アリ@チャピ堂 お気楽本のブログ

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錬金術師の夢、人類普遍の夢をかなえる謎を追って時代を超えた追跡が

2010-07-25 22:00:00 | ミステリー・ハードボイルド
「ウロボロスの古写本」 上下2巻、主人公は若い女性、ハンサムな支援者 定番中の定番だけど読ませます


「ウロボロスの古写本 上」 レイモンド・クーリー (著) 澁谷 正子(訳) 早川書房(ハヤカワ文庫NV) 2009年


「ウロボロスの古写本 下」 レイモンド・クーリー (著) 澁谷 正子(訳) 早川書房(ハヤカワ文庫NV) 2009年

この本を読み始める前に、新しいブックカバーが必要になる
早川書房はちょっと背の高い「トールサイズ」を責任を持ってすべての文庫に広げられるのか?!
中途半端はやめてほしいと思うのは私だけか
ハヤカワ文庫は、活字を大きくするために本のサイズを少し大きくし始めた
確かに少しのことでも読みやすくなれば良い・・が
既存の文庫版ブックカバーには入らいない
せっかく背のそろっている文庫書棚の見栄えが悪くなるし
上に本を積む場合に邪魔になる・・などなど
この問題だけで終わってしまいそうなので、別の機会で考えるとして先に進もう

このごろの海外小説の定番は
主人公は若い女性とそれを守る年上の男性
観光名所をスピーディにめぐり危機に陥りながらも逃げ延びる
ダン・ブラウンを真似たというよいダン・ブラウンも従った手法で
どれも映画化を強く意識しているように思う
それはそれなりにテンポもあって良いのだが、それに縛られすぎて本としての読み応えは大丈夫なのか
とにかくも、この本もきちんと鉄則を守っている

同じ作者で「テンプル騎士団の古文書」という本が先にでいたらしい
店頭で並んでいるのを見て「テンプル騎士団の古文書」というタイトルがちょっと手を引かせる感じがあり
これは訳者と出版社の責任でもあるのだろう・・原題は「The Last Templar」でこれでもだめか
「謎の謎の本」と言っているような、あまりにも直截的なタイトルで
内容に厚みがないことを想像させる・・同一著者であることは分かったが
こっちの方が面白そうだろうと買った・・ような記憶がある

結論から言えば、最後が良かった
途中から気が付かせるところもあるが、それがわかってもプロットもそれなりに面白い
ナグハマディ写本とか死海文書とか乾燥したアラブ世界には
ヨーロッパの文化的背骨を揺るがすような文書がどこかしこかにある
そうした潜在的な関心がこうした物語をよりミステリアスに仕立て上げるのだろう

ファイナルファンタジーでお馴染みのアイテム(そういえばコンビニで売ってましたね)
そうしたものの源流が重要なミステリーの主題となる
そのきっかけとなったのは「ダヴィンチ・コード」ではなくて
フーコーの「薔薇の名前」なのだと思う
しかし、そこには「若い女性」は現れない、映画化もされ評価もされたけれど
「探究もの」とか、何かジャンルが作れそうな小説群がたくさん書かれていて
それらの中には同じような固有名詞、象徴がちりばめられていて
それらをどのように輝かせているのか比較するのも面白いだろう

この本は、そうした幾つかの候補の中にあげておいても損はしないだろうと思う


ハードボイルド的な要素が少し減るとよいけれど、読んで損はしないでしょう


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