話。
使者として依頼人に会っている少年につえても、徐々に触れられていきます。
■待ち人の心得
都会で偶然出会った身元不明の女の子と婚約したものの、婚約直後に女の子が失踪し、7年間待ち続けるサラリーマンの話。
中堅サラリーマンと謎の少女との出会いと別れということで、いちばん感情移入してしまいました。
使者とペアを組んでいる老婦人の正体が微かに分かります。
■使者の心得
ここまでの4つの話について、使者側から語ることで各話がよりクリアになります。
また使者が会いたい死者についても語られ、
使者らの悲しい過去が明らかになりますが、
最後は希望が持てる形で終わります。
最終話は依頼人の側の話にページを戻ったりしながら読み進めました。
「朝が来る」の文庫を読み映画も見て、他にどんな作品があるのだろうと思い読んで見ました。
陰陽程よく入り混じった感じで、他の作品も読んで見たくなりました。
2012年に映画化されています。
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