古市憲寿さんの著作を手に入るだけ(地元の図書館にある分)、まとめて読んでみました。
小説は読みやすいので、『ヒノマル』『平成くん、さようなら』『アスク・ミー・ホワイ』はスラスラと読めたのですが、評論書は苦労、苦労(汗)
東大大学院に在籍しながら、企業を立ち上げた様子を書いているようですが、実感として掴めず。
ひと頃のヒルズ族とかホリエモンはニュースにもなり、マスコミも政財界も冷ややかに反応。でも、私は密かに応援していたのです。
年寄りたちの思考回路に風穴を開けてほしい気持ちは、若者や女性など、社会に関われずに来た人たちにとっては、切実だった。
でも、古市憲寿氏はヒルズ族より若いんです。(1985年生まれ)
『ヒノマル』の理論的根拠を探して、この本も読んでみたけれど、社会学者の理論書というより、世界の戦争博物館を巡っての紀行文的色彩が濃い?
でも、
戦争や、人が死ぬことは〈非日常〉として人を惹きつける、それを〈面白い〉と表現したことには、彼の勇気を感じました。
なかなか言えないことです、面白いとは。
以前、図書館に勤務していた頃、戦中派の老人と戦争について話していて、私の〈面白い〉という表現を聞き咎め、「僕は面白いなんてとても言えない」と言われたことがありました。
もちろん、ファニーではなく、インタレスティングの意味で使ったのですが、戦争に関しては言葉を選ばなくではいけない、と痛感したものです。
だから、身内ではない人々も読む書籍で「戦争は面白い」と書くことには覚悟が必要だったに違いない。
その辺りをヒラリと飛び越えてしまうのは、やっぱり若さなのでしょうね。
戦中派の親に育てられた我々との決定的な違いです。
それに爽快さを感じつつ、最後に読んだのはこれ。
対談集。
國分功一郎氏は『暇と退屈の倫理学』が面白かった記憶があります。
『ファイトクラブ』なんて、映画まで見たし。
國分氏は1974年生まれで、長男と同い年。
何とか理解できるギリギリの若さか。
読んでいても國分氏と古市さんの温度差がわかるし、私が古市さんを理解できないのも無理はないと再び思うのです。
それでもというか、やっぱりというか、
一番興味深かったのは、「リタイア組の自分探し」。
仕事と子育てで自分と向き合わないまま、高齢になってしまったという人は、意外に多いようです。
自分探しとは自分に対する周囲の評価を変えたいということ、
だから人は自分探しで旅に出たがる、と見事に核心を突いた発言。(國分さんが内田樹氏の引用で)
本当に大切なのは自分を知ること、何が好きで、何を楽しいと思うか、どんなクセを持っていて、自分の体で何が出来るか、
そういうことを詰めていくことは大事、と結論していたのです。(ざっくり言うと)
でも彼らはそれを宇宙人を語るように言っている。
そう、私は〈自分を外側から見ている〉感じ。
その視点がほしくて、敢えて若い世代の本を読んだのかもしれないから、いいのだけど。
でも、正直疲れた。
フィクションと違い、隠れ蓑がないだけ、きついのです。
古市さんの本は、これでピリオド。また年相応の本に戻れるのは正直嬉しいです。
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