あるとき、 娘が、 国語の試験問題を見せて、 何んだかちっともわからない文章だという。 読んでみると、 なるほど悪文である。 こんなもの、 意味がどうもこうもあるもんか、 わかりませんと書いておけばいいのだ、 と答えたら、 娘は笑い出した。 だって、 この問題は、 お父さんの本からとったんだって先生がおっしゃった、 といった。 へえ、 そうかい、 とあきれたが、 ちかごろ、 家で、 われながら小言幸兵衛じみてきたと思っている矢先、 おやじの面目まるつぶれである。 教育問題はむつかしい。
「 国語という大河 」 21-二七九 小林秀雄 (人生の鍛錬 P.179)
「 国語という大河 」 21-二七九 小林秀雄 (人生の鍛錬 P.179)
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