最近、妙に気になっている。
先日(13日)の読書会で扱った『玄鳥さりて」は表向き〈友情〉の話になっているが、読後の率直な感想はボーイズラブだった。
時代小説独特の筆致と描写で、読む動画のようにわかりやすい。
年配層がハマるのもわかる気がする。
氷室冴子や萩尾望都の漫画は鼻で笑う層も、同じものに心躍らせているのでは、とふと思う。
それはともかく、昨日読み終えた小説は気鋭の社会学者の書いたものだが、これも爽やかなボーイズラブだった。
元芸能人で謂わばジャニーズ系の港クンと、普通の若者のヤマトくんの織りなすアムステルダム物語だ。
ラスト近くに、こんな一節がある。
「薄明っていうんでしょ」
「空のことですか」
「そう、夜明け前の、空がほのかに明るく見える状態のこと。今って、夜でも朝でもないんだって。」(略)
「僕、こういう時間、好きじゃないんだよね。はっきりすればいいのにって」
「僕は嫌いになれないです。だって、白か黒かつけられないことって、世の中にたくさんあるじゃないですか。それこそ男が好きとか、女が好きとか」
丁寧語で話している方がヤマトくん。
それに対して港クンはこう答える。
僕は君が好き、君は僕が好き、それでいいじゃん、と。
男とか女とか、もしかしたらものすごくカテゴライズされた世の中に、我々は住んでいるのかも知れない。
自分が何者かさえ、よくわからない時があるのに。
そういえば『女の一生』(伊藤比呂美)にあったっけ。自分がわからないという質問者に、「朝起きたら、まず朝ごはんに何を食べたいか考えるの。そこから自分がわかってくる」と。
名言だと思う。
生きているって、まず食べることだものね。
自分って?と悩むより、私は誰が好きなのかを考えよう。
こんなこと、70年生きていてもわからないんだから、本当にイヤになる。
寒くなった。
夜明けも遅くなった。
今朝の薄明。
ちなみに10日前は
きっぱりと冬が来る日も遠くなさそう。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます