国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

第093回国会 衆議院運輸委員会 第7号 第三三話

2016-03-13 22:01:28 | 国鉄関連_国会審議
こんばんは、本日も少しだけおつきあいくださいませ。
今回も引き続き、三浦久議員と山地進鉄道監督局長に対してかなり執拗な質問が続きます。
共産党もそうですが、国労や動労にも貨物輸送に対して大企業優先であるという考え方を持つ場合がありました。
大企業に安い運賃で貨物を輸送して、企業を儲けさせているその赤字分を旅客輸送で補っているのは怪しからんという理屈なのですが、仮に貨物輸送の運賃をうんと上げていたとしたらその分の運賃上昇分は間違いなく利用者に転嫁されると思うんですね。

特に石油・石炭などは政策運賃としてかなり低く設定されており、収支的に合わない価格設定だったように思いますが、それも物価安定の一助と言うことであり、本来は政府が補助金という形で国鉄に還元するべき部分だと思うのですが、国鉄自身が国の現業機関の外局であるという意識が強かったため、その辺は踏み込んで考えるということは無かったようです。
それが、下記のような答弁につながっていると思います。
個人的にはかなり言いがかり的な発言ではないかなと思っていますけどね。苦笑

> ○山地政府委員 八条の二項にバスに転換することが適当な路線というふうに書いてございまして、貨物だけをやっているところというのは考えておりません。

> 三浦(久)委員 ますますこの法律の性格というものが浮き彫りになってきていると思いますね。
 「貨物の貨物線については大量そして定型的な輸送だけやる。結局、大企業の荷物だけは安く、たくさん運んでやりましょう、そのために国民の足は切り捨てましょうという法案になっているということがはっきりしてきたと私は思うのですね。」

また、これを受けておそらく、鉄道監督局長にも予想外の質問の展開になったようで、「国鉄線路名称で営業線を区分をする」と言っておきながら、政令で変更できると言っているのと同じだという論理を展開してきました。

そこで、東海道支線の通称「美濃赤坂線」は東海道線だが、同じく大垣から分岐している樽見線は東海道の支線として政令で変更することもできるし、その逆で通称「美濃赤坂線」も独自の路線であると変更出来るのではないかという意地悪な質問を投げています。


昭和40年の時刻表から

> 大臣と鉄監局長が、国鉄線路名称で営業線を区分をするのだ、それを言っておきながら、その後検討したけれども、これは参考にする程度であって、政令で独自な考え方に基づいて決めるのだ、こういうふうに答弁を訂正されましたね。これは私は大変重要だと思うのですよ。

> 法案の八条一項、二項には、線路名称とその起点、終点を決める方法とか基準、そういうものは何にも決まっていないのですね。ということは、たとえば私がこの前指摘しましたけれども、大垣から美濃赤坂までの支線、これは東海道本線であります。それでは、政令をつくる段階でこれを東海道本線から外してしまう、これはそういうことも可能になるということですね。

> 逆の場合、たとえばいままで本線に入っていない、しかし政治家の圧力でこの線はどうしても残してほしいという場合には、大概幹線につながっていますから、それを幹線の一部に編入してしまえばいいのです。たとえば、あした調査に行く樽見線の問題でもそうです。あれを政令をつくる段階で東海道本線に入れてしまえば廃止対象から除外されるということになるわけですよ。そうでしょう。こういうような矛盾が出てくるのですけれども、これについてのお考えはどうですか。

正直、この質問はかなり意地悪だなぁと個人的に思っています。
実際には、福知山線の通称「尼崎港線」や播但線の通称「飾磨港線」など支線扱いでありながら実態上は違う路線は結局廃止になっておりこうした答弁が切っ掛けか否かはわかりませんがこうしたある意味グレーな路線に対しても一定の整理が図られたと言えるかもしれません。

飾磨港線 昭和40年の時刻表から


画像 wikipedia


*********************************以下は、本文になりまます。************************************************


○三浦(久)委員 あとの手当てについては貨物にはないでしょう。しかし、廃止対象には貨物線はならないのですか。そんなことはこの法律にどこにも書いてないのですから、営業線に変わりはないのですから、はっきりお答えいただきたい。

○山地政府委員 八条の二項にバスに転換することが適当な路線というふうに書いてございまして、貨物だけをやっているところというのは考えておりません。

○三浦(久)委員 ますますこの法律の性格というものが浮き彫りになってきていると思いますね。
 貨物の貨物線については大量そして定型的な輸送だけやる。結局、大企業の荷物だけは安く、たくさん運んでやりましょう、そのために国民の足は切り捨てましょうという法案になっているということがはっきりしてきたと私は思うのですね。
 それで、ちょっとさっきの続きをいきますけれども、あれほどはっきり前回、大臣と鉄監局長が、国鉄線路名称で営業線を区分をするのだ、それを言っておきながら、その後検討したけれども、これは参考にする程度であって、政令で独自な考え方に基づいて決めるのだ、こういうふうに答弁を訂正されましたね。これは私は大変重要だと思うのですよ。
 たとえば、どの線区が幹線に入っているのか、また外されているのか、またこれから外すのか、そういうことによって廃止の対象になるかならないかということが決まってしまうというほど、これは重大な問題なんです。それをいままで十分な検討もしないままこの法案を出してきたということ、私は重大な責任だと思いますよ。
 それで、いま御答弁が前回と変わりましたので、ちょっと質問をさしていただきたいと思います。
 法案の八条一項、二項には、線路名称とその起点、終点を決める方法とか基準、そういうものは何にも決まっていないのですね。ということは、たとえば私がこの前指摘しましたけれども、大垣から美濃赤坂までの支線、これは東海道本線であります。それでは、政令をつくる段階でこれを東海道本線から外してしまう、これはそういうことも可能になるということですね。そういたしますと、これは地域住民にとっては大変重大な問題です。いままでは東海道本線に入っているから決して切られることはないだろうというので、安心し切って、陳情にも行かなければ運動もしない。法律制定の段階まではそういうふうに安心しているわけです。ところが、いざ政令が制定される。されたのを見たら、おれのところは東海道本線から外されておった。これは全く地域住民に対する不意打ちじゃありませんか。地域住民に対して何ら防御の方法というものを与えていないということですね。これはさっき悪代官という話が出ましたけれども、まさに知らしむべからず、よらしむべしという封建時代の思想をそのままあなたたちは実行しているということになりはしませんか。この点はどういうようにお思いでしょうか。

○山地政府委員 この前の私の答弁を訂正させていただくことについては、まことに心苦しく、申しわけないと思っております。(三浦(久)委員「余り悪そうな顔していないな」と呼ぶ)いやいや、本当に申しわけないと思っております。
 ただ、私どもの方でこの前から申し上げておりましたのは、線路名称というものがいろいろな変遷をしてきたということは私どもよく存じておるわけでございますが、それはそれなりのいろいろな理由があって、そういうものが社会に固定しているということが私どもとしては非常に大事な点であろうと思うわけでございます。この前いろいろ御議論がありましたように、営業線といいますと汽車が全国ぐるぐる回っているわけで、どこからどういうふうに切るかということについては、白紙の状態から、その線路名称というものを考えないで、ここからここまでということを決めるという場合の全国的な基準というのは大変むずかしい。私どもいろいろ考えました。運行系統とか、いわゆるどれぐらいきているとか、いろいろあったわけでございますけれども、私どもとしては、これだけ社会に固定し、長い歴史を有する線路名称でございますので、その線路名称の区分で全国統一的にこの営業線というものを規定して、その線路名称による区間について基準を当てはめていきたいと考えているわけでございまして、いまのような美濃赤坂とかが本線に入っている、それもいろいろな事情があろうかと思います。私も個々にその支線に入っているものについて調べなければいけないと思いますけれども、そういったものも検討の対象にできるように政令で考えていきたい、かように考えているわけでございます。

○三浦(久)委員 答弁になっていないのですね。私は、地域住民に対して不意打ちを食らわすことになるじゃないか、そういうことはすべきじゃないじゃないかということを言っているわけですよ。ですから、いまの御答弁でもそういう矛盾が出てくるのです。
 それからまた、逆の場合、たとえばいままで本線に入っていない、しかし政治家の圧力でこの線はどうしても残してほしいという場合には、大概幹線につながっていますから、それを幹線の一部に編入してしまえばいいのです。たとえば、あした調査に行く樽見線の問題でもそうです。あれを政令をつくる段階で東海道本線に入れてしまえば廃止対象から除外されるということになるわけですよ。そうでしょう。こういうような矛盾が出てくるのですけれども、これについてのお考えはどうですか。

○山地政府委員 そういったいろいろの問題が起こるから、私どもとしては、公布の日の線路名称というものを非常に固定的に考えたい、そして、それを政令に持ち込んできて先生の御指摘のような矛盾の問題については検討をしていきたい、かように申し上げておるわけでございます。



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