葉子が、雲隠れしていた彼女が
子を孕んだらしい、
素晴らしい
加えて良いことに、それは俺の子供でない
相手の男の事は全く知らないので、
そいつにお祝いを言うわけではないが。
なにか昔、予感めいた事を思った気がするが、
女が子供を孕むのは必然でもあるだろう、
アフリカだとして、アフガニスタンだとしたって、
どんなに枯れようが荒もうが
この世にDNAと太陽がある限り、
人はこの運命から手は切れない、
どんなに荒涼で、見えない世界だとしても
男は跨り女は撓り愛に似たしかしそれほど高潔でもない一滴が
実ればまた人間だ、見渡せば、
呆れるほどの人間の数で
東京なら幾分うんざりするが
胎児のいる女には、見えなくても感じる新世界が有るだろう、
産まれて来た子供が笑う時、
誰かしらも、涼しい風が吹いた時の様な表情になる、
幼子が、この地上に足りない物をまだしっかりと持っているからかもしれない
やがて失ってしまうかもしれない道
答えにならない物を答える何かがタオに有るように
タオを通じて子供の心に見えるような気がした
ようやく道が何なのか、判りかけて来たようだ。
25年も飲み続けている酒を横に、
9杯目のタンカレーオンザロックを飲みながら。
そして俺は何を失くしたか知る気はしない
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