「野村克也「勝利の方程式」」
永谷脩著、知的生きかた文庫、1999年6月
野村克也氏は多数の著作を遺されました。自分の家にも何冊かあります。
本書はタイトルに「野村克也」と入りますが、著者はスポーツライターの永谷脩氏。
自分の手元にあるのは改訂版で1999年6月発行。初版は1996年4月のようです。
そのため、内容は1995年のペナントレース、日本シリーズのできごとが中心。
阪神の監督に就任したのは1999年。改訂版の「はじめに」で少し触れられています。
1999年の阪神はスタートは好調だったらしく、
野村監督就任で阪神は変わったというようなことが書いてあります。
まさか阪神監督在任3年すべて最下位で終わるとは。。
改訂版発行時には野村監督も著者も思いもよらなかったでしょう。
それはさておき本編の方ですが、懐かしい名前がたくさんでてきます。
広沢、池山、古田の主軸。
オマリー、ミューレン、ブロス3人の助っ人。
飯田、真中、稲葉、土橋、角、秦、城などの脇役。
投手では岡林、川崎、石井一、山部、伊藤智らの主戦級。
広田、吉井、野中、田畑、小早川、辻、馬場らの移籍組。
今も監督、コーチ、解説者など球界で活躍されている方が多いです。
息子克則のプロ入りについても書かれています。
克則自身はいい人という評判で今年も楽天のコーチですが、
いま振り返ると、克則のプロ入りから野村監督に対する周りの信頼が揺らいでいった感はあります。
一方で人間味は増したようにも思えます。
選手の操縦法として、
第一段階は無視する、第二段階はホメる、第三段階は叱る。
この話は本書に限らずよく出てきます。
野村監督がアドバイスする時は選手の調子が上がってきた時だそうです。
確かに自分も調子のいい時の方が人の意見を聞く耳を持っているような気がします。
ただ、調子が上がらなかったらどうするのでしょう?という疑問は残ります。
著者が野村監督ではないため、
全体的に野村監督を美化し、比較対象となる巨人や長嶋監督のやり方を
必要以上に批判しているようにも感じました。