「現代語訳 論語と算盤」
渋沢栄一著、守屋淳訳、ちくま新書、2010年2月
前々から読みたいと思っていて、
2024年から新一万円札の顔になることが決まり、
2021年大河ドラマの主人公にも決まり、
ますます読もう読もうと思いながら先延ばしにしていましたが、
この自粛を機にようやく手に取りました。
多種多様な企業・団体の設立に関わったそうで、
本書の「はじめに」に記載されている固有名詞では、
JR、日経新聞、サッポロビール、みずほ銀行、帝国ホテル、明治神宮、聖路加病院など。
裏表紙には約480社もの企業の創立・発展に貢献とあります。
Wikipediaには企業名が多数記載されていて、その数500以上とのこと。
1840年生1931年没。
現代でも91歳は長寿ですが、当時では超長寿ではないでしょうか。
1840年は天保11年。
天保8年には大塩平八郎の乱、天保12年には天保の改革がありました。
そんな時代に生まれた方が現代の大企業の礎を築いたと考えると不思議な感覚です。
本書には渋沢栄一が生きた時代のできごとと、
彼が手本とした論語や江戸時代の学者の考えが書かれています。
印象に残ったのは、
・当時はまだ、「商売に学問は不要である、学問を覚えればかえって害がある、という時代だった」こと
・渋沢栄一が「本当の経済活動は、社会のためになる道徳に基づかないと、決して長く続くものではないと考えて」いたこと
・渋沢栄一が「外国製品を偏重する必要はないし、国内産業の奨励も不自然かつ不相応にする必要はない」という自由貿易のポリシーを持っていたこと
など。
女性への教育の必要性も訴えていて先進的です。
ただ何人か愛人がいたそうです。。