国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

衆-運輸委員会-11号 昭和58年05月18日 第9話

2014-09-27 10:41:40 | 国鉄関連_国会審議
先週の19日にアップする予定だった原稿ですが暫く時間があいてしまいました、申し訳ありません。
今回も国鉄時代のことについて語っているのですが、出勤途上に交通事故に巻き込まれて出勤が遅れたため、賃金カット(通称、青色欠勤)扱いとしたことに対して、賃金カットは無謀ではないかという話が出ています。

一般的に考えれば、青欠で問題無いと思うのですが結構絡んでくるところが国会議員らしからぬ?ところだったりします。笑

よろしければ最後までお読みください。


○渡部(行)委員 時間がありませんから、次に移ります。――その前に、いまの国鉄赤字は、労使という立場で見た場合、どっちに主たる責任があるのでしょうか。

○高木説明員 基本的には私の責任でございます。

○渡部(行)委員 そこで、昨年の四月二十一日、郡山貨物ターミナル駅勤務の吉田氏と橋本氏の二人が出勤途中で、国道四号線のところでトラック同士が追突し、ホルマリン六百リットルが約百メートルに及んで流出して、そのために交通が不能になり、両名は四十四分おくれて出勤したわけですが、こういう不可抗力の出来事について、これを日本国有鉄道職員出務表等取扱手続の第六条で処理しないで、遅参扱いにして、それぞれ賃金カットをしたということなんです。しかも、他の職場の人たちは同じその事故でおくれて、たとえば信通区あるいは客貨車区、電力区、こういうところに勤務しておる人たちは賃金カットを全然受けないで、そしてターミナル駅勤務の二人だけが賃金カットを受けたという、こういうことが許されるでしょうか。同じ国鉄に働く人が同じ原因でおくれた場合には、それに対する処置も同一でなければならぬと私は思うのでありますが、国鉄のやることが皆ばらばらであるということは一体どういうことなんですか。

○三坂説明員 おっしゃるとおりの事実、私どもも調べておりまして、道路が事故によりまして出勤できなかったというケースがあるようでございますが、私どもはこのような場合はノーワーク・ノーペイの原則でございまして、おくれてきた分は賃金を払わないということになっております。ただ、就業規則では天変地災その他不可抗力の場合、あるいは列車の運行等でどうしても間に合わなかった、いわゆる公共的な輸送機関、あらかじめダイヤが定められているものを利用して乗った場合に、事故等で出勤できなかったという場合には、所属長の裁量でそれは有給でよろしいということにしておりますが、マイカー等で出勤された場合は、そのようなことを予測すべきであったという考え方に基づきまして、それは欠務といいますか、遅参あるいは否認で処理いたしまして賃金が払われないわけであります。したがいまして、払った地区がたとえば客貨車区にあったというふうに私どもも調べてわかっておりますが、これは
やはり間違いでございまして、このようなことのないように指導いたしたいと思っております。

○渡部(行)委員 いやいや私は国鉄の冷酷さに驚きますね。あなた、どうしてトラックの追突が未然に予測できますか。そんな人間どこにおりますか。それほど予見力を持っておるのはまるで占い師以上ですよ。そういうことを条件にして払わないことばかり考えているから国鉄が本当に一致しないのです、団結しないのです。こんなことで赤字解消できますか。だから今度の臨調であのような答申を受けて、まさに民間に分割して売り渡すようなかっこうにいま追い詰められているのじゃないですか。もう少し責任を感じてくださいよ。皆労働者の責任にして、そういう予測できない事故に対してまでおくれた者は片っ端から賃金をカットする。カットしないのが悪いという理屈がどこにありますか。ほかの職場でカットしなかったならば、カットしたところをあなたの方はカットしないようにしなさいと指導するのが愛情ある管理者の態度じゃないのか。その点はどうですか。

○高木説明員 この点も先生の御指摘とは全く違った考え方を持っております。私どもは何時から何時まで勤務してください、それに対してこういう俸給を払いますということを決めているわけでございます。ただ、例外的に自然災害が起こった場合と公共的輸送機関が遅延した場合等について一部の裁量が認められるということでございまして、本来ならば自家用車等で通勤することをどう考えるかということでございますが、これはそれぞれの職員の自由に任せておりますけれども、基本は公共輸送機関をもって勤務開始時間までにその場所に来て就労する、それに対して賃金を払う、こういう考え方をとっておるわけでございまして、それに対して公共輸送機関を使わないで通勤をして、いろいろな事情があろうかと思いますけれども、どういう事情であれ始業時間までに勤務につけなかったという場合は、仕事をしていないのですから払わないのがあたりまえでございまして、何か国鉄だけの特別な立て方というふうにお考えになりますことについては私どもは大変不思議に思うわけでございます。

○渡部(行)委員 私は、国鉄だけというふうに言ってはいないわけですよ。ただ、このあり方を、事実を指摘をしているだけですからね。しかも同じ国鉄が処分した者としない者とをどうしてつくるのかということですよ。同じ原因であってそういうばかなことがありますか。時間がありませんのでそのことが一つ。そのほか天災の場合もこういう実例がたくさんあるのです。会津の方は豪雪地帯です。郡山も、雪のないところに雪がふるとかえってトラブルが起きるのですよ。そういう場合におくれても一方ではカットされる、他方ではカットしない、管理者によって皆まちまちである。しかも国鉄の第一組合の方はカットされるのが多い。ところが鉄労の方はカットされない人が多い。こういう差別が現場にあるからいまのような問題が噴出しているのです。
 それから、次には磐西線の運輸分会書記長の大滝信雄という人の問題ですが、これは地本指令二十一号によって、春闘の一環としてビラ張りをしたわけです。ところが、そのビラ張りについて、片っ端から張ったものを喜多方駅の助役がはがしていった。そのときにこの分会書記長は左足でビラを押さえてはがすなとやったところが、このビラをはがしておった助役が三十秒くらいたってから急に手を押さえて、痛い痛いとしゃがみ込んだ。そこに駅長と二、三の人が飛び込んできて、これは大変なことをした、おまえは暴行を働いたということですぐにこの実地検証などをされた。これは四月十八日の午前七時四十五分ごろに起きたものですが、それが四月二十五日にばっさりと解雇されてしまった。懲戒免職です。そうして今度、二十六日には刑事八人も張り込んで有無を言わせず逮捕したという事件ですが、この逮捕の経過や何かについてはこれから裁判で争われるわけですが、問題は、どうしてその助役が暴行を受けたという確認ができるのか。本当にそれがでっち上げでないと納得させるならば、なぜ組合の代表と立ち会って、けられたと自称する場所で、本当にけられて全治二週間のけががあったのかないのか確認するくらいの慎重さがあってしかるべきだと思う。ただ医師の診断書を――医師の診断書なんてわからないのですよ。この前の中川代議士の診断書のように何を書くかわからないのです。そういうものを出して、そしてそれがついているからといってばっさり有無を言わせずに首を切るということは一体どういうことでしょうか。労働者にとっては解雇というのは死刑と同じなんですよ。いま実際に殺人犯人だって死刑なんかめったにないじゃないですか。その死刑をやる。しかもけが一つしていない。わずかビラを足で押さえたくらいのものに公務執行妨害などといういろいろな文句をつけて、これをばっさりと首を切る。こういうことが恩情あるやり方と言えますか。本当に国鉄が真剣になって国民にこたえようとするならば、そういうものは内部問題としていろいろ処理の方法があると思うのです。もっと労働者を大事にしてください。
 以上申し上げまして、お答えを要求いたします。これについてはなお運輸大臣も、指導監督の立場から、今日の国鉄の状況について最後に一言お願いします。

○三坂説明員 お答え申し上げます。
 確かに四月十八日に、助役がロッカー、休憩室入り口のビラをはいでおったときに、大滝職員が、何をやっているんだということで、やめろという大声とともに足で助役の左腕をけったというふうな報告を私どもは受けておりまして、これを当務駅長であります助役も現認しておりますし、駅長も現認をいたしております。お話がありましたように、お医者さんから二週間の診断も受けておりますし、本人も痛み等のため一週間自宅療養をいたしておりますので、私どもはこれは事実であると思っております。したがいまして、やはりこのような国鉄のあり方が厳しく批判されておるときでありますので、厳正な信賞必罰というのは、本人には気の毒ではありますが、やはり私どもとしてはやらざるを得ないというふうに考えた次第であります。

○高木説明員 いろいろな現場でいろいろな事柄が起こるわけでございますが、少なくとも人をけがさせるということを起こす職員というのはどうも好ましくないわけでございまして、けがをしているということであればやはり非常に危険でありまして、現場の駅長以下ちゃんと仕事ができない状態になりますから、これを排除するのもまたやむを得ない処置であったかと思っておるわけでございます。

○長谷川国務大臣 国鉄が未曽有の財政危機と言われるときであり、この再建についてみんなが心配しているときでありますから、なおさら労使が協調し合ってやっていただきたい、それにもとったようなことは残念なことである、こう思っております。

○渡部(行)委員 終わります。

○原田委員長 午後一時三十分より再開することとし、休憩いたします。
    午後零時四十二分休憩
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