「拉致被害者全員の即時帰国を求める国民大集会」
07・4・22 日比谷公会堂にて
櫻井よしこさん 司会
さて救う会副会長の島田洋一先生。
アメリカはいったい拉致問題でどう動いているのか?
6カ国協議はどうなっているのか?
また明日からアメリカに行かれますけれども、島田さんの解釈、最新情報の説明をお聴き下さい。よろしくお願いいたします。(拍手)
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18.島田洋一 救う会副会長の報告
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島田洋一 救う会副会長
明日から家族会の増元事務局長、斉藤文代さんがワシントンに行かれます。
私も同行しますけれども、アメリカの人権活動家や議員・・・(聞き取れず)日本からも行かれるという事ですけど、また脱北者の代表らとともに「北朝鮮自由週間」と題した一連の行事に参加してくるつもりです。
その過程でですね。
26日にはジョン・ボルトン前国連大使とお会いすることになっております。
その他、最近のブッシュ政権のやり方、すなわち国務省への丸投げと言うこの路線に大変批判的な人々に多数会ってくる予定です。
一方、ビクター・チャーNSCアジア部長ら、政府側関係者とも意見交換をしてくる予定ですが、国務省あたりではおそらく増元さんがかなり厳しい質問を一杯されるんじゃないか?と思っております。
さてこのところ、クリストファー・ヒル氏ら6者合意を進めるためと称して、驚くほど無原則な譲歩を繰り返しております。
マカオの銀行にある北朝鮮資金の少なくとも半分は明らかに違法活動によるものだと分かっている。
従って出来るだけ早く全額が金正日の懐に入るよう全力を尽くしますと。
と言うわけですから、原理原則に照らせば今アメリカは自らをテロ支援国に指定しなければならない。(拍手)
そのようなおかしな倒錯の世界に迷い込んでいるわけであります。
しかし一方ですね。
アメリカ財務省は先週18日に当のマカオの銀行、バンコ・デルタ・アジアに対して、すべてのBDAで金融機関との取引を禁止するという制裁措置を正式に発動しております。
こういうちぐはぐな対応が起こるのは、やはり政権周辺の有力者も含めたアメリカ政府内部において、国務省・民主党的な平和共存・融和路線とチェイニー・ボルトン的な体制崩壊追求路線のせめぎ合いが続いていると。
そのことから来るものだと思います。
日本の外務省の中にもクリストファー・ヒル氏の事を、アメリカの田中均と言う向きがあるようですけども、アメリカのハードライナーたちはキム・ジョン“ヒル”と呼んでおります。
先頃民主党の対北融和を代表するビル・リチャードソン、ニューメキシコ州知事がこれで6度目になる訪朝をしましたけれども、このビル・リチャードソンの事は、キム・ジョン“ビル”と(笑い声)呼んでおる。
そういう現状があるんですけれども。
このリチャードソンはですね。
もしヒラリー・クリントンが大統領になったら国務長官に起用されるんじゃないかと言われていますけれども、彼は以前からですね。
北朝鮮指導部は核以外にカードが無いため、盛んに核カードを振り回しているけれども、実は国民の飢えを解消するため、核放棄と引き換えに経済援助を得て開放政策を進めるという決断をすでに下しているんだと。
一体どこを見ているのか?という甘い認識を公にして来た人であります。
このリチャードソン訪朝にですね。
ビクター・チャーNSC部長が同行しましたけれども、これは日本で言えば山拓訪朝に中山恭子補佐官が同行すると(笑い声)言った類のですね。
大変筋の悪い外交であって、どうも危ういものを感じざるを得ないわけであります。
安倍首相は今週26日から訪米し首脳会談に臨まれますけども、北朝鮮問題に関してはとにかく締め付けの強化策。
すなわち鞭についてのみ話し合う意向であると聞いております。
ブッシュ政権内及びその周辺のハードライナーたち、体制崩壊追及派と言いますか、そういう人たちを大いに鼓舞するような言動を展開していただきたいと思いますが、アメリカ側においてはですね。
是非この機会に安倍さんがブッシュの目を覚まさして欲しいと、そういう期待の声があるという事をいろいろな方面から聞いています。
我々も明日からですね。
民間の立場から日米ハードライナーの連携を強めていきたいと思いますけども。
2月13日の合意があって以来、拉致に拘って核合意の枠におけるエネルギー支援の輪に参加しないと日本はバスに乗り遅れると、安倍首相をそういう言い方で批判していた人もおりましたけども、バスは出発前にすでにエンストしていて崩壊寸前と言う状況であります。(笑い声)
動かないバスにどうやったら乗り遅れるのか?(笑い声)分からないわけですけども。(拍手)
結局北朝鮮の本質を分かっていない人による戯言に過ぎなかったという事が明らかになりました。(拍手)
彼らは今後、この欠陥バスがのろのろ動き出したとしても日本が拉致問題を解決しない限り、一切のエネルギー支援に応じないという立場をもちろん変えるべきではないと思います。(拍手)
海外においてもあるいは日本国内においても、北の核廃棄で最も恩恵を受ける日本が応分の負担をしないというのは、いわばただ乗りであっておかしいんじゃないか?と、そういう事を言う人がいるわけです。
それには私はこう答えればいいと思っているんですけれど、もし実際にですね。
北朝鮮が核施設の無能力化に踏み切ったとそういう時点においてですね。
そんな事はありえないと思いますけど、もしそうなった時点において日本はですね。
核兵器・核施設の解体及び海外搬出の費用を全部負担しましょうと、全額負担しましょうと。
だからそこまで持って来てくれるなら、どうぞ持ってきてくださいと。
そこまで持ってくれば、核施設は安全な解体・海外搬出、これ結構費用がかかりますけども、それは日本が持ちましょうと。
北京や盧武鉉やヒル氏が事態をそこまで進展させられるんだというならやってみろと。
そういう宣言をすればいいと。
中途なエネルギー支援など、そんなただ取りされるものには日本は出さないという事で、何ら問題は無い。
このやり方であればですね。
日本としては北朝鮮にエネルギーその他をただ取りされる心配は無いし、同時にただ乗り批判も回避できる。
しっかり対抗できる。
どこからも文句を言われる事はないと、そういうふうに考えます。
この週間もその一環ですけども、今や日本は、国際的な広がりを持って次々に明らかになる拉致被害者の救出で先導役を果たしているわけですけども。
従って日本が拉致に拘るという事はまさに、それすなわち国際貢献になっていると、我々は自信を持って堂々と進めばよいと思っております。(拍手)
拉致問題の解決に当たっていろいろな意味で大きな鍵になるのは、中国共産党の態度であります。
少なくとも二人の若い中国人女性が1978年、マカオから拉致されているという事は間違いありません。
当時二十歳ちょっとだった孔令イン(貝二つの下に言)さん、蘇妙珍さんと言う二人なんですけど、当時マカオはポルトガル植民地でしたが現在は中国領で、この二人は中国国籍だし家族ももちろん中国国籍であります。
孔さんの家族とはですね。
家族会・救う会の代表は何度も会っています。
ところがなぜその孔さんの家族の姿が今日この場にないのか?
と言うのは、それは家族が中国当局の迫害を恐れているという事情があるためであります。
彼らは記者会見をすることすら怖がってやらない。
韓国人拉致被害者の一人で、その後脱出に成功した映画女優の崔銀姫さんと言う方がおられますけども、この崔銀姫さんの証言によればですね。
そのマカオから拉致された彼女たち、「早く家に返してくれ」と言う要求をした結果、北朝鮮当局から腐ったものを渡されて「お前これ食え」と食べ物を使った拷問に遭ったということであります。
日本の政治家の方々、国際的な場でも特に中国の要人に会う際に、日本人拉致解決に理解と協力をお願いしたいと、そういう言い方ではなくて中国にも拉致被害者はいるでしょう?と。
被害者を出している国同士で一緒に北朝鮮に圧力をかけましょうと、そう迫るべきだと思います。(拍手)
中国共産党の指導部はもちろん人権感覚はゼロですけども(拍手)、しかし体面は非常に気にしますから、従って大中国は隣の小国に自国民を拉致されてなんで黙ってるの?
拉致が何人であれ、金正日と胡錦濤氏・恩家宝氏が時々笑いながら抱き合ってる姿がテレビに映るけれども、あんたら恥ずかしくないのか?と。
そういう雰囲気をですね、国際的に高めて。
拉致問題が存在する事が、中国共産党にとっても苦痛であるという状態を作り出さなければ彼らは動かない。(拍手)
先頃、恩家宝首相、首相と言っても民主的手続きで選ばれているわけでは無いですから、安倍首相と同列に論じるわけに行かない首相ですけども、その恩家宝氏はですね。
来日した際に拉致問題で日本に協力すると、そう言ったと報じられました。
こういう発言に対してですね。
絶対お礼を言ってはいけないと思います。
むしろ日本の方が協力してやるからせめて中国政府は自国民の拉致被害者の救出くらいは真剣に当たりなさいと。(拍手)
そういう答え方が合理的なんではないでしょうか?
我々最近ですね。
実は私を含め何人かで中国に行った際に中国側、特に恩家宝氏に近い学者グループと会ってですね。
向こうから会いたいといって来たんですが、中国人拉致被害者に関する詳しい資料を渡して説明しました。
そして翌日彼らはですね。
「早速あの話を恩家宝首相に上げました」と明言しましたから、従って恩家宝氏が中国人拉致被害者を知らないはずは無いはずですから、是非今後はですね。
政治家の方たちは中国の要人に会うたびに「お宅にも被害者いるでしょう?」という事を言って頂きたい。(拍手)
その考えに加えてですね。
中国当局は脱北者の強制送還を相変わらず続けていると。
その強制送還されている人たちの中に拉致被害者、その家族、あるいは重要情報を持った人たちが含まれているのはこれは間違いないですから、従って中国共産党は協力どころかですね。
明らかに拉致解決を妨害しているわけであります。(拍手)
やはり妨害するなという事もですね。
はっきり言っていく必要があるんでは無いでしょうか。(拍手)
かつてソ連崩壊の過程を見ていてもですね。
インテリたちの多くはソ連とはデタント、いわゆる緊張緩和・平和共存の道しかないんだと。
あのソ連がですね。
体制崩壊するはずもないし、従って経済支援・経済援助をてこに核軍縮を進めていくというのがこれが懸命な政策だというような事を言っておりました。
それに対して、いやそうじゃないと言ったのがロナルド・レーガン大統領であって、ロナルド・レーガンは悪の帝国ソ連と平和共存と言うのは罪だと。
従って封じ込めとか何とか言っているのじゃなくて、冷戦に勝たないといけない。
勝つために経済的な締め付け、あるいは軍事的な圧力なんかをかけていくんだと。
それに対し、インテリたちは出来もしない目標を掲げてですね。
軍備拡張だとか経済的締め付けだとか危険な事を言うレーガンは馬鹿だと言ってたわけですが、結局レーガンの方が正しかった事が歴史的に証明されました。
そのロナルド・レーガンの有名な台詞にこういうのがありますけども、冷戦にどう対処するか?
私の戦略を言いましょう。
We win,They lose.
つまり我々が勝つ、彼らは負ける。
これが私の冷戦戦略だと。
極めてシンプルですけども、安倍首相にも是非ですね。
我々が勝つ、金正日は負けると、これが私の対北戦略だと、そういう完全明快な姿勢で臨んでいっていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。(拍手)
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