国鉄が未だ貨物輸送にあっても、陸上輸送の主力であった頃、少しでも現行設備のままで輸送力を増やすため、新標準貨車の基準を策定することとなり、その検討が昭和37年に行われました。
当時の部内誌、交通技術を参照しますと、昭和37年6月号を参照しますと、本社で新標準形と言うべき貨車を製作することととなりました。
当時の経緯などを国鉄線 昭和37年6月号の記事を参照しながら綴ってみたいと思います。
新形貨車の構想を決めるまでに検討された事項
1)当初の構想では、貨車も新車両限界採用を目論んでいた。
当初の構想では、地方鉄道に乗り入れるため古い車両限界に拘ってきたが地方鉄道でも改修が進んでいるので、新車両限界を採用し車体幅を少し広げると共に、長さを切り詰めることで輸送力の増大を図れるのでは無いかと考えていたようです。
さらに、国鉄としては、貨物利用者の動向を知るため、実際に調査したそうです。
2)取引一件あたりの発送トン数を調査した結果
さて、こうした車両を製作する際に、利用者の意向を知る必要がありるとのことで、昭和36年10月には支社・管理局を通じて利用者に1回あたりの発送トン数を調査したそうです。
交通技術の資料から引用させていただきます。
記事によりますと、従来からの商慣習で15t程度が非常に多いことから、良好な走行性能を考えればボギー車も捨てがたかったと記述されていますが、現状を考えれば貨車の軽量化を図った上で、軽量化分を積載量に増加すべきでは無いかという結論に達したようです。
3)貨車の容積と荷重の関係を調査した結果
有蓋車も無蓋車も重量品の積載が多く、この結果から、重量品を考えると、もう少し容積を狭めたいところであるが、軽量品の扱も無視できないのでトン当たりの容積は2.5㎡として従来通りとしたと記録されています。
なお、これらの検討を経て、冒頭に書いたように、無蓋車・有蓋車の新標準型を策定されることになりました。
新、標準貨車として計画されたものは下記の三種類
ワラ1形
トラ55000形
ワサ1形
交通技術 昭和37年6月号から引用
ワラ1は、ワム60000をベースに17tとしたもので、車両の軽量化で積載数を増やしただけとして走行試験を省略した結果、鶴見事故で脱線の起因を作ってしまう貨車となってしまいました。
画像 Wikipedia
無蓋車としては、トラ45000形をベースとして軽量化を図り、自重を8.2tに抑えた上で18t迄に重量物を積載できるトラ55000形を新標準型貨車でした。
画像 Wikipedia
最後にパレット輸送用の有蓋車として、パレット積時18t、一般積23tを実現するための貨車としてワサ1を試作することとなりました。
ワサ1の場合、重量的に2軸車で13.2t以内にすることが難しいため、3軸車とすることになったのですが、戦時中にトキ900形と呼ばれる非常に走行性能の悪い貨車での失敗があるうえ、今回は二段リンク式であり、どのようは走行特性を示すか経験が無いため慎重に検討すると書かれています。
交友社 100年の国鉄車両から引用
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