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第五章 分割・民営体制の矛盾の表面化と国労運動
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第三節 賃金・労働条件・安全確保をめぐる取り組み
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三 安全確保の取り組み
労働時間短縮と要員問題・安全問題
さて、週4〇時間労働制へむけた労働基準法の改正もあって、199〇年代に入るとJR各社もダイヤ改正を機に労働時間の短縮策を実施してきた( 前述) 。しかし、交通産業労働者の場合、当然のことながら毎日の定時間労働が繰り返されているわけではな
いから、労働時間の短縮は一律には行われない。JR 会社の職場では、運転士や車掌など、列車乗務では列車ダイヤにもとづく変則勤務、駅・営業関係では隔日交替・変形勤務の組み合わせなど、また保線・施設関係では日勤勤務および勤務繰り上げ、繰り下げによる深夜勤務、事業所では変形日勤の組み合わせがそれぞれ主な勤務形態となっており、ほぼすべての職場で労働基準法第32条の2による、ヵ月単位の変形労働制である。そして、労働時間の短縮はそれぞれの職種・勤務形態によって異なり、それぞれの職種・勤務形態ごとの労働時間短縮の方法、あるいは要員増を行わないための職場「合理化」の方法も異なる。例えば運転職場では、行先地における折り返し時間を労働時間から外して賃金を払わない「休憩時間的時間」としたり、駅職場では自動改札機を増やしたり、ホームでドアの開閉や発車指示を出す乗車係が廃止されたり、駅ホームに監視テレビカメラを設置してホーム要員を減らしたり、検修職場では車両点検回数を減らしたり、等々である。
95年12月27日夕刻、東海道新幹線三島駅で起きた新幹線初の乗客死亡事故は、JR各社における安全対策の強化を追求してきた国労の危倶が、痛ましくも現実化した犠牲であった。翌28日の各紙朝刊はこの事故を報じたが、『日本経済新聞』28日付夕刊は警察による事故原因究明開始と会社側の言い分を次のように報じた。
「東海道新幹線三島駅ホーム付近の下り線路上で2十7日、列車のドアに挟まれて引きずられたとみられる私立高校2年川原崎祐輔さん(!7) が死亡していた事件で、静同県警三島署は2十8日、名古屋市中村区橋下町にあるJR東海の車両基地に捜査員数人を派遣、収容された事故車両を検分するなど本格的な事故原因の究明を始めた。三島署によると、川原崎さんはホームで電話中、乗車予定の列車が動きだそうとしたため慌てて飛び乗ろうとして事故に遭った。同書は列車が発車する間際の川原崎さんの行動を中心に駅員やホームにいた利用客ら目撃者から事情を聞いている。
一方、JR東海は同日未明、石塚正幸取締役と新幹線鉄道事業本部の建守猛運輸営業部長が記者会見し『まったく責任がないとは言えないが、ホームに駅員を配置して安全には気を配っていた』と釈明。川原崎さんがドアに挟まれていることに駅員が気付かなかった点については『原因がはっきりしない。よく調べて対策を考えたい』と述べた。『ホーム上で安全確認する駅員が少なかったのではないか』との質問には『事故当時、発車間際の安全確認は1人でやっていた。三島駅程度の規模なら、基本的にホームの駅員は1人』と答えた。」
翌96年1月26日に開いた第167回拡大中央委員会で国労は、この三島駅死亡事故にもふれながら、当面の闘争方針として「安全輸送確立の闘い」を要旨次のように決めた。
「JR職場の労働条件は、相次ぐ効率化・『合理化』により、運転事故や労働災害の多発にみられるように深刻な事態となっている。
九州運輸局では昨年11月、JR九州会社の相次ぐ運転事故に対し、局長名で警告を発していたことが報道されている。さらにJR東海会社では、昨年12月に東海道、山陽新幹線の営業開始以来初めての旅客死亡事故が発生するという事態もおきている。これらの事故は、効率化・『合理化』による徹底した要員削減と多能工化や兼事化がすすめられる一方で、十分な研修・教育がされないまま木光業務に従事させられている結果によってひきおこされているとも指摘されている。
われわれは、安全第一の立場に立ち、事故を未然に防止するために、事故の背景にある効率化・『合理化』を検証するとともに、ゆがんだ労務政策や人事政策の是正を求めて、今後とも安全確保を要求して闘って行く。木部は、このような痛ましい事故を防止する観点から、労基法や労働安全衛生法を重視し、『職場の総点検・摘発運動』の取り組みを強化して行くこととする。」
続く
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第五章 分割・民営体制の矛盾の表面化と国労運動
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第三節 賃金・労働条件・安全確保をめぐる取り組み
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三 安全確保の取り組み
労働時間短縮と要員問題・安全問題
さて、週4〇時間労働制へむけた労働基準法の改正もあって、199〇年代に入るとJR各社もダイヤ改正を機に労働時間の短縮策を実施してきた( 前述) 。しかし、交通産業労働者の場合、当然のことながら毎日の定時間労働が繰り返されているわけではな
いから、労働時間の短縮は一律には行われない。JR 会社の職場では、運転士や車掌など、列車乗務では列車ダイヤにもとづく変則勤務、駅・営業関係では隔日交替・変形勤務の組み合わせなど、また保線・施設関係では日勤勤務および勤務繰り上げ、繰り下げによる深夜勤務、事業所では変形日勤の組み合わせがそれぞれ主な勤務形態となっており、ほぼすべての職場で労働基準法第32条の2による、ヵ月単位の変形労働制である。そして、労働時間の短縮はそれぞれの職種・勤務形態によって異なり、それぞれの職種・勤務形態ごとの労働時間短縮の方法、あるいは要員増を行わないための職場「合理化」の方法も異なる。例えば運転職場では、行先地における折り返し時間を労働時間から外して賃金を払わない「休憩時間的時間」としたり、駅職場では自動改札機を増やしたり、ホームでドアの開閉や発車指示を出す乗車係が廃止されたり、駅ホームに監視テレビカメラを設置してホーム要員を減らしたり、検修職場では車両点検回数を減らしたり、等々である。
95年12月27日夕刻、東海道新幹線三島駅で起きた新幹線初の乗客死亡事故は、JR各社における安全対策の強化を追求してきた国労の危倶が、痛ましくも現実化した犠牲であった。翌28日の各紙朝刊はこの事故を報じたが、『日本経済新聞』28日付夕刊は警察による事故原因究明開始と会社側の言い分を次のように報じた。
「東海道新幹線三島駅ホーム付近の下り線路上で2十7日、列車のドアに挟まれて引きずられたとみられる私立高校2年川原崎祐輔さん(!7) が死亡していた事件で、静同県警三島署は2十8日、名古屋市中村区橋下町にあるJR東海の車両基地に捜査員数人を派遣、収容された事故車両を検分するなど本格的な事故原因の究明を始めた。三島署によると、川原崎さんはホームで電話中、乗車予定の列車が動きだそうとしたため慌てて飛び乗ろうとして事故に遭った。同書は列車が発車する間際の川原崎さんの行動を中心に駅員やホームにいた利用客ら目撃者から事情を聞いている。
一方、JR東海は同日未明、石塚正幸取締役と新幹線鉄道事業本部の建守猛運輸営業部長が記者会見し『まったく責任がないとは言えないが、ホームに駅員を配置して安全には気を配っていた』と釈明。川原崎さんがドアに挟まれていることに駅員が気付かなかった点については『原因がはっきりしない。よく調べて対策を考えたい』と述べた。『ホーム上で安全確認する駅員が少なかったのではないか』との質問には『事故当時、発車間際の安全確認は1人でやっていた。三島駅程度の規模なら、基本的にホームの駅員は1人』と答えた。」
翌96年1月26日に開いた第167回拡大中央委員会で国労は、この三島駅死亡事故にもふれながら、当面の闘争方針として「安全輸送確立の闘い」を要旨次のように決めた。
「JR職場の労働条件は、相次ぐ効率化・『合理化』により、運転事故や労働災害の多発にみられるように深刻な事態となっている。
九州運輸局では昨年11月、JR九州会社の相次ぐ運転事故に対し、局長名で警告を発していたことが報道されている。さらにJR東海会社では、昨年12月に東海道、山陽新幹線の営業開始以来初めての旅客死亡事故が発生するという事態もおきている。これらの事故は、効率化・『合理化』による徹底した要員削減と多能工化や兼事化がすすめられる一方で、十分な研修・教育がされないまま木光業務に従事させられている結果によってひきおこされているとも指摘されている。
われわれは、安全第一の立場に立ち、事故を未然に防止するために、事故の背景にある効率化・『合理化』を検証するとともに、ゆがんだ労務政策や人事政策の是正を求めて、今後とも安全確保を要求して闘って行く。木部は、このような痛ましい事故を防止する観点から、労基法や労働安全衛生法を重視し、『職場の総点検・摘発運動』の取り組みを強化して行くこととする。」
続く
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