先日は何回かに分けて尾灯のお話をさせていただいたのですが、今回は同じく標識灯ということでヘッドライトのお話をさせていただこうと思います。
現在の鉄道車両では、2灯以上のランプが設置された車両が多々ありますが、151系が誕生するまでの国鉄では車両規則で先頭車に1灯のライトを設置すればよいとされていました。【現在も規程上は列車の最前部に白色灯1個以上とされています】もっとも、鉄道の場合障害物の早期発見というよりも列車の進行を知らせることにその重きを置かれていたためですが、最近は夜間走行時の障害物の早期発見という意味合いもあり、複数のライトを点灯させる傾向にあるようです。
大正時代などでは、昼間時はヘッドライトを付けずに白い円盤を付けて運転、夜間は石油ランプを前照灯として使ったそうですし、夜間も石油ランプを前頭に掲出しており、昔の自転車ライトのように、あまり明るくなかったであろうことは容易に推測できます。
元々がそうした発想でスタートしていますので、151系が誕生するまでの国鉄車両というのは101系もそうですし、気動車も前照灯が一つだけのデザインでした。
(名鉄の5200系もデザイン的には3灯に見えますが、両端のライトがヘッドライトと言うよりも通過標識灯のように見えます)
なお、1976年鉄道ファン1月号 「こだま形特急電車」特集を参照しますと、最高速度が引き上げられたことに伴い運転保安の面からも要望があって、ヘッドライトを増設したという記述がありました。
少し本文から、引用してみたいと思います。
最高速度95km/hまでであったところへはじめて110km/h(性能的には183km/h)の列車が誕生するというので、運転保守の面でもいろいろ注文がついた.ヘッドライト3個など何でもないように思われそうであるが、まだシールドビーム電球が安定した生産品ではなかったため 電球は一般形、上部は従来どおりの150W、下の両脇の2個は250Wに増強して取付けを3°31’傾け140m前方(従来は65m)で4ルックス確保とした。
万一途中で停車したような時の追突防止のため、赤色フィルタを用意して必ず後部の両脇ヘッドライトに取付けて運転し、途中停車時に通常のテールランプのほかにこれを点燈することが規定された
引用終わり
画像 wikipedia 151系
異色なのが、791系【昭和34年に誕生した交流専用電車】153系と同じ低運転台なのですが、ヘッドライトが運転台上部にあり異色のスタイルとなっています。
ちなみに、600mというのは非常制動をかけて停止できる距離ですが、運輸省令で定めたもので現在もこの規程は現在も有効であり、列車における最高速度引き上げのネックになっています。注:高架区間など物理的に障害物が入らない場合に限り、600mの制限を緩和、北越急行が、かつて「ほくほく線」でG+G信号を現示させて160km/h運転をしていたのはこうした特認があったからです。
その後の国鉄車両、153系以降の新性能電車は通勤型の103系などを除いて基本的には2灯式に移行していきました。95→110km/hになったことが主な目的と考えます
画像 wikipedia 153系
なお、151系はヘッドライトの外にもウインカーランプが付いていたのですが、その辺はまた明日にでもさせていただきます。
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