国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

運輸及び交通委員会-14号 第2話

2013-04-15 09:00:00 | 国鉄関連_国会審議
○佐伯委員 今の問題は今後お話を聽こうとする參考資料に承りまして、地方鐵道全體の平均を國有鐵道と對照してみたいと思います。それはすなわち平均人トン・キロ當りの平均運賃は國有鐵道が高いのか安いのかということを地方鐵道と對照してどうか、また人員の配置が多いのか少いのか、こういう二點でありますので、この點について後ほど御説明願いたいと思います。
 次に承りたいと思いますことは、本年度豫算中におきまして、建設竝びに改良というがごとき特別費用三百九十萬圓というのはこの豫算の中にはいつておるのでありましようか。もしそれが掲げられておるといたしますれば、建設費と改良費はどれくらいの總額になつておるか。それから判斷資料といたしましては、この豫算が平常の状態にあるときの豫算であるか、また最近非常に、戰爭のために疲弊いたしましたものの、これに復興費が含まれておるであらうか、こういうことが營業費の中におきまして多少詳しく知らなければならぬことでありますが、時間もございませんので、ほんとうの要點で結構なのでありまして、要するにこのたびの國有鐵道が百二十數億萬圓の缺損が出ておる。營業費の中で特別な經費と目せられますのは、進駐軍の關係とかあるいは二、二書いてございますが、そういうものを除きまして、平常状態におけるところの營業費以外に、戰時中の特別な經費、それは建設ないし改良にまわつておつたか。その點はいかがですか。

○伊能政府委員 お手もとに差上げました國有鐵道現状に掲げました經營收支の豫算表におきましては、全部事業費でございまして、建設改良の内容は含まれておりません。從つてまたただいまのお言葉により特別な復舊というような項目もすべて改良費の方面の含まれておりまして、當面の事業費としては最小限度のものが盛りこまれております、かような關係に相なつております。建設改良の勘定につきましては、建設は非常にわずかな金額でございまして、建設改良全體として先般通常議會において御協贊をいただきました内容が五十三億餘圓でございます。今囘の近く提出いたします追加豫算の案として約五十億圓あまり、四十九億數千萬圓、合計いたしまして約百二億のものが建設改良資本勘定として御審議を願う豫定に相なつておるような次第でございます。從つて今囘の百十九億の赤字ということは、純粹の經營費の事業費の上における赤字であるというように御承知おきを願いたいのであります。

○佐伯委員 そこでこれから伺いたいと思いますのは、營業の内容もわかりましたが、かく考えてみますと、國有鐵道の再建には二つの方法があるように存ぜられます。一つは經營の合理化、その大きな問題としては餘剩人員があるかないかという問題と、いま一つは運賃の値上げの餘地ありや否や、かような二つの問題が結論づけられ得るのであろうかと思うのであります。そこで承つてみたいと思いますのは、この調書を見ますと、餘剩人員がほとんどないということは三十八ページをごらん願えばわかると思います。三十六ページと三十八ページの中にあります業務量と人員との關係というところに説明に、結局現在の國鐵は人員においても多過ぎるということは言えないということが明示してありますのみならず、比較統計においてもそういうように書いてございます。それから四十三ページの中に勞働条件の改善と人員の増加ということがありますが、この中においても現在の人員は増加する理由こそあるが、減ずる理由は明らかにない、かように考えられるのであります。從つて最後の末尾において結びというところに至つては、われらは經營の合理化を強力に推進するという點において、人員は今後特殊の職以外は採用しない、あるいは極力人員の節減をはかつていくという希望を述べてあるのであります。私はこの調書を見ますと、勞働協約の締結ということが鐵道省においてすでに成立いたしておりますし、この調書の上からしましても人員を節減するということは不可なりと斷ぜざるを得ない。もしはたして人員の整理餘剰ありといたしますならば、勞働協約の改訂から行つてゆかなければならぬということになるがごとく考えられるのであります。そこでこの問題は非常に重大問題でありますから、參考にお聽きしておきたいと思います。この調書の中のすべてにおいて、いろいろの經營の合理化で説明し得るようにも書いてありますが、大局的から見ますと、増加する人員に比較して、節約する人員はとてもそれに及ばぬ、かように思うことがたくさんあります。これは國鐵再建に對する大きな基本問題として御研究おき願いたい、かように思います。さてもう一つ人員の餘剰であるかないかという問題は經營が妥當であり、はたして能率化しておるかいないかということになるのであります。國鐵のこの調書の中には一面非常に能率が低下しておるというように書いてあるところもたくさんありますが、またいろいろな角度から見まして、能率が低下しておらぬという方面も幾多の現象をあげておるのであります。これに對しましては能率がいかに低下しておるかということを見るには、三十六ページと三十八ページをお開きを願いたい。この三十六ページの業務量と人員との關係の一と二というところにおきまして――數字というものは爭われんものであつて、非常に明らかに能率が低下してしまつたのであるということを、完全に證明しておるという事實をここに示してみたいと思うのであります。それは業務量と人員との關係の一において昭和十一年度から昭和二十一年度までの現在員の變遷を見ると、次の通りである。こういうように人員が五十七萬三千人にまで膨張いたしましたが、その指數というものはやはり同一に増加しておるのであります。この間は御承知の通りあまり營業キロが太つたわけではありません。車輛が増發したわけでもなくて、半數に減つておる。ただ乗る人、利用者が太つた。こういう現象でありますが、全體の營業キロが増加をいたさず、それから車輛の増發も行わずして、人員が太つたということのみで――人員と申しまするのは使用者でありまするが、それの率と同じように從業員が増加しておる。というのは、第二とありまする次の從業員の數と業務量との關係はどうなつているかというところに、明らかに書いてありまするが、一萬列車キロ當りの人員がどんどんと増加いたしております。そして反對に百萬人トン・キロ當りの人員というのが、今大臣の言われたように、増加いたしておらない。これはどういう現象かと申しますと、能率が反對に低下していくという現状を、はつきり物語つておるのであります。元來鐵道におきましては、多少の人員が増加いたしましても、總體にはあまり影響せぬのでありますが、それが人員の増加するたびごとに、そのの比率の營業費が多少増加していく。こういうことが能率が少しも向上せぬ證明であることは、明らかな事實と私は思うのであります。それでこの鐵道の統計は、車輛の效率がどうなつているかということを、比較對照していただくことになりますと、このたびの消息が非常に明らかになると思うのであります。つまり非常に車を酷使しておるという現象が、明らかになつておるだろうと思います。結局は能率の低下しておることは、まずこの調書を見ましても明らかなことでありますが、いなむことのでき得ない現象と思われるのであります。能率が非常に落ちておるのじやないかということの判斷が、また最後におけるところの國鐵再建に、非常に大きな役割をいたしますので、私はこれだけのことを論じたのであります。これはその人の判斷でありましようけれども、この調書によりますと、諸外國の比較竝びにいろいろの觀點から、能率がそう減じてもおらぬと見られる點もあります。あるいは能率が減じておると見られる點もあります。その能率の問題が結局國有鐵道再建の要となりまするがために、私はその點は幾多の證明から能率は減少しておると信ぜられますので、その點の質問が次の質問と加えて何か縁がありますれば、御答辯をしていただきたいと思います。
 次に運賃の値上げの餘地ありや否や。こういう問題について私は承つてみたいと思います。この六十九ページをひとつごらん願いますれば、鐵道當局におかれては、百二十三億の缺損は結局物價と運賃との開きに結論づけられる。つまり物價と運賃との不均衡、赤字の原因となるものは、一にかかつて運賃の値上げが物價の価上りに及ばない。こういうように書いてあるのであります。そこでこの問題は、當然それはそう言い得るのでありまするが、運賃と物價と申しますものが、その當時の比率で行き、その當時の一定の物價と一定の運賃を出發點として、同一水準に向上していくというのが、本來の性質でありますれば、それはまさに鐵道當局の言われるやうに言えます。現に今運賃をもう一遍倍に増額すれば、現在の赤字が抹消されるじやないか。こういう答えが出るのでありますが、元來この運賃は物價との問題におきまして、決してそういう性質をもつておらぬ。かように考えられます。そこで現在の運賃が五割ないし七割値上げをしなければ、國有鐵道の赤字を抹消することはできない。かように思われます。そこで鐵道がこの前値上げをなされましたときには、四倍半くらいの値上げをしなかつたらば、運賃と物價の位置、いわゆる鐵道財政の均衡がとれなかつたと考えられますが、當時なぜ四倍半の値上げをなさらなかつたかということと、それから現在五割ないし七割を値上げして、鐵道財政の均衡を保つことが可能なりや否やということについて、お聽きしたいと思うのであります。ただ參考に申し上げておきたにのは、お答えを承らなくても、おそらくこれは不可能とおつしやるのじやないかと考えられる點があります。それはなぜかと申しまするに、當時四倍半に運賃を値上げをすることになれば、現在の物價と賃金というものが、決して今囘定められたる水準を保つことはできぬのである。こういうことが言えます。また今囘この上に鐵道運賃を五割値上げをするということでありますれば、少くとも今の物價と賃金とは、そのまま鐵道運賃値上げをまつて停止の状態をとつておるや否や。こういう政治的な問題のために、運賃の値上げをしなかつた。こういうことをお答いになると今私は想像しておるのでありますが、その點は幾多の矛盾が起つてまいりますので、一應私の推測でありますが、運賃の値上げをなし得なかつた。また運賃値上げのために物價と賃金との均衡線を保てるまでに達し得るや否や、こういうことについて伺いたいと思います。

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